一乗谷朝倉氏遺跡の新たな楽しみ方! 「石」にフォーカスして歩いてみると、知らなかったスポットと魅力がいっぱいだったよ。

一乗谷朝倉氏遺跡の新たな楽しみ方! 「石」にフォーカスして歩いてみると、知らなかったスポットと魅力がいっぱいだったよ。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

2022年10月1日、福井市の一乗谷に「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」がオープンしますね!

 

最盛期には1万人が暮らしていたとされる戦国城下町「一乗谷」にあらためて注目が集まっていますが、

実はここはかつて高度な「石」の技術を計画的に使って作られた都市だったことをご存じでしょうか?

 

それのみならず、現在の福井市と勝山市には、中世から近世の「石のまちづくり」に関わる文化財が数多く残り、それらはまとめて日本遺産「石がたり」として認定されているんです。

 

一乗谷は「唐門」や「復原町並」など良く知られた見どころが多いですが、石という新しい切り口で見てみると、実は隠れた魅力が満載なんですよ。

 

ということで今回ふーぽ編集部は、新博物館のOPEN記念として、その「石」に注目しながら、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館から唐門・庭園エリアまでを実際に歩いて体感してきましたよ!

 

日本遺産「石がたり」とは

越前国は古より京から北陸への入り口となっており、15~16世紀の戦国時代には、「石」を計画的に用いて築かれた都市である、福井市の「一乗谷」と勝山市の「白山平泉寺」が大いに栄えました。

石で築かれた都市は遺構として残るだけでなく、今もまちなかの身近な風景の中に見つけることができます。

石とともにあるまちと人とのストーリーが、日本遺産に認定されています。

まち歩きの始まりはJR越美北線。電車で朝倉氏遺跡へ

まず降り立ったのは「越美北線(えつみほくせん) 一乗谷駅」

のどかな景色が広がるなんとも清々しい駅です。

 

空気が美味しい! 

 

一乗谷朝倉氏遺跡へのアクセスはもちろん車が便利です。

だけど歩いて回ることによって、いつもはなかなか見えない魅力も発見できるんです。

 

なので、今回はあえてローカル線のJR越美北線で行ってみました。

乗車時間はJR福井駅から約16分。ただし、本数は少なめなので帰りの電車の時刻は事前に確認が必要ですね。

【⇒JR越美北線に関する情報はこちら(大野市HP)】

 

一乗谷駅下車後はのどかな風景

駅付近からは新しい博物館がのぞめます。

駅から北の方角、遠くに見えるのが、新しい「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」

武家屋敷を模した、立派な建物が田園に映えてますね。

 

▼博物館内部の詳しい情報はコチラ
https://fupo.jp/article/ichijodani-asakura-museum/

こちらの地図は遺跡博物館1階にパネルとして展示されています

【▶大きな画像で見る

 

今回、実際に歩いてみるのは上記のマップのエリア。

これが南北3㎞におよぶ一乗谷朝倉氏遺跡のほぼ全貌です。

 

スタートは、MAPの中央上部にある「一乗谷駅」(朝倉氏遺跡博物館前)

ここから徒歩で南下していきますよ。

 

遺跡内にはさまざまな見どころスポットが存在しています。

あちこち立ち寄りながら見て歩くのは、楽しくて運動にもなる、最上のウォーキングコースですね。

 

それでは一乗谷朝倉氏遺跡、徒歩の旅にレッツゴー♪

 

突如現れる笏谷石の石仏群【西山光照寺跡】

一乗谷駅から徒歩10分。

 

のどかな風景を満喫しながら田んぼ道を進むと......

立派な石垣が見えてきた!

突如現れる石仏群。ここは「西山光照寺跡(にしやまこうしょうじあと)ですね。


天台宗真盛派のお寺で、朝倉一族内の勢力争いに敗れた鳥羽将景(初代 朝倉孝景の叔父)を弔うために建てられたと伝えられています。

 

寺院の跡には大型の石仏が、南北に向かい合う形で約40体が並べられています。

用いられているのは、笏谷石(しゃくだにいし)です。

笏谷石とは
福井市の足羽山一帯で採掘された「笏谷石(しゃくだにいし)」は、独特の青緑色をしていることから「越前青石」と呼ばれた。石質が比較的柔らかいため加工しやすく、花器、調理具、暖房具などの生活用品や井戸枠などに利用された。また近世には、越前国の主要な輸出品として、遠くは北海道の礼文島まで全国に流通していた。

趣ある石仏群

秋は紅葉も綺麗

一乗谷朝倉氏遺跡の周辺では、なんと6,000を超える笏谷石製の石仏や石塔が見つかっており、西山光照寺跡や盛源寺などに数多く残っているそうです。


石で作られた明王や地蔵、観音像などがズラリと並んだ様子は圧巻です。


ちなみにこの場所は、車道から少し離れた場所にあり、とても静かで落ち着いた雰囲気。遺跡を見ながら、古に思いを馳せるのにピッタリです。

秋には紅葉も綺麗な場所なので要チェック!

