めがね修理職人・大越彰一さんと「高周波誘導加熱装置」【ふくいの人と道具】

めがね修理職人・大越彰一さんと「高周波誘導加熱装置」【ふくいの人と道具】

こんにちは、ふーぽ編集部です。

いろいろな職人たちの技を支えている道具たち。その道具への思いを、使い手にお聞きする「ふくいの人と道具」のコーナーです。

今回は、鯖江市にある有限会社るねっとのめがね修理職人・大越彰一さんにお話を伺ってきました。

 


半世紀前に建った工場の中に入ると、いくつもの作業台と機械。

油が染み込んだベンチドリルが鈍く光り、傍らには真っ白な樹脂で覆われたレーザー溶接機が、その液晶パネルを覗かせます。

 

その中でも、めがね修理の主役は「高周波誘導加熱装置」。

高周波誘導加熱装置は昭和52年製。40年以上使用されている

 

大越さんいわく、「金属だけに反応する特定の周波数を出して、加熱する装置」だそう。

めがねには多くの金属パーツが使われています。

大越さんのもとには金属部が折れたり湾曲したりして使えなくなっためがねが全国各地から届くといいます。

 

加熱装置によって損傷した箇所へピンポイントに高周波を当てて熱し、曲がりを直したり、折れて樹脂のフレームの中に取り残された金属部品を、樹脂を傷つけることなく簡単に取り出すことができます。

修理中の大越さん。装置から伸びた鉄線から電磁波が発生し、めがねの金属部を熱している

 

修理の基本は壊れる前の状態に戻すこと。

「余計なところにダメージを与えず修理するためには、この加熱装置が欠かせません」

 

父親が始めためがね製造会社を継いだ大越さんが、修理専門に方向転換したのは約25年前のこと。

中国企業の台頭やめがね需要が落ち込み、「かつてのように、作れば売れる時代ではなくなっていました」。

 

製造から修理へ、全く違う分野への抵抗はあったものの、受けた依頼を極力断ることなく、長年に渡り修理の技術と経験を蓄積してきました。

修理箇所などを記したカルテで管理

 

同じめがねを何度も修理に出す顧客もいるそう。

長い時間を経て顔になじんだめがねは、その人にとって無くてはならない人生の相棒となります。

 

「難しい修理でも諦めることはありません。最良の方法を考え、『使い続けたい』という想いに応えます」

 

有限会社 るねっと

福井県鯖江市杉本町31-45
☎0778-51-1606
公式ホームページ

 

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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