発酵デザイナー小倉ヒラクの《ほくりく発酵ツーリズム》-第13回-西でも東でもない、北陸のあっさり味噌(福井・富山編)

    発酵デザイナー小倉ヒラクの《ほくりく発酵ツーリズム》-第13回-西でも東でもない、北陸のあっさり味噌(福井・富山編)

    ふーぽ読者のみなさん、こんにちは。
    発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

    福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中の《ほくりく発酵ツーリズム》を、ふーぽでもお届けしていきます。

    福井県をはじめ、石川・富山を含めた“北陸”の発酵文化を紹介します。

    発酵から北陸の歴史や気候風土を読み解いていきましょう!

     

      発酵デザイナー 小倉ヒラク

      1983年東京都生まれ、山梨県在住。文化人類学と発酵学を独自に融合させた「発酵文化人類学」を展開し、「発酵デザイナー」の肩書で微生物研究や食文化の普及に取り組む。著書『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』。金津創作の森美術館(福井県あわら市)で北陸の発酵食文化を紐解く展覧会「Fermentation Tourism Hokuriku ~発酵から辿る北陸、海の道」2022年9月17日(土)~12月4日(日)を開催予定。

      展覧会詳細は金津創作の森美術館HPまで。

       

      僕が一番最初に学んだ発酵食品はお味噌。

      今ではお酒や調味料、漬物など発酵食品全般に関わるようになりましたが、僕の発酵愛の原点として、お味噌の現場を訪ねるのはいつでも大きな喜びです。

      お味噌は土地ごとに個性が明確に違う多様性の文化。

      北陸のお味噌にはどんな傾向があるのでしょうか…?

      塩はしっかり、発酵はやや浅め

      結論から言うとだな。

      福井と富山のお味噌は比較的味と製法の共通点が多いと言えます。

      石川、とりわけ金沢周辺の味噌だけちょっと異質なのですが、それを除くと「北陸らしい味噌」をなんとなく定義できそうです。

       

      ポイントは「塩はしっかり、発酵はやや浅め」の製法。

      味噌の味わいは原料のバランスと熟成期間の組み合わせで決まります。

      麹と大豆を1対1の割合で、かつ12〜13%の塩を合わせ、1年ほど熟成させるのが標準的なお味噌のレシピ。

      いわゆる「信州味噌」のスタイルです。

       

      この標準に対して、北陸の味噌は①麹の量がやや少ない ②塩分は同量 ③熟成期間がけっこう短い、という特徴があります。

      麹の量が少なく、塩の量が多いと普通は熟成期間が長くなります。

      麹には発酵を進めるための酵素が含まれています。

      麹の量を少なく仕込むと、酵素の量が少ないので必然的に時間が長くなります。

      東北や関東のお味噌がその典型です。

      ゆっくり発酵熟成させることにより、色が濃くてコクのあるお味噌ができるんですね。

       

      一方、麹の量が多いと発酵が速く進むので、麹量が多い関西型の白味噌は、数日〜2カ月くらいで発酵が終わってしまいます。

      色が白くて甘くてさっぱりしたお味噌は関東型と全く違う味わいです。

      上品な飴色


      しかし北陸。

      麹の量が少ないのに熟成期間が短め

      原料バランスは関東型

      発酵熟成は関西型

      その結果しっかりしょっぱめ、なのに熟成が浅く色の薄いお味噌ができあがる不思議。

      味のバランス、ちゃんとまとまるのかしら? と不思議に思ったのですが、塩がしっかり効いてさっぱりしたその味わい、なかなか悪くない…!

      魚介に合う上品な風味

      関東と関西がミックスされた北陸味噌

      どうしてこのようなスタイルになったのか、実際に蔵を見学してその理由を探ってみました。

       

      福井市内にある米五では、北陸の典型的なお味噌をつくっています。

      麹が多くないのに白味噌に近い熟成、これいかに? と尋ねてみたらば「色が薄いと上品に見えるのでこうなった」とのこと。

      永平寺御用達の米五の味噌

       

      濃い飴色の米五のお味噌。

      自家製の麹のクオリティが高いので、熟成が浅くても味がまとまっていて、独特の品の良いさっぱり感があります。

      なるほどなるほど。

       

      そして富山県氷見のツルヤ味噌

      こちらは麹の量がかなり少なく、熟成が浅く濃い飴色

      さらに水分が多くネロっとした質感のひときわユニークな北陸味噌

      これいかに? と尋ねてみたらば「氷見はもともと漁師が多く、魚の身を入れたアラ汁にこの味がよく合う」とのこと。

       

      なるほどなるほど。

      豆腐やワカメの定番味噌汁ではなく、北陸ならではの魚介類や山菜類をたっぷり入れるお味噌汁ならば、味のコクは具材から出るのでお味噌自体はさっぱりめ、かつ塩味が効いていればそれでしっかり機能するわけなのですね。

      ブリのアラとかカニの足なんかを入れた味噌汁によく合うのが北陸味噌なわけですね。

       

      ちなみに金沢周辺の加賀みそは、典型的な北陸味噌よりもしっかり麹を使うので、甘みやコクが強い印象。

      北陸随一の都の財力が、麹の量にあらわれているわけですなあ…。

      味噌はその土地の個性を表す、というのはこういうことでございました。

       



      いかがでしたか。

      北陸の発酵文化を訪ねる《ほくりく発酵ツーリズム》

      次回もお楽しみに!

      【連載】ほくりく発酵ツーリズム
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