あの大陰陽師・安倍晴明ゆかりのスポットが、おおい町名田庄にあるんだって！【嶺南ふしぎ発見】

陰陽師は、朝廷の役所「陰陽寮」に仕える役職で、古代中国の陰陽五行説に基づき、天文・暦・占いなどを司る、今でいう公務員でした。

平安時代の大陰陽家として名高い安倍晴明を始祖とする土御門家は、「陰陽寮」の長官を世襲していました。その後、応仁の乱などの戦火を逃れるため、1400年代にこの名田庄の地に移り住んだそう。

この地でも、陰陽道の主祭神である「泰山府君（たいざんふくん）」をまつり、天文道場を開いて星の運行を読みながら、その後3代90余年にわたって暦作りに携わりました。

その後も、その土御門家の子孫や系譜の人たちが暮らし、今も陰陽道の数々の儀式を脈々を受け継いでいるのが、この天社土御門神道本庁なんですね。

ここでは、四色の鳥居に囲まれた神聖な空間である「天壇」や、安倍晴明が呪符などに用いたシンボル「五芒星」をあちこちで見ることができますよ～。

神聖かつミステリアスな雰囲気を満喫した後は、すぐ近くの暦会館へ。

ここには土御門家ゆかりの貴重な史料がたくさんの展示されています。

奈良～鎌倉時代を通して公式の暦だった「具注歴（ぐちゅうれき）」は、「この日は○○するべからず」など日時や方位の吉凶や禁忌が記された占い的要素が強く、当時の貴族らは日々の行動の指針にしていました。

また、朝廷や幕府への意見書「天文勘文（てんもんかんもん）」も展示されています。天文勘文は流れ星などから天体上の異変を分析し、災厄を占う報告書。そこに、「お祓いをした方がいいですよ」などと陰陽師からのセールストークが添えられているなど、すごく興味深い史料となっています。

さらに、サインするだけで厄払いの祈祷文を読み上げたことになるというお手軽な「都状（とじょう）」も展示され、当時の“代理お祓いシステム”を紹介しています。

時代がくだるにつれ一度は廃れた土御門家ですが、太平洋戦争後に復興。今も土御門神道本庁では陰陽道の祭事が執り行われ、暦作りが続いているんです。

現在は、土御門家の遠縁にあたる藤田さんが庁長を務めます。藤田さんが中国古来と現代の理論を融合させて編纂する暦は、全国の名だたる神社で採用されているそう。

藤田さんを頼り、県内外から多くの人が相談や祈祷に訪れています。「陰陽の思想に則り、解決の道をお示ししたい」という藤田さんの心意気に、「平成の陰陽師」の魂を見た気がしました。