福井で暮らす夫婦に聞いた、新しい“ふたり”の形。仲良く暮らしあっていくために大切なこと。

福井で暮らす夫婦に聞いた、新しい“ふたり”の形。仲良く暮らしあっていくために大切なこと。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

価値観が多様化している今、男女のありかたも変容しています。

今回はこれまでのかたちや考え方、場所や暮らし方にとらわれない新しい“ふたり”の形を2部形式で探ります。

前半は、福井で暮らす夫婦が、仲良く暮らし助け合って生きていくために大切にしている「しあわせの育て方」を、後半は同じ夢を掲げ働く「看板夫婦」を紹介します。

「誰かとともに暮らし、生きる意味」を見つけるヒントにしてみてくださいね。

しあわせの育て方

夫婦の数だけ幸せがあります。

仲良く暮らし、助け合って生きていくために大切なことを、4組の『名カップル』に伺いました。

 

「二人で踊れば 楽しさも倍に。」

タップダンサー 浦上明日香さん 浦上雄次さん

ひとたび音楽が始まれば、軽やかなステップに息もぴったり。足音が倍増することで、タップの迫力がより鮮明に伝わってくる


タップのリズムから笑顔が生まれる。

「彼のダンスを初めて見た時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。一瞬で引き込まれてしまい、それまで抱いていたタップダンスのイメージががらりと変わりました」と浦上明日香さんは話します。

二人の出会いの場は、約10年前に雄次さんが出演した大阪のダンスイベント。

明日香さんは観客として来ていましたが、終演後に「感動をどうしても直接伝えたくて」と雄次さんに声を掛けたことから、二人の交際は始まりました。

 

レッスン前に雄次さんの髪を編み込む明日香さん。「くせ毛なので編まないと大変なことに」 

 

その頃、雄次さんはソロのタップダンサーとして独立したばかり。

「思うようにいかない現実や自分自身のダンスに対する怒りで常に気が立っていて。よく話しかけてくれたなあと思いますね(笑)」と当時を振り返ります。

 

勝山のスタジオでの二人の練習風景。小気味よいタップの音が響く


2年の遠距離恋愛を経て結婚。

東京で新婚生活を送っていましたが、雄次さんは明日香さんの出産で里帰りに同行した際、勝山への移住をひらめきます。

「自分のタップと向き合うため、静かな環境を探していました。田舎で子育てをしたかったこともあり、勝山はぴったりの環境だと気付きました」と雄次さん。

その後、無人になっていた明日香さんの祖父の寺に引っ越しました。

 

福井市内のスタジオでのレッスン風景。年齢を問わず多くの人が雄次さんのタップに魅かれて集まる


現在は三人の子どもに恵まれ、2020年には勝山市内に「タップダンススタジオ足音」をオープン。

明日香さんは育児と家事の合間をぬって、雄次さんから少しずつタップを学びました。

「二人で踊れるようになりたくて、本堂の練習場で一人、練習を重ねました」。

現在明日香さんはキッズクラスを受け持つまでに上達し、イベントでは二人で踊る機会も増えてきました。

 

「カペチオ」社製のタップシューズ。ネジの閉まり具合で音を微調整する


「二人だと音が倍になるので迫力が出て、すごく喜んでもらえます。僕のソロより盛り上がることもありますよ」と雄次さんは笑います。

 

タップの音は心臓の音。

心が浮き立ち、笑顔になれる瞬間を多くの人に届けるため、二人は今日もステップを踏み続けます。

 

ふたりのカタチ「数珠」



僧籍を持つ明日香さんと、通信講座で勉強中の雄次さん。毎朝家族で御堂に集まり、仏さまにお参りするのが大切な日課。「マインドを整えるために必要な時間です」。

【プロフィール】
明日香さんは勝山市、雄次さんは熊本市出身。2012年に結婚。2015年に東京から勝山市に移住し、2020年越前大仏門前に「タップダンススタジオ足音」をオープン。勝山、鯖江、福井市内で教室を持つ。
ホームページ

 

 

