ふくいの農業を支える縁の下の力持ち!「九頭竜川下流域国営パイプライン」を知って、おいしい農産物を味わおう。

ふくいの農業を支える縁の下の力持ち!「九頭竜川下流域国営パイプライン」を知って、おいしい農産物を味わおう。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

米作りをはじめ、農業が盛んな福井県。それらの生産に欠かせないのが農業用水です。

特に広大な福井・坂井平野に流れる水は、九頭竜川にある鳴鹿大堰(なるかおおぜき)から取り入れられています。


平成28年には「九頭竜川下流域国営パイプライン」が全面供用開始
となり、より良質で冷たい水が、坂井・あわら・福井・永平寺の農地に届けられるようになったんですよ。


今日は、そんな私たちの暮らしに密接につながる水と、その水から生まれる豊かな農産物についてお勉強です!

千年つづく!? 鳴鹿大堰の歴史

鳴鹿大堰の歴史は、はるか平安時代(西暦1000年ごろ)までさかのぼります。

 

当時、農民たちは慢性的な水不足に悩まされていました。

そこで神官たちが春日神社にお祈りをしたところ、鹿の案内によって九頭竜川河畔に導かれました。

鹿が鳴いた場所に堰を造り、歩いた道筋を水路としたところ、水がよどみなく流れたのです。

このときの堰(せき)十郷大堰(じゅうごうおおぜき)、水路を十郷用水とした伝説が残ります。

 

※堰(せき)…水流をせきとめたり調節したりするために、川の途中や湖・池などの水の出口に作るしきり。


十郷用水はその後、磯部、高椋、新江と分流され、江戸時代には十万石を生み出す大動脈になりました。

しかし、土地の標高や水路の断面積がわずかでも違えば水の量は異なります。
それゆえ水を巡って農民同士の対立も起きました。


また、十郷大堰の簡素な構造も課題でした。
大雨のたびに破壊されては修復し、近代的な堰を望む農民たちの願いは切実なものとなったのです。

現在の鳴鹿大堰。坂井市丸岡町と永平寺町にまたがる

昭和22年、戦後の経済復興と食糧増産が国策となったこと、そして地元の粘り強い陳情の結果、ついに農業用水施設として全国初のコンクリート堰の建設事業が採択されます。

8年もの工事期間を経て、十郷大堰「鳴鹿堰堤」と名付けられ、合理的な水の配分を可能にしました。

ちなみに大堰の位置は地質や地盤など科学的調査の末に決定しましたが、そこは平安時代に鹿が鳴いたという伝説の場所と同じだったそうな・・・!


平成16年には老朽化した鳴鹿堰堤に代わり、提長311m、6つの可動ゲートを持つ「鳴鹿大堰」が造成されました。

かくして鳴鹿大堰から農地へ送り届ける用水路網は、千年前から続く、日本で最も古いとされる水路のひとつとなったのです。

 

九頭竜川パイプラインって?

九頭竜パイプラインの水路図

鳴鹿大堰の完成で、水利争いや水害などの災いは過去のものに。発達した技術は土地の高低差をも克服し、かつては不可能だった丘陵地への導水も可能になりました。


しかし、現代の環境が水路にストレスを与えたのも事実


水路へのゴミ捨てや生活排水の流入により水質が悪化。海沿いの農地では塩害が発生し、また下流部の農地では夏場の用水不足が深刻に。用水路の老朽化による漏水送水の管理機能の低下を招きました。


このため平成11年から、 地上にある水路を地下に埋没する「九頭竜川下流域国営パイプライン事業」に着手し、約17年の歳月をかけて平成28年4月に全面通水。


これにより、鳴鹿大堰から坂井、あわら、福井、永平寺の4市町の農地約1万2千ヘクタールに24時間、きれいな水を行きわたらせることに成功したのです。

 


その結果冷涼な水供給が可能となり、

☑ 農作物の品質が向上
☑ 用水へのゴミや排水の混入防止
☑ 塩害や水路への転落事故防止
☑ 水管理ができる遠隔操作やタイマー機能などのICTを活用した給水栓操作が可能となり人手不足が解消

など、様々な点が改善されました。

パイプライン化のメリット

パイプライン化により、農産物が美味しくなる2つのメリットがあります。

【その1】お米の品質向上

夏場でも冷涼な水を夜間かんがいすることができ、稲の高温障害の防止や米の品質向上が期待できます。

※夜間かんがい…地球温暖化による稲の高温障害防止策のひとつ。夜間に水を供給することで昼夜の寒暖差をつけ、稲をしっかり休ませることで、品質や食味を向上させること。

夜間かんがいを行うことで、米の食味が向上することが明らかに

 

【その2】多様な農作物の生産

砂丘地での水管理を可能にすることで、これまで以上のおいしい農産物が収穫できるようになりました。

砂丘地でのニンジンやミディトマトの生産が可能になります。

砂地で生産されるニンジンは表面のきめが細かく、柔らかいのが特徴。ミディトマトは玉も大きめで糖度が高く、収穫量も増加しました。

農家さんの声

パイプライン開通による水利用の変化について、農家の方に伺いました。

有限会社さんさん池見
代表取締役 大嶋裕一さん(坂井市在住)

パイプラインが整備されるまで、水利用はポンプの運転時間に制限されていました。

今はバルブをひねれば水が24時間利用でき夜間かんがいも可能となって嬉しい!田んぼに水が均等に溜まり、米の品質もあがっていると実感しています。

南坂覚則さん(あわら市在住)

パイプライン事業により一定の量が供給され適正な圧力も確保されたおかげで、ハウスの隅々まで水が行きわたるのがありがたいですね。

作物にとって水の管理は重要。標高40mの丘陵地で、野菜や果樹などの畑作ができるのも水供給のおかげだと思います。

 

シンボルマークが完成!

九頭竜川パイプラインの清涼な水にとって栽培される農産物のシンボルマークが完成しましたよ。

ブランドネームの「くずりゅう千年耕園」は、千年受け継がれた農業用水の恩恵を、これからの千年も享受しながら、美味しく高品質な収穫物を産出していくことを表しています。


ロゴマークは、清流の恵みそのものであることを水滴のフォルムで表現。多彩な農産物が育まれるイメージをカラフルな色づかいで表現しています。田畑を区切るパイプラインの水路を「千」で表しています。

坂井・あわらエリアの農産物

パイプラインの水で栽培される坂井・あわらの特においしい農産物をご紹介。
坂井・あわらの直売所等で手に入れることができますよ。

ミディトマト

大型トマトに比べ約2倍のビタミンCを含有。フルーツのような甘さが特徴

メロン

春から秋にかけ糖度・香りともに高いプリンス、マルセイユ、アムス、アールスを栽培。

ニンジン

パイプラインの供用で砂丘地での栽培が可能。きめが細かく柔らかいのが特徴。

らっきょう

全国で唯一、植付けから収穫まで三年をかけて栽培。ソフトで歯切れの良い食感。

そば

丸岡在来のそばは小粒で風味がよく、県内だけでなく県外でも人気。

熱い夏場でも冷涼できれいな水を夜間にかんがいすることで品質が向上。

福井・坂井平野には、先人による水の恵みと、これから千年受け継がれるであろう豊かな水があります。


そしてその清涼な水から生み出される農産物も、しっかり味わい、その美味しさを次の世代へと伝えていきたいですね。

「くずりゅう千年耕園」についてのお問合せ

坂井地区農業振興協議会事務局(坂井農林総合事務所内)
☎0776-81-3222

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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