いざ、福井市と越前町をまたぐ泰澄大師ゆかりの「越知山」へ。1300年の歴史ロマンを感じる低山登山にでかけよう!

いざ、福井市と越前町をまたぐ泰澄大師ゆかりの「越知山」へ。1300年の歴史ロマンを感じる低山登山にでかけよう!

こんにちは! ローカルライターのイシハラです。

木々の緑がまぶしくなる季節。山に登りたくなる時期でもあります。

福井には初心者向けの山がたくさんあるのですが、前回、福井の文殊山に登ってからすっかり登山にハマってしまいました。

【⇒文殊山へ登った時のレポートはこちらから

 

というわけで、今回登るのは越前五山の一つ「越知山(おちさん)です!

これを読んでから登ると、越知山の登山がさらに楽しくなるはずですよ!

 

越知山ってどんな山?

越知山は福井市と越前町をまたぐ標高612.8mの山。

福井県にある「日野山」、「文殊山」、「吉野岳」、「白山」に並ぶ越前五山の一つで、「日本100霊峰」にも選ばれています。

 

今回は越知山に詳しい「越知山泰澄塾(おちさんたいちょうじゅく)の塾長・山口賢治さんと三田村敏子さんに案内していただきながら、見どころを教えていただくことにします。

 

泰澄塾では越知山の整備や泰澄に関する書籍の発刊などさまざまな活動をしています。

山口さん(右)と三田村さん(左)


イシハラ
今日はよろしくお願いします!

さっそくですが、越知山ってどんな山なんですか?
 
山口さん
越知山は今から約1300年前に泰澄大師(たいちょうだいし 以下、泰澄)というお坊さんが修行した山で、その修行道が登山ルートになっています。

登山の初心者や家族連れでも気軽に楽しめる山なんですよ。
 
三田村さん
越知山の登山道には石仏などの歴史遺産も残されているんです。

一年を通して登ることができるので、四季折々の景色や草花も見どころですよ。
 
おお、それは楽しみ! 早速登ってみましょう〜!
 
 

 

【登る前に】持ち物をおさらい

【服装】
帽子、Tシャツ(速乾性のものが好ましい)、パンツ(綿素材以外のもの)、レギンス(虫除けのため)、ウインドブレーカー等の防寒具、厚手の靴下、トレッキングシューズ

【持ち物】
リュック、水筒、タオル、ゴミ袋、絆創膏、スマホ、熊除けの鈴

 

越知山は気軽に登れる山ですが、気温の変化に対応できるよう、服は重ね着できるものがおすすめです。

帽子はハチに刺されないよう黒以外が望ましいとのこと。

最近熊の目撃情報が増えているので、熊除けの鈴も忘れずつけていきましょう!

 

泰澄が修行した道で登ってみよう!

越知山は「経験者向き」、「ハイキング向き」など複数の登山ルートがありますが、今回は実際に泰澄をはじめ多くの僧が修行したといわれる「行者道コース」で頂上を目指します。

 

「行者道コース」は①番のルート。クリックで拡大します

 

登山スタート!

登山口の目印である奥糸生(おくいとう)多目的集会施設に到着しました。

▲公共交通機関はないので、自家用車かタクシーで向かいます

看板でルートを確認。ちなみに左側は越知山を描いた江戸時代の古地図だそう

 

入口付近こそ細い道ですが、少し進むと人が行き交うことができるくらい道が開けてきます。


イシハラ
それにしても、泰澄はどうして山に登る修行を始めたんですか?
 
山口さん
それはね、泰澄が14歳のときに夢で見たお告げがきっかけなんやね。

福井市の麻生津から越知山まで、片道約15kmの道を夜に登って朝には戻るという修行を繰り返しているなかで、悟りを開いたんですよ。
 

福井県内には泰澄ゆかりの寺社、仏像、山が400以上ありますが、この越知山こそが泰澄の原点のようです。

泰澄については
泰澄塾のホームページで詳しく紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。

⇒越知山泰澄塾HPはこちら
 
 

 

目印をたどって登るから初心者も安心

少し歩くと「一合目」と書かれた目印が見えてきました。

なんと、この目印は山口さんたちが設置したもの。

ほかにも登山道の約70ヵ所に道標・石柱・案内板が設置されています

 
山口さん
登山口から頂上までの距離をちょうど10等分して目印を建てたので、自分たちが今どの辺りにいるかわかりやすいと思うよ。
 
イシハラ
この道あってるのかなぁ……と不安になることもないので安心ですね!
 

 

この梯子もれっきとした登山ルートの一部

 

次々と現れる歴史遺産!

泰澄以降も多くの僧が修行していたという越知山には、いたるところに石仏や御堂の跡が残されています。

御堂があった「一の峠」

数百年間、登山者を見守り続けたであろう石仏

石仏を山奥まで運んできた昔の人ってすごい!

 

江戸時代の古地図をもとに歴史の痕跡をたどると、今でも新しい発見があるそう。

なんと、私たちが登った日のつい1週間前に発見された石碑もありました!

五大明王のひとつ、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)があったことを示した石碑

 

山口さん
近くに埋まっていたのを、偶然泰澄塾のメンバーが発見したんやって!
 
イシハラ
すごい! そんなことがあるんだ……

 

泰澄の気分になれる!? 巨大な岩屋

道を進んでいくと、泰澄大師が修行したといわれる岩屋があるということで向かってみます。

 

三合目を越えたあたりに目印があります

 

登山ルートから少し横道にそれると、突如大きな岩が!