 

雨の日は注意!? 階段は苔に彩られ、迫力もある【安波賀春日神社】

西山光照寺跡から山沿いをさらに南へ。

「ほんとにこの道でいいのか?」と思うような道をゆっくり歩くこと15分。

 

越美北線が綺麗に見渡せそうな場所も

山沿いを歩くこと15分

何やら苔に覆われた長い階段がありました。

木々に覆われた中で、神秘的な雰囲気を醸していますね。

奥に何があるのか気になります。

夏場は深緑が綺麗な場所

恐る恐る登っていきます

え、こんなところに!


と思うほど立派な神社が現れました。

「安波賀春日神社(あばかかすがじんじゃ)」です。

天正元(1573)年の織田信長の越前侵攻で社殿が焼失しましたが、江戸時代に再建されたそう。

石積みの上に鎮座する社殿は、福井市文化財に指定されていて、立派な造りです。

境内も静かで良い雰囲気ですね。

なんだか敬虔な気持ちになります。

車で来たら、とおそらくこの安波賀春日神社は見つけられないかも。


歩いて巡らないと、まずたどり着けないスポット。おすすめです。

 

巨石は権力の象徴です! 朝倉氏の守りの要である【下城戸跡】

安波賀春日神社からさらに南へ向かいます。


民家が立ち並ぶ中を抜けて、遺跡の真ん中を走るメイン道路である「県道18号線」へ出ます。

10分ほど歩くと、右手に何やら大きな石碑と石垣が。

 

車で通ると意外と気づかない

ザ・巨石。でも、車だと一瞬です

でました「下城戸跡(しもきどあと)です。


ここは、城下町「一乗谷」の北詰にあたり、まちの出入り口となったところですね。


敵の侵入に備えた防御のための石垣と、それに連なる土塁が残っています。

 

とにかく大きい。これは一見の価値あり

いやいや、ほんと「でかい」の一言。

巨大な石が5メートル近い高さに積み上げられています。


外側からまちの中が見通せないように、石垣が食い違いの「桝形(ますがた)」となっている点も大きな特徴です。


40トンを超えるような巨大な石を人力だけで山から運び出し、積み上げるなんて本当に驚きですね。


もちろん防御のためではありますが、当時この地を訪れた者に、これだけの大事業をやってのける朝倉氏の権力や技術力を誇示して圧倒する狙いもあったと考えられています。

ちなみに、ここから県道18号線をはさんだ反対側の山中にも巨石がゴロゴロしているとのこと。

まだ発掘されていない石垣などがあるのでしょうか。

 

本当に何もない? 【赤渕・奥間野・吉野本(平面復原地区)】

JR一乗谷駅を徒歩で出発して約45分。

さあ、さらに下城戸跡から南へ下りますよ。


再び人気のない山沿いの道を進むと、徐々に開けた場所へ出てきます。

「この道であっているのかな」・・・と、少し不安になりますが。これぞ徒歩で散策する醍醐味ですね(笑)。

 

大きな道を山沿いへ

ウォーキングにはばっちりの場所

このあたり赤渕・奥間野・吉野本は、「平面復原地区」と呼ばれ、当時は砂利を敷いてあった道路やその道に沿って区画された戦国城下町の跡を見ることができます。

ここでも、残されている道路の縁石、建物の礎石、整然と並んだ笏谷石製の井戸枠などから、当時のまちの様子が手に取るように分かります。本当に計画的に作られたまちだったんですね。

 

寺院跡、武家屋敷跡、医師の屋敷跡も発見されていますが、礎石によって建物の配置や部屋の間取りまでもがよくわかります。

そうそう。発掘調査によってこのあたりからは、笏谷石製の花器、暖房具などの生活用品もたくさん見つかっているんですよ。

 

正直このエリアは、パッとみて「何がある」というのは分かりにくいかもしれません。


だけど、「ここに戦国の人たちが、こう立って、歩いて、生活していたのか・・・」みたいに想像を働かせると、すごくワクワクします。それには、やはり歩いて見て回る速度感がちょうどいいですね。


ちなみに、少しマニアックですが、このエリアの山沿いには、「月見櫓跡(つきみやぐらあと)」があります。

 

階段苦手な方にはおすすめしません

復原町並方面が見渡せます

山際にあるかなりの急階段を登っていきます。

たどり着いた櫓跡からは、遺跡全体が見渡せる・・・、と思いきやけっこう木々が茂っていて視界をさえぎってきます。

だけど良い眺めなのは間違いありません。春には、桜がすごく綺麗かも。

 

すぐ近くには、カフェや食事が楽しめる一乗谷レストラントがあります。


そろそろ徒歩に疲れてくるところだと思うので、このあたりで休憩してみてはいかがしょう。

 

▼お店の詳細はこちら
https://www.asakura-fukui.com/

 

実はすごい! 庭園マニアも唸る朝倉氏遺跡の4つの庭園へ

諏訪館庭園

さて、歩き始めてから約1時間15分。

ついに一乗谷朝倉氏遺跡のシンボルでもある「唐門(からもん)に到着しました!

