福井のローカル線「越美北線」で日帰り旅のススメ。福井・大野の発酵スポットをめぐろう!

福井のローカル線「越美北線」で日帰り旅のススメ。福井・大野の発酵スポットをめぐろう!

みなさん、こんにちは。

ふーぽ編集部です。

突然ですが、みなさん発酵食は好きですか?

日本にはさまざまな発酵文化が息づいていますが、 程よい湿度と寒暖差に恵まれた福井は、味噌や醤油、へしこ、日本酒など、発酵食の宝庫

しかも福井から大野を結ぶ越美北線(えつみほくせん)沿いには数多くの発酵スポットが点在しています。

今回は、福井市観光協会主催の「福井の発酵文化を学ぶ 福井・大野発酵めぐりツアー」に参加したふーぽ編集部が、ツアーでめぐった場所を中心に、越美北線での発酵をめぐる旅の楽しみ方をご紹介します!

越美北線沿線は発酵スポットがいっぱい!

まずは簡単に「越美北線」についておさらいしましょう。

越美北線とは越前花堂駅から福井県大野市の九頭竜湖駅を結ぶ距離52.5kmのローカル線

始発の福井駅から終着駅までは各駅停車で1時間半ほどかかります。

ディーゼル燃料で走行するので「電車」ではなく「鉄道」なんです

越美北線の「越美」は、越前と美濃を指しています。

かつて越前(福井県)と美濃(岐阜県)を結ぶ道は「越前美濃街道」という交通路で、東郷や美山、大野を通るルートでした。

越美北線はこの街道に沿うように走っています。

越前美濃街道は、年貢米の輸送や大野藩の参勤交代に利用されていたそう。

このため、米を使った発酵文化が発達し、麹を使った味噌や日本酒などの醸造場が増えたといわれています。

 

今回ご紹介するコースはこちら!

今回は「福井の発酵文化を学ぶ 福井・大野発酵めぐりツアー」でめぐった7箇所をご紹介。


JR福井駅から越美北線に乗り込み、途中下車しながら沿線沿いの発酵スポットに立ち寄ります。

それでは、発酵の旅に出発しましょう♪

 

越美北線に乗って、福井市➡大野市方面発酵めぐりへ

ここからいよいよ旅のスタート!

出発地、JR福井駅で越美北線に乗り込みます。

ドキドキ!

advice

越美北線は毎日、福井駅から越前大野駅へ向かう下りが8本(上りは7本)、越前大野駅から九頭竜湖駅間は下り4本(上りは5本)が運行されています。1日で多くの場所を回るには、JR福井駅始発の9:08に乗車するのがおすすめです。時刻表を参考にしながら、旅のルートを計画してみてくださいね。
越美北線時刻表

福井で採掘される笏谷石(しゃくだにいし)をイメージしたブルーの車両がホームに入ってきました!

通勤・通学・観光など幅広い用途で利用されているので、ホームには乗車待ちの人でにぎわっています。

今回参加したツアーでは、なんと1車両まるごと貸切でした

ツアー参加者に配られた日本酒や発酵づくしのおつまみセット。車内で乾杯!

目的地に向かいながらのんびりお酒やおつまみを楽しめるのは、列車ならではですよね。

ツアーでは福井市・片町で割烹「のちのち」を営む野田あゆみさん(写真左)と福井市の酒蔵・毛利酒造の毛利徹郎さん(写真右)による日本酒トークも車内で繰り広げられました

越美北線では列車に自転車を持ち込みポタリングを楽しむ「サイクルトレイン」や戦国武将や家紋が描かれた「戦国列車」が登場するなどユニークな取り組みも。

沿線の蔵元で酒蔵見学やお買い物を楽しむ「酒蔵めぐり列車」など、貸切車両で行くお得なツアー列車も運行されています。

ぜひ、福井市観光ポータルサイトをチェックしてみてくださいね。

福井市観光ポータルサイト「福いろ」

 

【六条駅】昔ながらの製法で醸す「美川酒造場」

ここからは発酵スポットを越美北線の駅ごとに紹介していきますよ〜!

まずは福井駅から2駅目の「六条駅」からまいりましょう。


駅から徒歩15分ほどの場所にあるのは、「舞美人」で知られる1887年創業の「美川酒造場」

稲穂が揺れる田んぼの中にある酒蔵で、蔵の目の前にある自社田で栽培された山田錦と五百万石も酒造りに使われています。

美川酒造場では事前に予約すれば酒蔵見学も可能です。

早速中に入ってみましょう!

