同じ『落葉』でも実は違う!? 知っていると企画展が数倍楽しい! 開催中の「菱田春草展」を超深堀り。【県美学芸員のマニアックガイド】

    同じ『落葉』でも実は違う!? 知っていると企画展が数倍楽しい! 開催中の「菱田春草展」を超深堀り。【県美学芸員のマニアックガイド】

    こんにちは、福井県立美術館学芸員の美の子です。

    学芸員ならではの一味違った角度で企画展を紹介する「これであなたも美術ツウ」【県美学芸員のマニアックガイド】

    今回ご紹介するのは、現在開催中の展覧会「生誕150年記念 菱田春草(ひしだしゅんそう)展 不朽の名作《落葉》誕生秘話」のタイトルにもなっている不朽の名作「落葉」です。

    みなさんは福井の宝である菱田春草「落葉」を見たことはあるでしょうか?

    実はこの作品は、福井県立美術館が47年前に開館した時に、初めて購入した作品です。

    今回は、「落葉」を詳しく見ることで、企画展を数倍楽しむ見どころを解説します。

      「菱田春草展」とは

      2024年9月15日(日) から11月4日(月・祝)まで福井県立美術館で開催中の「生誕150年記念 菱田春草(ひしだしゅんそう)展 不朽の名作《落葉》誕生秘話」。

      岡倉天心の薫陶を受け、横山大観の盟友として、近代日本美術を代表する作品を多数生み出した菱田春草。

      春草の生誕150年を記念した本展覧会では、不朽の名作「落葉」を主軸とした傑作をかつてない規模で展示しています。

      ▼展覧会概要および関連記事はこちらから

      『モーロー体』を知れば開催中の「菱田春草展」がより楽しめる!【県美学芸員のマニアックガイド】

      北陸新幹線福井・敦賀開業企画
      「生誕150年記念 菱田春草展 不朽の名作《落葉》誕生秘話」

      【開催日2024/9/15(日) 〜 2024/11/4(月・祝)
      ※[前期] 9月15日(日)~10月14日(月・祝)  ※10月10日(木)に一部展示替、[後期] 10月17日(木)~11月4日(月)
      【時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)
      【開催地】福井県立美術館(福井県福井市文京3-16-1)
      【料金】一般1,400円、高校生900円、中小生600円
      【問】福井県立美術館0776-25-0452
      公式ホームページ

      同じ「落葉」でも実は違う! マニアックな見どころガイド

      展覧会の主役である「落葉」は、明治42(1909)年の夏から冬にかけて、約半年の間に驚異的な速さで、5点もの屛風作品描かれました。

      菱田春草「落葉」明治42(1909)年 福井県立美術館所蔵

      菱田春草「落葉」明治42(1909)年 福井県立美術館所蔵

      一番有名な作品は重要文化財に指定されている「落葉」(永青文庫所蔵(熊本県立美術館寄託))です。

      第3回文部省美術展覧会に出品し最高賞(2等賞1席)を獲得した作品で、春草の名を不動のものにしました。

      ※「落葉」(永青文庫所蔵、重要文化財)は前期のみの展示です。「落葉」(福井県立美術館所蔵)は通期展示中です。

       

      福井県立美術館が所蔵している「落葉」はこの展覧会出品作の後に描かれたもので、「落葉」5連作の中では最後の作品です。

      菱田春草「落葉」明治42(1909)年(左:永青文庫所蔵(熊本県立美術館寄託)・重要文化財、右:福井県立美術館所蔵)

      春草はとても真面目で、一点一点の作品に真剣に取り組んでいきました。

      そのため、「落葉」5連作は一つとして同じ作品がありません

       

      展覧会で好評を得た「落葉」に対しても改善すべき点があると考え、木々の配置や表現方法、視点、そして落葉の量など、それぞれ全く異なる描き方をしています。

      菱田春草「落葉」明治42(1909)年(左:滋賀県立美術館所蔵、右:茨城県近代美術館所蔵) 

      菱田春草「落葉」明治42(1909)年 個人蔵

       

      とはいいつつも、、、

      「ぱっと見た感じは、違う絵であることは明確だけど、どこが変わったの?」

      と思われますよね?

       

      それでは、福井県立美術館所蔵の「落葉」を元に、大きく3つの点に注目して解説していきます!

       

      【POINT1】 落葉の量に注目!

      菱田春草「落葉」(福井県立美術館所蔵)拡大写真

      1点目の特徴は、空中に舞い落ちる落葉と地面に落ちている落葉の量が最も多い点です。

      この「落葉」は、11月頃に注文を受け、晩秋から冬にかけて制作しました。そのため、5点の「落葉」の中で最も秋が深まった作品となっています。

      菱田春草「落葉」(福井県立美術館所蔵)拡大写真

      【POINT2】 木の角度に注目!

      菱田春草「落葉」明治42(1909)年(上:福井県立美術館所蔵、下:永青文庫所蔵(熊本県立美術館寄託)・重要文化財)

      2点目は、木の角度と配置に目を向けましょう。

      他の「落葉」で描かれた木々は、真っ直ぐなものが多いのですが、福井の「落葉」は外に広がるように斜めになった木が多くなっています。

      菱田春草「落葉」(福井県立美術館所蔵)木の角度

      そして、六曲一双という大画面の左右両脇に木が寄せられている点も他の「落葉」と異なるポイントです。

      両脇の木々が画面の外に向かって斜めに生えていることで、全体的に外へと広がっていく構図ができています。

      この外への広がりを作ることで、画面中央に描いた柏(右隻)と杉の若木(左隻)へスポットがあたったような効果が生み出され、印象的な2本の呼応が際立つ結果となりました。

      【POINT3】 金(ゴールド)に注目!

      菱田春草「落葉」(福井県立美術館所蔵)柏 拡大写真

      そして、3点目の特徴は、柏の葉の葉脈の一部に金泥が使用されていることです。

      金泥というのは、装飾品などにも使われる金(ゴールド)を絵具にしたもので、日本画では古くから高価な画材として用いられてきました。

      特に江戸時代に活躍した尾形光琳で有名な“琳派”の作品には金泥がよく使われており、華やかで装飾的な表現の演出に一役買っています。

      菱田春草も「落葉」の後に植物を描いた作品のいくつかに金泥を用いているので、福井の「落葉」での成功が、その後の制作にも活かされていったことが分かります。


       

      「落葉」をはじめとした菱田春草の傑作の数々を見ることができる展覧会は11月4日(月)まで。

      是非、この機会に実物を見て春草が作品に込めた美のポイントを見つけてみてください。

       

      北陸新幹線福井・敦賀開業企画 「生誕 150 年記念 菱田春草展 不朽の名作《落葉》誕生秘話」

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