読書好きが厳選する“人生を変えた一冊”とは。本の虫たちの本棚を訪ねて。

    読書好きが厳選する“人生を変えた一冊”とは。本の虫たちの本棚を訪ねて。

    こんにちは、ふーぽ編集部です。

    本棚を見せてもらうことは、これまでの人生や心の奥を 少しのぞかせてもらうことかもしれません。

    今回は、本好きの面々に読書習慣や大切にしている本について伺いました。

      本の世界を旅し、宝物の言葉を集める。


      tetoiro
      野尻千恵子さん

      「tetoiro」名義で越前和紙や身の回りにある紙を使った紙雑貨を作る。不定期で「ことばのコラージュ」などワークショップを開催。インスタグラムで読書記録も投稿する。福井市在住
      Instagram

      野尻千恵子さんは月に10冊以上本を読みます。

      気になった本があれば、まず図書館へ。

      「期限までに読み切れた面白いものや、何回も読みたいものは、書店でゆっくり探します」。

      本棚には本がぎっしりですが不思議と調和がとれていて、本たちも生き生きして見えます。

      エッセーを中心に所狭しと並ぶ野尻さんの本棚。「面白いものは人に勧めたいから」と2冊あるものも。村上春樹のロードエッセー「雨天炎天」も大切な一冊。「中毒になります(笑)」

      読書時間は1日平均20分。

      お風呂で半身浴をしながら、あるいは寝る前にソファで。

      「忙しいときほど本が読みたいし、図書館に行きたくなる。最近はずっと時代小説で“江戸時代”に引きこもっていました」とほがらかです。

       

      友人に勧められて読んだ「さみしい夜にはペンを持て」に感銘を受けた野尻さん。

      「“思う”と“言う”には距離がある。書くことで言葉を考え、出すことの大切さを改めて教わりました」。

      「本の好きな言葉を書くノート」と「読書記録ノート」。20代から思い出しては行っているという習慣

      読み終えた本の“好きな言葉”には付箋がびっしり貼られ、ノートに書き写します。

      縦書きや横書きの美しい文字に、ときにイラストやコラージュが添えられます。

      「感動した言葉を忘れたくないので、写経するような気持ちで丁寧に。見返すと当時の感動を思い出せます」。

      「庭とエスキース」は、自給自足で生活する「弁造さん」の素直でまじめな生き方に圧倒されたといいます。

       

      野尻さんにとって本は友だちであり先生でもあります。

      今日も宝物の言葉たちを収集しながら、本の世界に旅をします。

      人生を変えた一冊

      「庭とエスキース」
      奥山淳志/みすず書房

      写真家の著者が、北海道の丸太小屋で自給自足の生活を営む「弁造さん」を14年にわたり撮影。人が人と出会ったことの豊かさを伝える写文集

      最近面白かった一冊

      「さみしい夜にはペンを持て」
      著・古賀史健、絵・ならの/ポプラ社

      書くことを通じて自分と対話を重ね、知らなかった自分を発見し、自分を好きになっていく…。「書くこと」の面白さに触れる入口となる一冊

       

      “古くならない”書物から、思考の喜びを得る。


      長らく探していた「普通植物図譜」を昨年春に入手。美しい色彩に癒やされます

      nimbus店主
       笠川まさよさん

      勝山市で、磯崎新が設計した住宅を改修したショップ兼カフェ「nimbus」を営む。エディター、ライターで、スカーフブランド「CorDial/12」ディレクター
      Instagram

      昨年の11月頃、近くの寺から大正~昭和初期の本を譲り受けました。

      そこに自身の蔵書を加えた本棚が、カフェ客にも好評だといいます。

      「昔のグラフィックが好きで、学生の頃は古書店をめぐって買い集めていました」という古書好きの笠川さんにとって、理想の本棚になりました。

      親子で鉱物拾いに出かけるほどの鉱物好き。自然の色合いはスカーフのデザインにも生かされます

      好きな作家は幸田文。

      高校生のときに母が持っていた「季節のかたみ」を読み、古いものや昔の風俗、暮らしへの興味も相まって好感を持ちました。

      人生に影響を与えたのは70歳を過ぎた著者による「崩れ」で、“体験することで言葉が生きてくる” という強烈なメッセージが、笠川さんが編集の仕事を目指す道しるべになりました。

      読み返さなくても常に存在を感じている本で、「分からなくてもいいから、観察して感覚を開いて体験して感じられるか。生きた言葉を使えているかを意識しています」

      復刻本の凝った装丁を見ているだけでも楽しい

      約100年前の植物図譜も昨年春にコレクションに仲間入り。

      いつ読んでも視点が変わって面白い、時を経ても古くならない“消費されない本”が並ぶ本棚のこれからが楽しみです。

      人生を変えた一冊

      「崩れ」
      幸田文/講談社

      山の崩れや川の荒れなど自然の崩壊に己の老いを重ね、生あるものの哀しみを見つめた名編

      最近面白かった一冊

      「増補愛蔵版 美しいアンティーク鉱物画の本」
      山田 英春/創元社

      19~20世紀初頭に刊行された鉱物図鑑、百科事典などの挿絵から厳選した鉱物画集

       

