【ふくいデザイン探訪Vol.2・株式会社米五】「新しい懐かしい味」で、次代に伝統を繋ぐ老舗味噌屋。

【ふくいデザイン探訪Vol.2・株式会社米五】「新しい懐かしい味」で、次代に伝統を繋ぐ老舗味噌屋。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

デザインセンターふくい(公益財団法人ふくい産業支援センター デザイン振興部)が展開している「DESIGN CONNECT」事業。

今年11月25日からの約1カ月間、県内企業のデザイン活用事例等を紹介する「デザインコネクト展」を、福井ものづくりキャンパスで開催予定です!

展示会に先立ち、ふーぽ上では「ふくいデザイン探訪」と題して、デザインの観点を取り入れ、企業ブランディングや商品・サービスの開発を行った、県内企業の先進事例を、全10回にわたり紹介していきたいと思います。


デザインの活用によって成長が期待される製造業・農林水産業・飲食業・サービス業等、様々な企業やクリエーターに向け、デザイン導入事例や先進事例を紹介する「オンライン講座」や「デザイン展」を開催。

新しい時代を切り拓く、人の心を魅きつける商品やサービスはどのようなものか、どのように生み出されるのか、県内外で活躍するクリエーターや県内企業とともに考え、そこからはじまる新たなアクションを応援します。

【⇒過去のデザインコネクト関連記事はこちらから】


今回は、デザインを活用した企業ブランディングに取り組む株式会社米五をご紹介します。

◆ 江戸時代に創業、大本山永平寺御用達

米五は江戸初期の寛文年間に米店として創業し、天保2(1831)年にみその製造を始めました。2021年には創業190周年を迎える老舗です。

昭和40年台ごろから、永平寺町の大本山永平寺のみそ蔵でみそ造りを請け負うようになり、その後は本山御用達として本山伝統の製造法でつくったみそを本山に納めるようになりました。


戦後に伸びていたみその消費が頭打ちになった1990年代頃からは、販路を個人向けにシフト。カタログを用いた通販を始め、90年代後半にはインターネット販売にも、県内ではいち早くチャレンジしていきました。


「現在は、国内産の材料のみを用いたみそづくりにこだわり、おかずみそやつけみそ、みそを用いた食品などを製造しています」と、11代目社長の多田和博さんは話します。

 

◆ コト消費でみそに親しむ「みそ楽」オープン

多田社長は、「味噌の消費をさらに広げるためには、『知る』『体験する』『食べる』『買う』を総合的に提供できる場が必要」と考え、2018年には物販とカフェ、体験スペースなどを備えた新店舗「みそ楽(らく)」をオープンしました。

カフェ「misola(みそら)」ではみそを用いた料理やスイーツなど、新しいみその使い方や味わい方を提案しています。

「みそづくり体験スペースでは、永平寺の参拝客など観光客の取り込みを図ることも目指していますし食育などへの活用も視野に入れています。

こうした『コト消費』を通じて来店してくださった方に、物販スペースで自社商品を手に取ってもらい、米五の味噌を愛用してくれるお客さんが増えていくことも期待しています」。

 

◆ 将来の「みそ蔵」のあり方とは?

「実はデンマークのカフェをイメージしたんですよ」というmisolaの店内は、白い壁と木のぬくもりが感じられる中に、畳や格子戸風の窓枠などを取り入れた“和モダン”な空間になっています。

「みそ蔵といえば“歴史を感じる土蔵”とイメージにはしたくなかった。

そうではなく、『将来のみそ屋の新しい伝統をつくっていきたい』という思いがあったんです」。


そしてこの将来像は、米五社員全員が共有し、日々の業務に反映されています。

 

◆ 目指すのは「懐かしい新しい味」

その背景にあるのが米五のインナーブランディングのための取り組みの積み重ね。


「きっかけは約10年前、新入社員だけで新商品のおかずみそ『カレー味噌』の開発を担当してもらったことですかね。

新入社員の研修では、デザインセンターふくいにもサポートしてもらい、マーケティングや商品のアイデアづくりを学んだことも、この商品のヒットにつながりました」。

 

その経験があって、次のステップとして選んだのが、企業の足元を見つめ直し、1年かけて自分たちはどうあるべきかを探求すること

江戸時代創業の老舗で大本山永平寺御用達という、米五が長年にわたって積み重ねてきた伝統を元にしながら、未来を見据えて自分たちが築いていくあり方を、

 

「新しい懐かしい味」

というタグラインに結実させ、それを全社員が仕事をする上での約束として共有し、日々の業務や新規プロジェクトの実現に向けて進んできました。

 

◆ 自由でユニークな新商品や企画を生む秘けつ

米五を訪れると、若い社員たちがオープンかつフラットな雰囲気の中で、伸び伸びと仕事をしている姿が印象的です。

みそ楽のオープンも、全社員参加のプロジェクトとして進めました」。


また、カフェ店長は、同センターのデザイン研修(福井デザインアカデミー)を受講して、開店計画をブラッシュアップし、デザインの視点を事業に反映させているそうです。

そして、当時、研修のサブ講師をされていたアーチザン&パートナーズの景山直恵さんとは、現在でも「みそ楽」の展開について相談にのってもらえるよい関係性が築かれています。

 

「社外で学ぶだけでなく、社内では毎月1回のペースで『社員勉強会』や20代社員の勉強会『こめたま会』などの勉強会を開き、業務としても『顧客感動』『新商品』などの委員会が活発に開かれています」。

そうした活動からさまざまな新商品が生まれているとともに、手作りみそセットの購入者がつくったみそを審査する「手前味噌グランプリ」や、社員教育の一環として進めている読書の取り組みから派生した、社員が本屋大賞ノミネート10作品を読んで、本屋大賞発表に先駆けて一番味わい深い本を決定するという「みそ屋大賞」といった、自由で自発的な独自企画の実現にも結びついています。

 

「これからも味噌屋としての伝統を守りながら、時代に向き合い、新たな商品やサービスに挑戦し続けていきます。

まずは2023年の北陸新幹線福井開業に向け、体験観光拠点としてもっと県外のお客さんを増やす取り組みを進め、味噌の魅力と可能性を、さまざまな形で多くの人に届けていきたいです」。

 

株式会社米五

福井県福井市春山2-15-26
☎0776-24-0081

公式ウェブサイトはこちら

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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