福井ゆかりの絵師・岩佐又兵衛が主人公の新刊小説「絵ことば又兵衛」。越前成分もかなり濃いめですよ!【ちょいネタ】

福井ゆかりの絵師・岩佐又兵衛が主人公の新刊小説「絵ことば又兵衛」。越前成分もかなり濃いめですよ!【ちょいネタ】

こんにちは!
ふーぽ編集部です。

突然ですが、岩佐又兵衛(いわさまたべえ)という人物をご存じですか?


江戸時代初期に活躍した絵師なのですが、近年かなり注目度が上がっているので「聞いたことある!」って人も多いのではないでしょうか。

実は又兵衛、福井ともすごくゆかりが深いんですよ。


そんな岩佐又兵衛を主人公にした長編小説「絵ことば又兵衛」が先日、あの文藝春秋から発刊されました。



なかなか越前成分も濃いめだったので、ちょっとご紹介しましょう。

 


まずは、岩佐又兵衛について少しおさらいしてみましょう。


岩佐又兵衛は、戦国武将・荒木村重の子として生まれました。又兵衛が幼い頃、父親の村重が織田信長に反逆したため、一族は女子どもにいたるまで滅ぼされました。

しかし又兵衛は奇跡的に逃れて京都で育ち、絵師として活躍。そして1616年、又兵衛が39歳の頃に越前藩主・松平忠直に招かれて越前の国に来ました。

福井には約20年間にわたって滞在、主に福井藩のために工房を率いて創作に打ち込み、「山中常盤物語」「堀江物語」など絵巻の傑作を生み出しました。

 

重要美術品 「三十六歌仙図 小野小町」 岩佐又兵衛筆 江戸時代(17世紀) 福井県立美術館蔵

 

岩佐又兵衛は、特定の流派に属さずに独自の画風を確立しました。特に人物画を多く残しており、伊藤若冲らとともに「奇想の絵師」と呼ばれ、近年注目を集めているんです。


福井県立美術館にも、岩佐又兵衛の作品が数多く収蔵されているんですよ。

 


ちなみに小説「絵ことば又兵衛」の帯を外すと現れる表紙は、又兵衛の有名な作品「洛中風俗図屏風」(部分)ですね。



本の著者は、演劇の原案も手がける気鋭の若手小説家・谷津矢車(やつやぐるま)さん。

物語では、幼いころから吃音というハンディを背負う又兵衛が、絵を描く喜びと出会い、母親への思いや父親への恨みなどさまざまな苦悩を経験しながら、絵師として独り立ちするまでが描かれます。


本の帯にはこうあります。

「百万語を費やすより、一枚の絵の方がよほど物を語る」


人と関わることの苦手な又兵衛が、懸命に創作に打ち込み、絵を描いて「語る」姿が胸に響きます。


さらに、なんと、著者の谷津さん本人も福井にゆかりがあるらしいです!

【谷津矢車さんの「note」から引用】

・・・わたしの祖母の実家が今の越前市に存在したのです。わたしの祖母は現越前市某所の名主の娘だったのですが、いろいろあって実家が零落(ぶっちゃけた話がGHQの農地解放で山地を除く土地を殆ど失う)、東京に出てきて祖父と出会うという年譜を送っている人物なのです。というわけで、わたし自身、四分の一あまりは越前の人間であります。

 

谷津矢車さんの「note」を読むと、ほかにもある福井との関わりや、福井を訪れた際の思いなども描かれています。

 

【谷津矢車さんの「note」から引用】

・・・そんなこんなで、『絵ことば又兵衛』の1/5は越前の話なので、きっと地元の方には楽しんでいただけるんじゃないかと思います。

 

また、谷津さんもこう書いているように、物語でも、越前国における岩佐又兵衛がしっかり描かれているんです。

 

ということで、越前・福井の成分がたっぷり詰まったこの「絵ことば又兵衛」。

秋の夜長に、じっくり味わってみてくださいね。

 


「絵ことば又兵衛」

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谷津矢車 著
四六判328ページ

価格:1,750円+税
発行:文藝春秋

 

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