「自分の体とちゃんと向き合えば、人生がとても豊かになります。」理学療法士・福田裕子さん【ふくい人に聞く】

※福井県ゆかりのさまざまな人たちにインタビューする連載です。　

理学療法士
福田裕子さん

延べ8万人以上に運動療法を指導してきた経験を基に、「10秒ポーズ健康法」を考案した理学療法士の福田裕子さん（鯖江市）。

2019年12月には初の著書を全国出版しました。

ネットで動画も配信しており、室内で手軽にできる健康法として人気が広がっています。

福田裕子さんが提唱する「10秒ポーズ」は「疲れない、きつくない、つらくない」がコンセプト。

やり方は驚くほど簡単だ。

10秒間、体を静止させて決められたポーズをとる。呼吸を止めず、ゆっくりと息を吐きながら数を数える。

それだけで体がポカポカ温まり、うっすらと汗がにじんでくる。

「老若問わず誰にでもできて、一度覚えれば一生の財産になる。ほかの健康法が続かなかった人にもおすすめしたいですね」

著書では基礎のポーズ17種類と、応用の８種類のポーズを紹介。椅子や壁を使ったり寝転んだりと、どれも家やオフィスなどで手軽にできるもので、撮影のために作られた細かく関節が駆動するオリジナルの人形とイラストで解説している

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2019年12月、「ヘソビーム」「フェニックス」など主要なポーズ25種類をまとめた解説本を出版した。

しかし間もなく、新型コロナウイルスの流行で全国的な外出制限の状況に。

「多くの人が家にこもりきりになり、不安な気持ちから心身のバランスを崩すケースが多く見られました。今だからこそ、自分ができることで何か役に立てないかと考えました」。

5月初旬には、自ら10秒ポーズを実演する動画の無料配信を本格化させた。

▲福田さんが運営するYouTubeチャンネル「福井のゆうこりん」では、自ら実演しながらポーズを解説。主要なポーズ一つ一つについて、力を入れる箇所や姿勢など気を付ける点を分かりやすく説明していて、高齢の視聴者にも人気だ

福田さんの理学療法士としてのキャリアは30年近くに及ぶ。

かつて病院や介護老人施設、社協のスタッフとして働き、介護予防やリハビリ指導に取り組んできたが、次第に限界を感じ始めたという。

「多くの人が病気や老化で動けなくなってから初めて健康の大切さに気付く。その姿を見るたびに、いつも悔しく悲しい思いを抱いていました。また介護する側の人たちの心身もケアしたいと考えるようになったんです」。

もともとあった理学療法のプログラムに介護・医療関係者、お年寄りらの意見を取り入れながら改善を続け、「10秒ポーズ健康法」に発展させた。

個人事業主として普及に取り組む中、東京の出版社に企画が認められ、数年越しの準備を経て書籍化が実現した。

体をうまく動かせない人、何かと忙しい毎日を送っている人も、簡単に始められて続けられる健康法。

そんなハードルの低さに徹底的にこだわったのは、思うようにならないアトピーの症状で苦しんだ自身の経験があったからだという。

現在、ポーズは60種類を超え、さまざまな体の不調に対応する。

福田さんの元には、体調が良くなったという高齢者からの感謝の便りが数多く届く。

「立てること、歩けることは決して当たり前じゃないんです。長年一生懸命に働いてきた人の体を守り、希望や生きるエネルギーを取り戻すお手伝いをしていきたい。ぜひ若いうちから暮らしに10秒ポーズを取り入れてほしいですね」

福田裕子(ふくだゆうこ)

1969年、旧今立町（現・越前市）生まれ。
武生高校、京都大学医療技術短期大学部を卒業。
病院や介護施設、社会福祉協議会勤務などを経て、2007年に独立し「スタジオ・ユウ」設立。
「10秒ポーズ健康法」の普及に取り組み、2019年12月には初の著書「一生歩ける10秒ポーズ健康法」（サンマーク出版）を刊行した。

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