      人生を語り、思い出を記録する本棚。


      「モモ」や「霧のむこうのふしぎな町」など小・中学生のときから読み返す本も

      すなきちさん

      エディター、ライター。小学生の頃に親戚からお年玉代わりにもらった「南総里見八犬伝」でファンタジー小説にハマる。数社での編集業務を経て、フリーランスとして活動中。福井市在住

      すなきちさんの人生にはいつも本がある。

      子どもの頃から何度も読み返す小説、上司からもらったお守りのようなエッセー、退職を後押ししてくれた雑誌、仕事前に読むファンタジー…。

      文字通り人生を変えたのは、東京で働いていたときに書店で出合った雑誌「旅学004」でした。

      旅人が旅先で出合った感動を写真と文章で伝えるもので、その号は写真家の藤原新也がインドを旅していました。

      「ガンジス川で人間の死体を食べる犬の写真や、“自由”の文字に衝撃を受け、退職を決意しました」

      趣味を超えた腕前の洋裁と編み物の本はざっと100冊以上はあります

      年齢を重ねてすっと心に届くようになったのが詩集。

      3年前に出合った「世界はうつくしいと」を手に、「40代になったから、詩が響くようになったのかな」と微笑みます。

      コロナ禍に始めた中国語のテキストや料理の本はすぐ手に取れる場所に

      本棚は動線に沿って5カ所あり、ダイニングには料理の本、和室には趣味の本、寝室には瞑想の本や写真集が配置されます。

      クローゼット一面の本棚には小説や漫画が所狭しと並び、さながら秘密基地のようです。

       

      毎日一度は開く本たちは暮らしの一部に溶けこんでいます。

      人生を変えた一冊

      「旅学004」
      ネコ・パブリッシング

      “旅から人生を学ぶ”というテーマがプラスされた、旅人による旅人のための旅マガジン

      最近面白かった一冊

      「世界はうつくしいと」
      長田弘/みすず書房

      奥行きのある知性と自在な詩法、深く緩やかな言葉で綴られる、寛ぎのときのための詩集

       

      先人の言葉や姿に未来への希望を見出す。

      窓辺のリクライニングシートで、鉄道旅の気分に没入することも

      写真家
      たとり直樹
      さん

      勝山市出身。福井市に「スタジオ壱景たとり直樹事務所」を開設し、主に出版物・印刷物用の写真を撮影。酒蔵を撮影した写真展開催やグループ展などでも活躍。日本写真家協会会員
      ホームページ

      中学時代にカメラを手にして以来、写真の道を歩むたとり直樹さん。

      日本の歴史にも興味を持ち、東京でスタジオアシスタントをしていた20代前半に友人の勧めで読んだ「ことばの古代生活誌」は、価値観を大きく変えた1冊だといいます。

      「例えば、食べ物は異郷のものなので、これを口に運ぶ『箸(はし)』は、異郷とつなげる『橋(はし)』と通じているなど、その世界観に没頭しました」

      写真集がメインの棚では、美術館や博物館でも用いられている保存箱をセミオーダーして使用。湿気などを遮断し、紙の劣化や変色を防いでくれます

      25歳で独立し、5年後に福井でスタジオを開設。

      現在のスタジオと事務所の3カ所にある本棚の蔵書は古い書籍を中心に集めてきたもの。

      応接スペースの棚には、昭和世代の郷愁を誘う写真集などが並び、隣室の棚には鉄道関係の雑誌や時刻表がずらり。

      「子どもの頃から乗り物が好きで、後に興味を持ったのが国鉄時代の鉄道」と話し、ダイヤの大改正があった1968年10月の時刻表を最近手に入れました。

      「列車の名前に赤丸が付いていたり、歌詞を書いた紙が貼ってあったり、当時の持ち主が旅する様子が“ご馳走”なんです(笑)」

      1階スタジオの本棚には、15年前から続けている茶道関係の書籍や実用性が高い本、文庫本、漫画が収められています

      お茶を入れて販売していた陶器製の容器“汽車土瓶”や寝台車用のはしごなど、当時の道具類も蒐集(しゅうしゅう)し、中でも目を引くのが簡易リクライニングシート。

      「昭和末期の十数年間、特急型車両に搭載されていたもので、ここで昔の鉄道や旅の本を読んでいると、日本人が明るい未来を信じていた時代の記憶がよみがえります」。

      先行きが不安な今だからこそ、当時の輝きを垣間見せてくれるような風景や瞬間を写真で捉えるのをライフワークにしています。

      そして、未来に向かって気持ちを高ぶらせてくれるのが、時代や人の気配を宿す本なのです。

      人生を変えた一冊

      「ことばの古代生活誌」
      古橋信孝/河出書房新社

      日本の古代の言葉は人の営みと深く結び付いていた。記紀、万葉集などに見られる大和言葉から日本語の祖型と、古代人の生活を考察する

      最近面白かった一冊

      「国鉄監修 交通公社の時刻表 1968年10月」
      日本交通公社(現・JTBパブリッシング)

      東北本線の電化・複線化などに際し、「国鉄ダイヤ全面大改正号」と銘打った時刻表で、鉄道ファンの人気が高いプレミアな一冊

      ※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

      ※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

      ふーぽ編集部
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