★受付終了★【プレゼントあり】おかえりなさい、山下清。「生誕100年 山下清展ー百年目の大回想」が福井市美術館で始まってるよ！

1922年、東京・浅草に生まれた山下清は、3歳の頃に患った重い消化不良の後遺症から言語障害が残り、家で絵を描いて過ごすことが多かったそうです。

12歳で入った養護施設でちぎり絵と出合い、独自の技法で数多くの作品を制作。各地の展覧会で絶賛されました。

戦争が始まると、突然失踪して放浪を始め、旅から戻ってきた後に、旅先の風景を描いた作品を次々と制作。

それらは記憶を頼りに描かれたとは思えないほど細部まで写真のように描き込まれ、世間から高く評価されました。

 

清の生涯は映画やドラマにもなり、その人柄も広く親しまれています。

脚色されたドラマから、清に”無垢で無邪気“というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実際は甥から絵を描く理由を問われて「仕事だからなあ」と答えるなど、現実的な一面もあったと言われています。

 

一方で、自分が見たままの世界の美しさを、細部まで写実的に描いた作品は素直な人柄を映し出し、見る人の心を動かします。

多くの作品に通底する緻密で温かな作風は揺らぐことはありません。

それらをたどることで、清が生涯をかけて取り組んだ芸術活動の豊かさに触れてみてください。

 

山下清の生誕100 年を記念して開かれる今回の展覧会では、「日本の原風景」を写すと言われる清の貼絵を中心に、油彩、水彩画、ペン画、陶磁器など、初公開作品を含む約190点が並びます。

その全てから彼独自の視点や技法がうかがえ、緻密でありながら、見る人に素朴な懐かしさや温もりを感じさせてくれます。

 

「代名詞として知られる貼絵を近くでじっくり見ると、その驚異的な細かさと計算された技術に驚かされます」と福井市美術館の鈴木さんは話します。

貼絵に使う紙片は全て手でちぎり、小さいものは3ミリ程度の大きさ。多いもので―つの作品に数千から万を超える紙片が使われているそう。

「貼る部分によって大きさや形を変え、色の効果なども考えながら貼っていく。誰も真似できない神業といえます」。

遠くから、近くから、いろんな角度から見ることで、一つの作品に込められた工夫を見つけるのも楽しみです。

 

展覧会ではドラマや映画にもなった清の生涯を再検証し、放浪や作品にまつわるエピソードも紹介しています。

「作品を通して、ドラマや映画とはまた違う、山下清の真の姿に触れてもらえたら」と鈴木さん。

会期中は貼絵の制作体験やギャラリートークなどの関連イベントも開催されます。

サブタイトル「百年目の大回想」にあるように、見て、聞いて、体験して、清の人生を回想するのが今回の展示の醍醐味です。