越前和紙のまちで紡がれる紙ものづくり。福井の工房・作家・印刷の現場を訪ねて。

越前和紙のまちで紡がれる紙ものづくり。福井の工房・作家・印刷の現場を訪ねて。

越前和紙の産地・福井では、紙を漉き、切り、刷り、形にする人たちが、日々ユニークな紙づくりを続けています。

今回は、廃棄食材や石、植物、余り紙など、さまざまな素材に向き合う6つの紙の現場へ。

素材の物語が息づく、福井ならではの“紙もの”の世界をのぞいてみませんか。

五十嵐製紙

「B5ノート」税込550円、「メッセージカード」税込594円、「しおり」税込220円。ざらっとした手触りなのにすらすら書ける

廃棄食材が、紙に生まれ変わる。

息子の自由研究から『フードペーパー』が生まれました」と和紙職人の五十嵐匡美(まさみ)さん。

優翔さんが5年間続けた自由研究

小学4年生だった息子の優翔さんが、バナナの茎から紙を作る「バナナペーパー」の映像を見て「捨てられる食べ物も紙になるのでは」と思いつきました。

食べ物の繊維を「紙漉き枠」に溜めやすくするための「ねり」を準備します

和紙の原料となるミツマタのちりを、手作業で丁寧に取り除きます 

試行錯誤を重ね、ショウガを混ぜれば爽やかな香りが、玉ネギを加えると繊維の感触が残る紙が完成。

混ぜ込む野菜や果物によって変化するテクスチャーや風合いから、食と紙の循環を感じられます。

五十嵐製紙

福井県越前市岩本町12-14
☎0778-43-0267
【販売サイト】ホームページ ※しおりは直売のみ
【取り扱いSHOP】
・SAVA!STORE(鯖江市・福井市)
・道の駅 南えちぜん山海里(南越前町) など

 

滝製紙所

御朱印集めがさらに楽しくなる「じゃばら帖Pebbles」税込2,420円。川辺の砂利を思わせる柄。和な色合いが映える御朱印帳も販売

石の表情を御朱印帳に閉じ込めて。

大紙を漉く滝製紙所では、規格外や余った和紙も多く、それを粉砕して御朱印帳などに再利用してきました。

ある時、「自然界にあるものを紙で表現する」という企画が舞い込み、東京を拠点に活動するデザイナーの柴山修平さんと力を合わせることに。

大紙を漉く、瀧英晃さん。さまざまなデザイナーや企業とコラボすることも多い

着想源は、砕いた天然石をセメントや樹脂で固め、磨き上げて仕上げる人造石タイル「テラゾータイル」。

その石の質感を紙に映し出そうと工夫を重ね、自然な色合いと石目模様をまとった御朱印帳が生まれました。

滝製紙所

福井県越前市大滝町27-30
☎0778-43-0332
【販売サイト】ホームページ

 

ミカズキ

「ポストカード」税込250円、「ちいさなカード」税込350~450円など。いつも目にする場所に飾るのもおすすめ

暮らしの中で、紙を切り抜く。

13年前、今立の手漉き和紙に触れたことがきっかけで創作を始めた切り紙作家のミカズキさん。

パレットや水彩絵の具、のり、ハサミなど、愛用の道具 

お気に入りの和紙を自ら選び、水彩でふんわり色をのせます。

水彩を重ねた和紙は、色合いが淡く美しい

トレーシングペーパーには別の紙に描いた図案を印刷。

イチョウ型に切ったトレーシングペーパーをノートに貼ります

植物や食べ物など身近な題材を、下書きなしで切り抜き、紙の透け感や重なりを楽しめる作品に仕上げます。

自由に手を動かして生まれる紙ものには、温かく優しい雰囲気がにじみ、手にする人の心をそっと包みます。

ミカズキ

福井市在住の切り紙作家が手がける紙雑貨ブランド。Creemaでも販売中
Instagram
【取り扱いSHOP】
・saji space(坂井市)
・IRIS flower&colour(福井市)など

 

テトイロ

ハハコグサやアナベルなどの「ノート」税込880円。不定期でノート作りのワークショップも開催。封筒やポチ袋、包装紙、手紙セットも

身近なひとひらを、一枚にとどめる。

和紙市への参加をきっかけにその魅力に惹かれ、越前和紙を使った文具を作り始めたテトイロの野尻千恵子さん。

ノートには「太陽を感じる」「心をひとつに」といった言葉が、押し花にそっと寄り添うように配されています。

ポチ袋の絵柄をランダムに切り抜きます

ノートの表紙に和紙を一枚ずつ貼り

植物は出かけた先々で見つけたものを使い、表面には薄い和紙を重ねて、日常で手に入れた小さな素材を一冊に。

一つ一つ大切に手作業で仕上げる紙ものからは、特別な温もりが感じられます。

私物の眼鏡をモチーフにした消しゴムハンコも自作。カラフルな和紙のコラージュも

テトイロ

福井市在住の野尻さんが2013年より販売を開始した、越前和紙を使った文具ブランド
Instagram
【取り扱いSHOP】
・県立美術館ミュージアムショップ(福井市)
・わおん書房(福井市)
・Sympa 鯖江店(鯖江市)
・三本日和(坂井市) など

 

サカエマーク

右から「黒猫と空の旅レターセット(星空)」税込800円と「黒封筒レターセット」税込700円、「黒猫さんのシンプルレターセット」税込750円。付属の透明シールを貼ると、黒い便箋に黒猫が現れる仕掛け 

余った紙に、印刷加工の魔法を。

トレーシングペーパーの封筒を透かすと、黒猫が一匹。

便箋の色で、封筒の猫の目の色が変わるなど、繊細な仕掛けが楽しく、思わず大切な人への手紙に使いたくなります。

余った紙やロール紙を活用

幅1.6mの大判まで印刷できるUVプリンター

印刷会社「サカエマーク」では、普段なら捨てられる、印刷や加工の合間に出る余り紙を再利用し、紙の質感や透け感を生かした遊び心あふれる紙アイテムを作っています。

箔押しやエンボスといった、高度な印刷加工技術を駆使し、ここでしか作れない自由なアイデアが満載です。

ブックカバーやコースターなども販売

サカエマーク

福井県鯖江市丸山町4-1-45
☎︎0778-52-2500
【販売サイト】ホームページ

 

大一印刷

「komemo」税込660円は、CO₂とフードロス削減に貢献できます。米粒のふっくら感がおいしそうでずっと触っていたくなる

みんなにおいしい、お米のメモ帳。

「ドットの活版がお米みたいだなと思ったことがきっかけ」と「komemo(コメモ)」開発者の藪下昌世さんは振り返ります。

商品化に向けて紙を探していたところ、紙会社「ペーパル」が作る、食品として流通できなくなった米とパルプを組み合わせた特殊紙「kome-kami(コメカミ)」に出合いました。

50年以上稼働する活版印刷機

米の凹凸を表現する樹脂板を設置し、数トンの圧力をかけます 

オフホワイトの紙に、活版で表現した米の凹凸が浮き上がる。

kome-kamiの売上の1%はフードバンクに寄付され、誰かを助けることにもつながっています。

紙の強度と発色を高める、米を原料にした塗工液「コメグロス」を使用

大一印刷

福井県福井市前波町17-6-1
☎︎0776-41-3741
【販売サイト】ホームページ
【取り扱いSHOP】
・勝木書店(県内)
・うちのぶどう(鯖江市)
・Sanshimai(坂井市) など

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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