9月某日。師匠が言った。
鶴笑 「笑生〜!入門から3年経ったな!」
そうだった! 2019年の9月25日が入門記念日で今年の9月25日は過ぎている・・・と、言う事は・・・!
待ちに待った年季明けじゃ〜!
上方落語の世界では「前座」、「二つ目」、「真打」が無く、修行中を指す「年季中」と、「年季明け」の2種類が有る。
大体の一門では、入門から3年経ったら「年季明け」となる・・・という事は・・・!
待ちに待った年季明けじゃ〜! (part2)
やった〜! やった〜!
年季明けすると落語家として独り立ち出来て、自分一人で仕事を受けても良くなる!
つまりこれからは自由の身!
3人の子どもたち! そして我が妻よ!
3年間の無給での落語家修行を支えてくれてありがとう!
今! 僕は! 羽ばたきます! ありがとう自由! こんにちは自由! さようなら修行の日々よ!
鶴笑 「しかし、笑生の地元福井県のリライムで、11月に入門記念落語会を行ったから、今回も年季明け記念落語会をやらなあかんな! よし! それまで年季明けはおあずけやで〜! 」
さようなら自由!
また会ったね修行の日々よ!
てな訳で、2022年11月に「年季明け記念落語会」をする事に!
今回はプロとして独り立ちする記念との事で、しっかりとチケットを発券し、お金を取る事に!
当たり前だ、これから1人でやっていくのだから。
スタートから「お金を取れるレベルにある」と福井県の皆さんに示さねば、これからの未来は無い。
芸人もアーティストもLIVEをやってなんぼ。
僕は、TVやラジオ、ましてや司会者でチヤホヤされるために落語家になったのでは無い!
落語でお金を取って生活する為に落語家になったのだ。
そのために3年間、福井と大阪を行き来して修行したのだ。
その集大成を示さねば、「これから」は無い。
笑生 「わかりました・・・。11月に年季明け記念落語会を開催します。来客数は100人以上を目指します! 価格も前売り2,500円、当日3,000円で行きます。」
福井県住みます芸人の「クレヨン」だった時ですら、自分達でお客さん呼んで100人超えのLIVEなんかして無かった・・・。
1,000円とか1,500円のチケットすら捌けず、自分でチケットを買い取って、50枚とか配ったりしていた・・・。
お客さんが少ない方が良くないからとか自分に言い聞かせながら、いつも赤字で「住みます芸人LIVE」をやる時は憂鬱だった。
でももうそんな事はしないのだ。
僕はかつての売れない漫才師では無く、今はもう、れっきとしたとした落語家なのだ!
職業欄にも書ける伝統芸能師、落語家になったのだ!
もうそんな事はしないし、そんな事をしたら落語350年の歴史に泥を塗る事になる。
僕は決意新たに師匠に宣言した、この決意は揺らがない。
鶴笑 「え?・・・高くない?」
揺らいだ。ぐらんぐらん揺らいだ。
やっぱり高いよね? そうよね?!
心の中で情け無い僕が、やっぱりもっと安くしようと抗議する・・・。
僕はゆっくりと師匠を見てこう言った。
笑生 「大丈夫です、僕は上方落語を福井に広めます! だから大阪の年季明けと同じ金額で行きます! 」
イウテモーター・・・。
旭座での親子会の時から全く進歩せず、僕は“ええカッコしい”で高いハードルを設置してしまう。
鶴笑 「わかった・・・もう止めん。笑生の好きにやりなさい。そこまで言うなら、その落語会の成功を持って、本当に年季明けするか決めるわ。」
師匠、そこまでは言うてないです・・・。
しかし、ここまで来たらやるしかない!
僕はこの日から10月にはチケットを発券し、毎日毎日チケットを直接手渡しで渡して廻る行脚の旅を開始。
僕のTwitterを見ていただくと、リアルタイムで載せ続けた当時の様子がわかります。
正直、何度も心折れかけましたが、なんとか予約だけで100人超えを達成!
そして、遂に迎えた本番当日・・・。
会場には120人を超えるお客さんが!
福井県住みます芸人をスタートさせてから11年が経過し、今までやって来た事は無駄じゃ無かった!
お世話になった方々やメディアの皆さま方も多数お越しいただき、お花も届き、本当に僕のLIVEか? と疑うほど華やかな会場でした!