廃材にも新しい価値を与えユニークな商品を生む発明家。「バルーンショップコンパス」の岡本 克さん。（福井市）【こたかな福井人】

福井市中心部から車で西に約30分。

のどかな自然に囲まれた本堂町に、ユニークなアイデア商品を次々と生み出す“まちの発明家”がいます。

桜が丘団地にある「バルーンショップコンパス」のオフィスで会社を経営する岡本 克（おかもと まさる）さんは6年間で20種類以上の商品を開発。

現在、大手百円ショップやアウトドアショップ、自社の通販サイトで販売されています。

岡本さんは大阪市出身。

地元で美容材料の卸売り会社に勤めていましたが、30歳の頃新しい土地で働こうと福井に移住しました。

手先の器用さを活かせると友人に勧められ、名古屋の大手バルーン会社で研修を受けた後、2008年に現在の会社を起業。

結婚式やイベント会場で、小さな風船を組み合わせた細やかな装飾から骨組みを使った大規模な装飾まで幅広く携わりました。

起業から4年後、「これまでとは違った風船の演出で訪れる人を喜ばせたい」と考えた岡本さんは、最初の商品を開発しました。

完成したのは、巨大なクラッカーに大きな風船をつけた「バルーンクラッカー」。

紐を引くと風船が割れ、中からたくさんの小さな風船が飛び出します。

販売後は、テレビ番組や音楽ライブの演出でも多用され、一躍有名に。

「観客が“何が始まるんやろ”って前のめりになっているのを見て、思わずガッツポーズしました。」

2014年には、逆さにしても中の液体がこぼれないシャボン玉容器、2017年には煙を最小限に抑えた焚火ができるウッドキャンドルと次々商品を開発しました。

岡本さんが並の発明家と違うのは、アイデアを具体な商品の形まで仕上げ、販売するまでをすべて1人でこなすところ。

商品の流行や価格を調べ、3D設計図を作成する専用ソフトの使い方を独学し、協力工場や卸売り先には何社も自ら足を運んで交渉します。

特に苦労したのは、企業や工場に世の中にまだない商品の価値を理解してもらい、協力を取り付けること。

「一度ダメだったとしても、部署を変え、切り口を変えて何度も交渉しました。アイデアには自信があったので、諦めませんでした。」

現在は廃材を活かすアップサイクルにも力を入れ、新たな商品づくりに挑み続ける岡本さん。

アイデアの源となっているのは、関西が生んだ“もったいない精神”だと話します。

「まだ使える用途が有る材料なのに活用しきれず破棄されるモノの多さに驚きました。ちょっと工夫すれば、こんな物に出来るやん！って。捨てられる物から新しい価値を生み出す製品作りが僕の今の楽しみになっています。」