地域への想いがあたたかい未来を紡ぐ。「味真野茶屋」の渡辺 喜恵さん（越前市）【こたかな福井びと】

福井県内唯一の茶葉の産地で、700年の茶文化が残る越前市 味真野地区。

同地区の「味真野茶屋」では、名産の味真野茶を使ったデザートや定食を提供しています。

店主の渡辺 喜恵さんは、公民館を65歳で退職した後、クラウドファンディングで資金を募り、2023年7月に店をオープンしました。

開店から1年が経ち、県内の常連客はもちろん、県外からの観光客も増え、味真野地区の新しい交流の拠点となっています。

渡辺さんは28歳で結婚し、味真野地区の隣、旧今立地区に移住。

子育てをしながら一般企業に勤めていた頃、自治会の活動の中で地域づくりに興味を持ち、公民館職員へと転職します。

配属されたのは味真野公民館。

「地区には、『土産品がない』『観光客の滞在時間が短い』などの課題がありましたが、名産の味真野茶を活かせば、もっと地域を盛り上げられると思いました」

渡辺さんは、茶そば打ち体験の開催や味真野茶保存会の活動のサポートに励みます。

そうして、12年に渡って味真野公民館の職員として課題に寄り添ってきた渡辺さんは、退職した後も何か地域に役立つことをしようと、住民が集う茶屋の構想を思いつきます。

さっそく店の資金をクラウドファンディングで募ると、わずか1カ月で目標金額に達成。

初めての飲食店経営に不安を感じていた渡辺さんは背中を押されます。

「支援者の半数以上が味真野地区の人でした。これだけの方が応援してくれたのだから、その想いにきちんと応えたいと思いました。」