笑福亭笑生が子ども達を楽しませるためにアウトドアに挑戦【福井よしもと芸人日記】

 嫁さん 「何処がキャンプよ！ どっかの山の駐車場じゃないの！」

 笑生 「いーやん！ しゃ〜ないやん！ 」

 嫁さん 「こんなん、子どもら納得しないでしょ！ 」

 子ども達 「キャンプ♪ キャンプ♪ キャンプ♪ キャンプ♪ 」

 

 嫁さん 「・・・・・・・・。」

 

そんなこんなが有りまして。

流石に駐車場でおにぎりとチキンラーメンはかわいそうだと反省した笑生。

 

 

次の日曜日、新しく購入して干物を焼いたりした金属製七輪を手に、従兄弟の家の庭でBBQをする事に！

が・・・早速手際の悪さを指摘され、火の付け方、炭の配置の仕方から従兄弟にご指導をいただきました！

 

 従兄弟 「まずライターで直接炭に火をつけようとしてもつかんざ。後はそんなあんまり炭を重ねても良くないでの。」

 

 笑生 「え…あ、はい。（やだ、細かい）」

 

 従兄弟 「着火剤は1番下にして大きい炭と小さめの炭を交互に重ねて、空気が良く通る様にしてから火をつけるんやざ。」

 

 笑生 「あ、うん…。（早よBBQしたい…）」

 

 従兄弟 「良し！ 火が通った！ これぐらいの火力ならもう焼けるわ。」

 

待ってました！

前回のチキンラーメンとおにぎりの反省を踏まえて、今回はふるさと納税で手に入れたこのお肉を焼くんや！

 

見よ！ このサシ！ 素晴らしいお肉！

娘よ！ 息子よ！ もう悲しい思いはさせないぞ！

ありがとうふるさと納税！

ありがとう泉佐野市！

 

 従兄弟 「あっ！ 待って。いきなりそんなステーキ肉なんかあかんよ。先ずはウインナーとか小さいのを焼いて火の通りを見なあかん。」

いきなりステーキはダメでした・・・。

 従兄弟 「さぁウインナーで火加減も見たし、ステーキ肉焼いていこうかな！」

 

ジューっといい音を出して焼けていくステーキ肉。

父の威厳を出す為のステーキ肉。

この日の為にふるさと納税までして手に入れたステーキ肉。

それが全く僕の手を煩わせる事なく次々と投入されて行く。

 

遂にはウチの嫁さんまでもが、従兄弟の焼いたお肉を甲斐甲斐しく切り分ける始末・・・

僕の仕事はと言うと、すっかり焼き場をクビになり、赤ちゃんを抱っこするばかり。

 

嗚呼こんなハズでは無かった。

息子や娘からパパカッコいい！

嫁さんからは流石パパね！

 

と褒められるハズだったのに…。

 

何と対称的な写真であろうか、BBQにおける完全な勝者と敗者。

この場を見た人は、よもやこの日の食材や機材が僕のだとは思うまい。

最高の日曜日、長く厳しい冬から春の足音が聞こえ始めた3月。

子ども達に最高のBBQをお届け出来るはずだった・・・

 

なのに・・・

また僕はここでこうしてチキンラーメンを茹でている。

いや・・・まだだ！

まだ僕のBBQはまだ終わらない！

 

あったハズだ切り札が！

BBQのシメと言えば、な切り札が！

 

「焼きマシュマロ」

 

香ばしく焼いたマシュマロは外はカリッ、中は甘さが凝縮されトロトロになり格別。

これだ！ 子どもは甘いものに弱い！

何も出来なかったパパだけど、これで全てをひっくり返す事が出来る！

子ども達からは「パパカッコいい！ 」嫁さんからは「流石パパね！ 」と言ってもらうんだ！

 

 笑生 「みんな聞いてくれ、BBQのシメに焼きマシュマロはどうかな…？」

 

 子ども達 「え！ 焼きマシュマロ食べたい！ ありがとうパパ！ パパカッコいい！」

 

 嫁さん 「へ〜そんなの用意してたんだ〜。流石パパね！ 」

 

 従兄弟 「良いねぇ、ウチの子達も焼きマシュマロ好きやわ。」

 

はっはっはっ！ やったぁ！

これで情け無いパパから全てひっくり返す事に成功したぞ！

 

僕は必死でニヤけそうになる顔を抑えながら「そうだろうと思ってね」、なんて軽口を叩きながらマシュマロが入っているリュックに手をかけ中を見た。

 

あるぇ〜！？

 

無い！ 無い！ 無〜い！

マシュマロが無〜い！

 

切り札のマシュマロが！

あんなに皆んなの前で宣言したマシュマロが無〜い！

なんでぇ！？

 

「みんな・・・神隠しって信じるかい？」

 

その後散々子ども達から怒られ、嫁さんに呆れられて傷心のまま帰宅した僕の心を・・・

玄関に置き忘れたマシュマロが・・・

癒してくれた・・・。