なんというハードルの高さよ。
意を決して登場する僕。
鶴笑 「どっから出とんねん!」
笑生 「え? 旭座は花道から出るんじゃ無いんですか?」
鶴笑 「そんな事したらほんまのスターみたいやないか、修行中の弟子みたいなもんは、舞台の端っこから出てくんねん。」
笑生 「えー! ほんまのスターみたいって、地元のスターって思って無かったんですか?」
鶴笑 「当たり前や!」
師匠とのコミカルなやり取りにお客さんも徐々にほぐれて、温かい空気に包まれていく。
鶴笑 「今日は笑生の家族の方々も来られてるとか。笑生ええとこ見せたれよ。家族の方々はとの辺りに座ってらっしゃるんや?」
笑生 「2列目以降は親戚だらけです。」
鶴笑 「何が落語会や!こんなもん親戚の集まりやないか!」
師匠のツッコミに会場が湧く。
程よく空気がほぐれた処で、師匠が「まずは開口一番を務める笑福亭笑有です」の一言で挨拶を終える。
すかさず出囃子がなり、笑有さんの開口一番から会はスタートした。
鶴笑 「笑生、やっぱり花道から出たらウケたやろ。良かった良かった。」
流石師匠。
出番直前に「笑生は呼び込んだら花道から出て来た方がウケるな〜、ちょっと花道から来て〜」と言われた時はウケ無かったらどうしようって思った不肖の弟子をお許しください。
開口一番は古典落語の一席「金明竹」で幕を開けた。
笑有さんの落語は2年目とは思えない程落ち着いて良く声が通った。
お客さん達も後半に行くに連れて笑い声がどんどん大きくなる。
後で家族に聞いたら僕より先輩に思えたと。
兄より良く出来た弟とはいかんな笑有さん。