「昔ながらの酒道具を大切に、少量を手造りで醸しています」と教えてくれたのは、6代目の蔵元である美川欽哉(みかわきんや)さん。

蔵の中には大きな和釜が中央にあり、近くを流れる足羽川の伏流水が仕込み水として湧き出ています。

和釜の上に甑を置き、米を蒸していくそう

「舞美人」は製造量の約半分を、蔵に住む天然の酵母を育てる酵母無添加の“山廃造り”で行います。

この天然酵母こそ舞美人の味の秘密。

酵母に含まれる乳酸の成分が強いことから、唯一無二の酸味が生まれています。

大正時代の木槽を使い、発酵が終わった酒袋を時間をかけて絞っていきます

さまざまな「舞美人」を試飲

酒蔵見学のあとは、テイスティングも可能です。

舞美人の魅力は、独特の酸味。一度飲んだら忘れられないインパクトのある味で、酸味のなかにも豊潤な旨味や優しい甘みも感じられるのが特徴です。

飲み比べながら、好みの味を見つけるのもおすすめ。和食はもちろん、中華や洋食、エスニックなどジャンルを超えた組み合わせが楽しめそうです。

ぜひ酒蔵見学&お買い物を楽しんでくださいね!

美川酒造場

福井県福井市小稲津町36-15
☎️0776-41-1002
【営】10:00~17:00
【休】水曜
※酒蔵見学は要事前予約
ホームページ

【越前東郷駅】米と水のまちに生まれた酒蔵、「毛利酒造」と「安本酒造」

六条駅からさらに2駅進んだ「越前東郷駅」へ。

このあたりは昔から荘園があった米どころで、「おつくね祭り」というお米にちなんだ名物行事も行われています。

駅を出てまっすぐ歩くと、清らかな堂田川が流れる穏やかな風景が広がります。そんな米と水に恵まれた地で育まれた酒蔵が「毛利酒造」です。

毛利酒造 外観

海の幸豊かな日本海に面する福井県であることから、「魚介に合う酒をつくりたい」という想いで生まれた「紗利(さり)」。

サンスクリット語で「米」を意味し、お寿司の酢飯“シャリ” の語源でもあります。

2021年には福井県で誕生した酒米「さかほまれ」を使った純米大吟醸も登場し、「料理に寄り添うお酒」を目指しています。

毛利酒造

福井県福井市東郷二ケ町36-29
☎️0776-41-0020
【営】10:00~18:00
【休】不定休
※酒造見学は行っていません
ホームページ

さらに越前東郷駅周辺にあるもう一つの酒蔵が「安本酒造」です。

安本酒造 外観

安本酒造の創業は1853年。明治中期から昭和初期に建築された伝統的な切妻造りの主屋や蔵などの建物は国の登録有形文化財に指定されています。

2001年に現当主の安本岳史さんが従来の酒造りを一新。自ら杜氏として酒造りを行い「白岳仙(はくがくせん)」を生み出しました。

季節ごとに登場する限定酒も人気です!

東郷のまちなみ

毛利酒造と安本酒造は歩いて5分ほどの距離。

酒蔵見学は実施していませんが、福井を代表する日本酒の酒蔵の一つとして立ち寄らないわけにはいきません。

堂田川が流れるレトロな街並みを散策しながら酒蔵に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

安本酒造

福井県福井市安原町7-4
☎️0776-41-0011
【営】10:00~18:00
【休】不定休
※酒造見学は行っていません
ホームページ

【一乗谷駅】門外不出の秘伝の酒「青木蘭麝堂」

越前東郷駅からさらにひと駅隣の「一乗谷駅」に到着。

一乗谷朝倉氏遺跡をはじめ、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館など見どころが多いこのエリアにも、はずせない発酵スポットがあります。

それがここ「青木蘭麝堂(あおきらんじゃどう)です。

戦国時代、一乗谷エリアには朝倉氏が築いた城下町があり、さまざまな文化人や学者たちが集まる文化の集積地でした。

中国・明からも最先端の医学を取り入れ、造られていたのが滋養酒「蘭麝酒(らんじゃしゅ)

現在に至るまで約400年にわたり、朝倉氏に使えた武将の子孫である青木家が一子相伝で継承し、門外不出の秘伝酒として大切に守り造られています。

蘭麝酒の原料となるのは地元・東郷で栽培された「もち米」。

米麹をたっぷり使ってもち米酒に発酵させ、十数種類の生薬を漬け込み琥珀色のお酒へと熟成させます。

ほんのり甘く、コクがあり、レモン入りの炭酸水や牛乳で割って飲むのもオススメなんだとか。

青木蘭麝堂は3つの建物が国登録有形文化財に、庭園は福井市の文化財に指定されています。

当主の青木邦夫さんの案内のもと、緑のグラデーションが美しい庭園を散策。

紅葉の時期は彩鮮やかな風景が見られるそうですよ。

建物や庭園の見学は不定期で開催しているので、必ず事前に問い合わせてみてくださいね。

青木蘭麝堂(あおきらんじゃどう)

