今新しく「時うどん」と言う落語を稽古しています。
すると師匠が突然、「明日『時うどん』の稽古をしようか。13時30分に駅に来なさい。稽古場に行くから」。
来た!
落語の稽古は対面しての「口立て(くちだて)」の稽古。
まずは師匠がお手本を見せてくれてその後弟子が見様見真似で同じ様に演じる・・・何百年も前から変わらない。
やった事の無い人はそりゃわからないと思うが、これが本当に緊張する・・・。
師匠と呼ばれる人たちはこの落語界では神様の様な存在で、その神様がわざわざ自分の為に時間と労力を割いて教えてくれる。
『聞いてませんでした』では許されない。
ウチの師匠は優しいので嫌な顔一つせず何回でも教えてくれるが、それでも緊張するものはする。
その稽古が明日来る・・・。
やれるか? やれる! 台本は頭に入っている。
やってやる!
次の日、気合い充分に師匠に付いて稽古場へとむかいました。
電車を乗り継ぎ、歩き、まだ歩き、まだまだ歩き・・・
何処まで行くのだろうと思っていると大阪で一番有名な景色が見えて来た・・・!
通天閣だ!
なんで通天閣? 稽古は?
疑問だらけな僕に師匠が振り返り、「ここで時うどんやろうか」。
へ? ここ? 通天閣がある場所は新世界と言って大阪有数の観光地で、沢山のお店や行き交う人だらけ。
ここでやるの?
師匠「着物に着替えて来なさいすぐやるぞ。」
マジか・・・なんてぶっ飛んだ神様だ・・・しかし神様の言う事は絶対だ。
すぐに着物を来て師匠の元へ。
コンクリートに直に正座する膝に砂利が食い込む。
師匠「そんな事したら足痛いやろ、私のコートを座布団代わりに敷いたらええ。」