「一緒に楽しめるものを もっと増やしていきたい。」

NICE TO MEET YOU 梅田アッコさん 尚史(なおふみ)さん

二人の好きなものが詰まった自宅「ナイスハウス」は初めて訪れた人も長居したくなるほど居心地が良い。部屋には溶接の技術を持つ尚史さんが作った家具も


結婚して9年、好きなものが融合してきた。

オシャレなベレー帽とハットがチャームポイントのアッコさんと尚史さん。

太陽のように明るい雰囲気のアッコさんとニコニコ穏やかな尚史さんを見ていると、思わずこちらも笑顔になってしまいます。

ホームパーティーや近くの山でキャンプやピクニックを行う活動「NICE TO MEET YOU」を主宰している二人。

知り合いはもちろん、ふらりと参加した初対面の人もゆるやかに交流できる場を作っています。

 

二人の出会いは2010年のこと。

東京に住んでいた尚史さんは、当時から友達づくりを目的に毎月ホームパーティーを開催していて、そこに来たのがアッコさんでした。

 

最近、尚史さんがハマっているのが読書。アッコさんは「ダーニング」という針仕事をすることが多い。二人別々のことをしていても、家にはいつも心地よい時間が流れる


「実は僕は内向的な性格。でもアッコちゃんは根っから明るくて誰とでもすぐ仲良くなれるんです。この人となら結婚してもいいなと初めて思えました」と尚史さん。

一方でアッコさんも「今まで出会ったことのないタイプ。イベントといっても収益を求めているわけではなく、ただみんなで楽しむ会なんです。狭い部屋に何十人もの人が来て、座る場所もないからみんな立ったままで楽しく人との出会いを満喫している。すごく世界がハッピーで、生きることが楽しそうな人だなと思いました」と尚史さんの印象を思い返します。

 

結婚して9年。

二人の決め事は特にないが、「人とのつながりを大切にする」ことだけは大事にしてきたそう。

「人が好きということは二人とも共通しているけど、性格や育ってきた環境は違うし、趣味も好みもバラバラ。けんかもよくしますが、二人の好きなことがだいぶ融合してきた気がします」と尚史さん。

 

東京・二子玉川の河川敷で執り行った二人の結婚パーティーには、約300人の友人が参列。神輿を担いだりライブや運動会を行ったりと、すべて自分たちで手作りした


コロナ禍になってからはみんなで集まる機会が少なくなり二人で過ごす時間が増えましたが、これまで馴染みのなかった漫才番組やお気に入りのポッドキャストを一緒に楽しむようになりました。

「一度しかない人生だし、一緒に楽しいと思えることを少しずつ増やしていけたらいいな、と思っています。将来のことは……あまり考えていませんが、たぶん10年後もこんな感じでふわっとしているんでしょうね」と語るアッコさん。

10年後の二人の姿が今から目に浮かぶようです。

 

ふたりのカタチ「#カワユイ妻」

カメラの購入をきっかけにアッコさんを撮り始めた尚史さん。「#カワユイ妻」のハッシュタグで撮りためた写真はそれぞれ150ページを超える2冊の本になり、アッコさんの自然体でキュートな姿が満載。もうすぐ3冊目が完成予定。

【プロフィール】
友人もはじめましての人もみんなで遊ぶ活動「NICE TO MEET YOU」を主宰。尚史さんは「foiktonika(フォークトニカ)」の屋号で鉄製の家具製作も行う。現在、福井市美山に家具工房を準備中。

尚史さんのInstagram
アッコさんのInstagram

 

 

「お互いが自由に。干渉せずに。」

英語教師 デビニュー志保さん デビニュー二コラさん

ブラックベリーが鈴なりの裏庭にて。姉御肌の志保さんが年上に見られることが多いが、実はニコラさんが二歳年上


無理に合わせないから心地よく暮らせる。

二人が出会ったのは、お互いに留学していた、米・サンタバーバラのホームステイ先。

「ニコラが私のホストハウスによく遊びに来ていたんです。そこからなんとなく」と志保さん。

それぞれが帰国した後も約3年間遠距離で連絡を取り合い、2010年にニコラさんが福井に移住する形で二人の結婚生活が始まりました。

 

