【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第29話:そうだ 圏外、行こう。

    【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第29話:そうだ 圏外、行こう。

    こんにちは、ふーぽ編集部です。

    福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中のエッセー《犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。》

    福井県出身の編集者、小林孝延さんが、犬1、猫4との暮らしを、のんびりと綴っています。

    第29回は、怪魚ハンター(笑)の小林さんがまたまたジャングルへ。

    ”圏外”という不自由こそが、実は自由なのだと思わせてくれる、おとなの圏外旅行へご案内します。

      小林孝延
      こばやし・たかのぶ

      編集者・著者。福井県出身。扶桑社発行の雑誌「天然生活」「ESSE」元編集長。石田ゆり子著「ハニオ日記」(扶桑社)、「保護犬と暮らすということ」(扶桑社)などを編集。犬1、猫4と暮らす。釣り好き。新著「妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした」(風鳴舎)が好評発売中。集英社「よみタイ」にて「真夜中のパリから、夜明けの東京へ」を連載中 公式Instagram

      第29話:そうだ 圏外、行こう。

      毎度、魚釣りの話で恐縮です。

      * * *

      先月、ネパールの奥地に巨大ナマズを狙いに行った。

      首都カトマンズから、エベレストを望む国内線で1時間。

      そこからさらにキャンプ道具を積んだ4WDに揺られて2時間。

      たどり着いたのは聖なる川、ガンジスの支流、コシ川。

      ここに、最大で全長3m、体重100kg超になるともいわれる、伝説の怪魚「グーンシュ」が潜んでいるという。

      * * *

      昨年もマレーシアのジャングルからアマゾンの奥地まで釣り歩いたけれど、ほとんどの場所でスマホが使えた。

      でも今回のキャンプ地は完全に圏外。

      ネパール出身の友人に「コシ川? ネパール人でも行かないよ」と言われたほどの辺境である。

      * * *

      電波なし、しかも雨季まっただ中のテント生活は、連日サンダーストームに見舞われ、雨・風・砂嵐のトリプルパンチ。

      過酷極まりない環境だったが、その分、自然の豊かさも段違いだった。

      色鮮やかな鳥たち、カレーを盗み食いに来る猿、レッサーパンダのようなテン…。

      野生の気配に満ちていた。

      * * *

      そんなある日、地元の漁師(今回のガイド役)が、体長20cmほどの奇妙な生物を捕えてきた。

      ミミズのような、ヘビのような、ウナギのような、なにやら不思議な生命体。

      正体がわからず、ついスマホで検索したくなるが電波がない。

      ググれない。

      ChatGPTも沈黙する。

      * * *

      やがて地元漁師たちによる謎生物をめぐる議論が始まる。

      「これはミミズの親分だ」

      「ミミズがウナギに成長する途中の段階だ」

      「いやいや、舌の先が割れてたぞ。ヘビだ!」

      * * *

      誰も「正解」を持っていないから議論は熱くなる。

      ああ、そうだった。

      スマホのなかった頃の僕たちは、こうやって「わからないもの」を囲んで語り合っていたんだ。

      今は簡単に「答え」が手に入る。

      でもそれって、たしかに「正解」なのか?

      スマホのない時間がもたらす、少し懐かしいコミュニケーション。

      * * *

      そんなキャンプ生活を終えて日本に戻ってふと感じた変化。

      なんだか心が穏やかだ。

      気のせい?

      強制デジタルデトックスで脳内のノイズが少し抜けた?

      僕たちは、想像以上にスマホに心を握られているのかもしれない。

      * * *

      ちなみに、その後、ミミズの親玉の正体は「アシナシイモリ」という珍生物であることが判明。

      でも、あの場では誰も正解を持っていなかったからこそ「ミミズが成長してウナギになる過程」というトンデモ説を信じたってよかった。

      むしろ、その想像力の方が、ロマンに満ちていたかもしれない。

      * * *

      これからはスマホと意識的に距離を置く時間をつくろうかな。

      本を読んだり、犬や猫と静かに過ごしたり。

      忘れていた時間の流れがまたゆっくりと戻ってきそうな気がするから。

      謎の生物を手に議論するネパール人。彼らは大雨でテントが吹き飛びそうな時も大声で歌いながらピンチをやり過ごしたり、なんだかめちゃくちゃ感動したのでした

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