みなさんお馴染みのあのスポットですね。

 

あらためて、この一乗谷朝倉氏遺跡の全国的な価値を考えてみると、ここは国の「特別史跡」であり「特別名勝」であり、さらに出土品は「重要文化財」となっています。このように三重指定を受けている遺跡は、全国に6例しかないとか。

本当に貴重な場所ということがよくわかります。

さらに「石」の技術や文化という視点が加わることで、新たに日本遺産にも認定されたんですね。

その一乗谷の石のすごさが最もよくわかるのは、「庭」なんです。

 

遺跡跡にはなんと15カ所を超える庭園の跡が見つかっており、そのうち「特別名勝」に指定された庭園が4つもあります。

 

特別名勝とは
文化財保護法で認定されている庭園・橋梁・峡谷・海浜・山岳等など観賞上価値の高いもので重要なものと認定されているもの。世界遺産の富士山や日本三名園の兼六園も含まれている

 

これらの庭園のほとんどで、山石を立体的に組み上げた庭石が残っています。

その庭石の配置や組み方は、当時京の都で流行していた最新の様式が取り入れられていて、また独自の庭づくりの様式が見られるなど、一乗谷の文化的な先進性が石からよくわかるんです。

特別名勝の一つである「朝倉館跡庭園(あさくらやかたあとていえん)は唐門をくぐり、すぐ目の前の朝倉義景館跡の奥に位置しています。

 

唐門から入ると義景館跡の遺構が広がります

義景館跡の奥に位置する朝倉館跡庭園です

ここでも、館の縁側から最も美しく見えるように立石が配されています。

そのほかの特別名勝である「諏訪館跡庭園(すわやかたあとていえん)」「南陽寺跡庭園(なんようじあとていえん)」「湯殿跡庭園(ゆどのあとていえん)の3つは、それぞれ唐門から歩いて10分程度の場所に位置しています。

 

朝倉氏の第5代当主「朝倉義景」は大変な庭園好きだったそうで、一つの遺跡でこれだけ多くの庭園遺構が見つかっているのは全国でもほかに例がないそうです。

諏訪館庭園の滝組石はなんと高さ4メートルを超え、また遺跡内で最も古い湯殿跡庭園の立石群は2メートルを超える山石が使われています。

朝倉の武将になり切って、その暮らしを妄想しながら、貴重な庭園を眺めるのも通な楽しみ方ですよね。

 

▼朝倉氏遺跡にある庭園の中から、特別名勝に指定された4庭園を詳しく紹介している記事はコチラ

朝倉氏遺跡の4つの庭園を見に行こう♪【福井市の魅力再発見!】

 

最後のひと頑張りで、もうちょっと山のほうまで上ってみよう。

唐門から山を登ること10分。

石垣が連なる道を登ってたどり着いたのは朝倉氏の居城である一乗谷の館跡を見下ろす高台。

 

一見、何かわからないほどひっそり佇むこの建物

英林塚(えいりんづか)

ここには朝倉孝景の墓碑があり、その法名から英林塚と呼ばれており、現在は覆屋で囲われています。

朝倉氏遺跡の中でも「これ以上行くと何があるの?」と思うような山沿いのエリアですが、歩いてみないと分からない、見つけられないものが多い地域です。

 

山の上からの眺めは格別です

さらにここから1時間程度登ると、山城跡に行くことも出来るんです。

(登山口の看板もあり、城山まで1キロと書かれていますので、チャレンジしてみても良いかも)

 

 

 

様々な魅力溢れる場所、一乗谷

戦国時代に朝倉氏五代が103年間にわたって越前の国を支配した城下町跡、一乗谷。

様々な場所を散策すること約2時間。

最後に訪れたのは復原町並。当時の面影を残すこの場所で今回の散策は終了です。

 

一乗谷朝倉氏遺跡を訪れたことがある方も多いと思いますが、改めて「歩いて回る」、「石」の視点で見てみると新たな発見があること間違いなしです。

ぜひ、皆さんも実際に訪れてその魅力を感じてみてくださいね。

なお、MAP上には他にも魅力的な&謎に満ちた場所がいっぱいです。

新しく出来た、朝倉氏遺跡博物館と共に、この「一乗谷」を楽しんでください!

 

福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館

〒910-2151 福井市安波賀中島町8-10
公式ホームページ

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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