二人の共通言語は英語ですが、「趣味も性格もとにかく真逆で何も合わないんです」と志保さんは笑います。

ニコラさんは真面目でシャイな性格。

自宅で仕事をしていることもあり、家事はすべてニコラさんが請け負います。

「男だから、女だから、という考え方は好きじゃない。家事はできる方がやればいい」とニコラさん。

 

一方、志保さんは外資系の英語教育企業で働き、出張も多いそう。

「私は細かいことは気にしない性格。家事やインテリアなどは彼の領分なので、一切口出ししません」。

 

とはいえ、小さなけんかはしばしば。

「思っていることを溜めない、隠さないことが私たちのルールかな」と志保さん。

二人の間に“我慢”や“遠慮”の二文字は存在しません。

 

週末は5歳になる愛息マテオくんと「全力で遊ぶ」というニコラさん。

自然の中で過ごすことが多いが、志保さんはインドア派。

「私は家にいることも。無理して合わせないですね」。

 

互いを尊重し合うからこその家庭内個人主義。

改めて、見習うところが多そうです。

 

ふたりのカタチ「アクアリウム」

自然や動物が好きなニコラさんの趣味で始めたアクアリウム。もちろんニコラさんが世話や手入れをし、志保さんは眺める係。

【プロフィール】
鯖江市在住。2011年に結婚。志保さんは英語教育企業に勤務。ニコラさんは仏・ニース出身。自宅で英語教室「ニコニコえいご」を主宰する
ホームページ

 

 

「みんなの幸せを 二人で描いて彩る。」

画家・アートディレクター ほりこしみきさん フォトグラファー・プランナー 堀越一孝(かずたか)さん

夫婦漫才のようにボケとツッコミの会話が続く楽しい二人。天真爛漫なみきさんは地元のシニアからの信頼も厚い


小浜への愛をかたちにしたい。

小浜市の自宅でデザイン事務所「UMIHICO」を営む堀越さん夫妻。

新築したばかりの住居にはL字型にデスクが置かれ、カメラや絵の具、写真集など、二人の仕事道具が所狭しと空間を彩っていました。

 

移住して4年目。

「小浜は同世代の職人さんが多く、いつもどこかで誰かが何かをつくっている。こちらも頑張らなきゃ、とモチベーションが上がりますね」とみきさん。

『誰かのイメージを形にする』をコンセプトに一孝さんと行政の紙媒体の製作や、地元の塗り箸製造会社の製品開発等に携わります。

 

一孝さんは元々発電プラントの設計士でしたが、地域おこし協力隊として長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)町へ。

趣味だった写真を仕事にしながら「UMIHICO」を設立。

任期終了後、都内の建築設計事務所に所属した際、仕事で小浜に縁が生まれ、「よそ者ではなく、地元民としてまちを盛り上げたい」と家族四人で移り住みました。

 

「引っ越しは12回目。梱包のプロです(笑)」とみきさん。

常に自分の物差しで考え、変化を恐れず行動する一孝さんに、「人生は一度きり。好きなことをやるべき」と背中を押してきました。

その分、節約のため「記念日や誕生日にはプレゼントをし合わない」のが二人で決めたルールです。

 

目下の悩みは、休日がないこと。

「オンとオフの区別をつけて小浜をもっと遊び、新しい発見をしていきたいです」

 

ふたりのカタチ「共作の出版物」

最近携わった製作物「WAKASA RENOVATION STANDARD」と「小浜をまもる風景」。地元の人たちに寄り添って取材・デザインした。

【プロフィール】
小浜市在住。みきさんは埼玉県、一孝さんは神奈川県出身。2005年結婚。中学二年、小学六年生の女児二人との四人家族。夫婦でデザイン事務所「UMIHICO」を営む。
ホームページ

 

 

わたしたち、看板夫婦です。

夫婦で看板を掲げて働く二人は、同じ夢を持つ同志でもあります。

お互いのこと、これからのこと、うかがいました。

【十人十色】吉田智子さん×吉田真さん

「十人十色Koya」にて。ほかに「十人十色dinings 」「十人十色BAR」がある


お互いの努力をリスペクト。

福井市片町で飲食店を営む吉田夫妻はどちらも食べる、飲むことが大好きで、「いいお店を作りたい」という想いが共通項です。

24時間一緒にいても、ほどよい距離感を保てる一方で、似た者夫婦のため反面教師になることもあるそう。

2022年4月にオープンした「十人十色Koya」は智子さんがマネジャーを務め、開店準備には経験豊富な真さんからの愛のむちもあったとか。

 

