「自分たちが面白いと思う本を無理なく、こだわって作り続ける。」ライツ社代表取締役社長・高野翔さん【ふくい人に聞く】

多感な中学時代、自分の存在や人生、広い宇宙についてなど色々なことに思い悩んでいた時に、哲学をテーマにした一冊の本に出合い救われたという。

大学院を出て、京都の出版社に就職し営業の仕事に打ち込んだ。

楽しかったけれど、長時間労働や待遇面で先行きに不安を感じた。

「だけどやっぱり本が好きで、作りたいものを作りたかったから、同僚の編集者と一緒に独立を決めました」。

退職の２週間後に現在の会社を立ち上げ、年々少しずつ軌道にのせてきた。

ほとんどの出版社が東京に集中するが、高野さんは地方にいるデメリットをほとんど感じていないという。

「取次というシステムのおかげで、地方でも少人数でも勝負できる。そして好きなこの街でのんびり暮らしながら、ちゃんと地方の感覚を持っているからこそ、面白い本を作ることができるのだと思います」。

ライツ社の本の売上は４割が東京で、それ以外がほかの地域だ。

▲2020年11月、エルパ２階の書店「AKUSHU」の開店準備の際に撮影

現在、同社でこれまで手掛けていなかった絵本と小説を出版する準備を進めている。

「ライツ社を見て、自分にもできそうという若い人がどんどん出版業界に入ってきてほしい。そしてぼく自身が本に助けてもらったように、いつかだれかを救う本を作れたらうれしいですね」