ここで何日も過ごしたといわれる泰澄。

何を考え、何を思っていたのでしょうか。

 

 

越知山は植物の宝庫!

四合目を過ぎる頃から周りの景色も移り変わっていきます。

よく見ると、珍しい植物も。一年を通してさまざまな山野草を見ることができるのも越知山ならではの魅力です。

4〜5月に花が咲く「オオイワカガミ」は葉っぱが鏡のようにぴかぴかしているのが特徴

同じく春の時期に花が咲く「ツバキ」の群生地も見られます

ものすごく毒性が強い「マムシグサ」もありました

 

イシハラ
足下を見ると、こんなにいろんな植物があるんですね。
 
 
三田村さん
きれいでしょう。

植物の写真撮影を目的に、越知山に登る人も多いんですよ。

 

山中の木には越前町立福井総合植物園「プラントピア」の園長と糸生地区の区長会が監修したプレートがつけられています

 

三田村さん
わからない植物を見つけても、最近はスマホのアプリですぐに名前を調べられるから、便利な世の中よね〜。
 
イシハラ
すごい、三田村さん使いこなしてるなぁ。

 

登り始めて約1時間半、「独鈷水」に到着

周りの景色を楽しみながら1時間半ほど歩くと「地蔵堂」に到着しました。

ちょっとした休憩スペースになっているので、ひと休み。

さらにここから左へ10メートル程下ると「独鈷水(とっこすい)という湧水があります。

泰澄大師が修行中、護身用に持っていた「独鈷」という棒で岩を突くと、湧き出たことが由来になっているそう。

「福井県内で最も冷たい霊水」としても有名で、水を汲む登山者も多いのだとか

 

さらに約1時間はブナ林を楽しんで

さぁ、ここからもうちょっと進んでいきましょう!

六合目を過ぎると道がさらに開け、美しいブナ林が広がります。

古くからこのブナ林は「連理枝(れんりえ)の森」と呼ばれているそう

 

時折、木々の間を風が通り抜けてとても気持ちいいです。

木々の間からは美しい景色が!

山頂まであと一息です!


登り始めて2時間半、越知神社に到着!

美しいブナ林の景色に癒されながら登ること2時間半、ようやく越知神社に到着しました!

この道を毎晩登っていたとは、泰澄の凄さをあらためて感じます。


越知神社は泰澄が
3つの仏像を彫り、山頂に社を建てて「越知山三所大権現」として祀ったのがはじまりといわれています。

山口さん
境内も見どころがたくさんあるんですよ。

例えば、このトチノキの御神木。

泰澄が植えたともいわれていて、幹周りがなんと8メートルもあるんです。
 

 

写真ではその大きさが伝わりづらいかもしれませんが……

たしかに大きい!!!

 

さらに境内を進んでいくと、室堂や護摩堂、大師堂、千体地蔵、神宝庫などがあります。

不動明王を祀る「護摩堂」。隣の「室堂」にはトイレもあります

平成24年に改修した、木造の循環式トイレ(開放期間:4月20日~11月20日)

泰澄の像が祀られている「大師堂」

「千体地蔵」は迫力満点!

観世音菩薩を祭神とする「神宝庫」。写真右手に見える「縁結びの松」に参道や社殿の松の枝を結びつけると願いが叶うといわれています

 

いよいよ山頂、奥の院へ!

神宝庫からさらに5分ほど登ると頂上の奥の院です。

奥の院までの道は、その昔女人禁制だったそう

 

途中、「明日の岩屋」や「独鈷水」に寄り道したので、通常より少し時間がかかりましたが、登り始めて約3時間で頂上に到着しました!

こちらが奥の院。泰澄の弟子である臥(ふせり)行者が修行した場所ともいわれています

山頂の証、三角点も確認!

 

それでは山頂からの景色をご覧いただきましょう

 



じゃじゃーん!!!/

この日は少し霞んでいましたが、コンディションの良い日は白山がバッチリ見えます!

別の方向からは日本海も

 

\山頂の全体図はこちら/

クリックで拡大します


イシハラ
いや〜見どころがたくさんある登山でした!

泰澄も名前を聞いたことがあるくらいでしたが、1300年前の痕跡が残されているところにロマンを感じましたね。
 
山口さん
泰澄はまだまだ謎が多い部分もありますが、この場所が今も続いている信仰のきっかけになったかと思うとすごいですよね。
イシハラ
修行道と聞いていたので、どんなに険しい道なんだろうと思っていましたが、私のような登山初心者も息切れすることなく登れたのでよかったです!
 
 
三田村さん
子どもから大人まで登れるのも越知山のいいところですよね。越知神社から花立峠に向かうルートはさらになだらかなので、ピクニックにもおすすめですよ。

 

あっという間の3時間。

歴史や自然など、越知山は思わず誰かに伝えたくなるトリビアが満載の山でした。

 

これを読んでから越知山に登ると、ちょっと自慢できるかも(笑)。

みなさんもぜひ泰澄の足跡をたどりながら越知山登山を楽しんでみてください!

 

【まとめ】今回登ったコースをおさらい

 行者道コース 

ルート奥糸生多目的集会施設(越前町・小川集落)〜独鈷水〜越智神社〜奥の院
所要時間片道約2時間半〜3時間
駐車場あり(最大20台程度)
トイレあり ※室堂にもトイレあり
登山道概要初心者から経験者まで複数コースあり、年間を通して登山可能、日が落ちるまでに下山すること
注意事項適度な休憩と水分補給を。ゴミは必ず持ち帰りましょう
越知山泰澄塾公式サイトはこちら

※泰澄に関する歴史には諸説あります

 

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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