二人で働くことの良さは「全部! だけど特に悩みも喜びも共有できること」だそう


「厳しく言ってしまうこともあるけれど、何とかしようと頑張る姿に刺激をもらえます」と真さん。

お互いに相手を「努力の人」とリスペクトし、福井で“食を楽しむ文化”を醸成するため、楽しく奮闘を続けます。

十人十色dinings

福井県福井市順化2-7-16 城戸ビル2F
【営】18:00~23:00
【休】日・月曜
Instagram

 

 

【TOMART:(トムアート)】由衣さん×荻野勤さん

セルフで撮影。「撮られる側の気持ちが分かるね」と笑い合う


記念日を演出する最高のチーム。

鯖江市河和田地区で写真スタジオを構える、フォトグラファーの勤さんとスタイリスト兼アシスタントの由衣さん。

東京のスタジオで同僚だった二人が、2016年に勤さんの地元に移住してスタジオをオープンしました。

家族写真の撮影は、家族の歩みを記録する尊い仕事だといい、「写真だけでなく、撮影した日が記念日に思えるよう楽しんでもらいたい」と、一組一組に全身全霊で向き合います。

 

物撮りも一緒だと楽しい、と勤さん。由衣さんと意見を交わしながら、あうんの呼吸で進めていく


一つのことを貫く勤さんを誇りに思う由衣さんと、「僕の夢に付き合ってくれて感謝しかない。次は彼女が見つける夢を応援したい」と勤さん。

時々に合わせて変化していくお互いの夢を想い合う、最高のチームです。

TOMART:(トムアート)

福井県鯖江市磯部町2-19-1
撮影依頼・問合せはHPから。
ホームページ

 

 

【豆と月】タカハシミエコさん×タカハシマモルさん

マモルさんもTシャツ制作に着手。「夫がデザインして私が形にするのも素敵」と夢が広がる


相手の「楽しい」を想い合う。

女性のための手作りアンダーウエアや布ナプキンなどを製造販売する「豆と月」。

2016年にミエコさんが会社勤めを辞めてブランドを立ち上げ、2年前にアパレル経験のあるマモルさんが加わりました。

一緒に仕事をするようになり、けんかや言い合いもしながら、さらに絆が深まったのだとか。

 

イベント出店のほか、オンライン、自宅でも販売


これからのことを尋ねると、「二人で何か発信していきたい」「根っこは二人で」と声を揃えます。

日々の小さな幸せを集めながら、今を大事に、「お互い楽しいのが大前提」。

出会った20代の頃から似ていると言われていたという二人。

40代になってますます笑顔がそっくりな夫婦の未来は明るいものになりそうです。

豆と月

福井県鯖江市住吉町(販売所※インスタDMにて予約制)
オンラインショップ
Instagram

 

 

【ヒトトモリ】吉田カナさん×吉田瑛(あきら)さん

池田町にある家のすぐ裏手には山があり、自然が近い


二人の得意を活かして人と森をつなぐ。

デザイナーのカナさんと林業に従事する瑛さん。

運営する「ヒトトモリ」では、森と人の距離を身近にするため、子どもたちを中心に森の気づきを得る体験イベントや、日常に森の気配を感じられる商品を開発販売しています。

2014年に結婚し、ヒトトモリを始めて4年目。

人気は、生薬でありながら雑木として廃棄されるクロモジの枝と葉を使ったお茶で、瑛さんが収穫した葉の選別と干す作業は一緒に。

 

枝を煮出す「おやすみピンク茶」とリーフの「おはようキイロ茶」、草木染めキットなどを販売


パッケージデザインやかわいいネーミングはカナさんが担当。

自由な発想やデザインと、瑛さんの山の知識、広い視野から生まれたクロモジ茶は、すーっと爽やかでやさしく、日常のなかで自然を感じる幸せな瞬間を届けています。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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