福井県福井市脇三ヶ町25-19
☎️0776-41-0078
【営】8:00〜18:00
【休】年中無休
※庭園の見学は要事前問い合わせ
ホームページ

【越前大野駅】発酵の力で素材の甘味と旨味を引き出す「きなり」

福井駅から約1時間かけて「越前大野駅」に到着。

越前美濃街道の中間点にある城下町・大野は「名水のまち」として知られ、素晴らしい水があることで醸造業が発展しました。

道を歩いていると酒蔵や糀屋、味噌屋、醤油蔵などさまざまな醸造場を目にします。

「真名鶴」の銘柄で知られる真名鶴酒造や「花垣」で有名な南部酒造場も大野市のまちなかにあります

「越前大野駅」から徒歩約10分。

大野のまちなか拠点Popolo.5(ポポロドットファイブ)にあるカフェ「きなり」にやってきました。

「食・文化・健康」がコンセプトの「きなり」では、さまざまな発酵食品を使ったメニューが味わえます。

「たっぷり野菜のランチプレート」はビーフ100%と大豆ミートの2種類のハンバーグをメインに、塩糀や醤油糀を使ったサラダや焼き野菜などボリューム満点! 

地元大野の野村醤油の味噌と南部酒造場の酒粕を使ったかす汁やお漬物まで発酵の要素が満載のメニューです。

ツアーでいただいたのは特別メニュー。ふだんはタンドリーチキンと照り焼きチキンからメインを選べます

きなりでは白砂糖や化学調味料を極力セーブ。

デンプンを甘いブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に変化させるはたらきがある糀を積極的に使うことで、素材の旨味や甘味を引き出しています。

きなりの店主から糀や水の違いについても教えていただきました

発酵食品の一つ、お酢を使ったレモンスカッシュ

きなり

福井県大野市明倫町11-8 Popolo.5(ポポロドットファイブ)
☎️0779-65-3582
【営】11:00-17:00(オーダーストップ16:30)
【休】木・金曜(臨時休業あり)
ホームページ

【越前大野駅】麹造りから天然醸造醤油を手がける「野村醤油」

おなかがいっぱいになった後は、「きなり」から少し歩いて次の場所へ。

明治の初めに創業し、現在も麹造りから手掛けて天然醸造醤油を造り続けている「野村醤油」にやってきました。

「野村醤油」は大本山永平寺御用達の蔵元で、大野市では最も歴史のある醤油蔵。体験蔵「重右ェ門」では、身近な発酵食である醤油について学べます。

醤油の香ばしい香りが立ち上がる体験蔵では、野村醤油6代目の野村明志(のむらあけし)さんから、明治初期より代々伝わる伝統の醤油作りをレクチャー。

機械でコントロールするのではなく、人の手を大切にしている野村醤油。

自然のままの温度でじっくり1年以上かけ発酵、熟成を経て完成させていきます。

体験蔵では「櫂(かい)入れ」を体験。

櫂入れとは、熟成中のもろみを櫂棒を使ってかき混ぜることによって空気を送り、熟成発酵を促進するもの。

適度に空気を入れて発酵のバランスを取る大事な作業です。

大きな樽に入った熟成中のもろみを、櫂棒(かいぼう)と呼ばれる棒でかき混ぜます。

櫂棒を上げ下げするだけなのですが、これがなかなかの重労働なんです。

櫂入れの後は醤油造りの過程でできた「搾る前のもろみ」「搾った生醤油」「火入れした後の醤油」「一般的な甘い醤油」の味比べもできます。

同じ醤油でもそれぞれにしょっぱさや旨味、まろやかさが異なります。

ぜひ違いを味わってみてくださいね。

体験の最後は火入れ前の生醤油を瓶詰め。

自分で書いたラベルをボトルに貼り、世界に一つしかないオリジナルの生醤油を作ることができます。

醤油体験は6歳以上から参加可能。

身近な調味料だからこそ、子どもから大人まで楽しめそうですね!

野村醤油

福井県大野市日吉町10-1
☎️0779-66-2072
【営】9:00〜17:00
ホームページ


<体験>
【料】1人税込1,000円(材料費、専用容器代込)
【所要時間】1時間
【対象年齢】6歳以上(保護者同伴で6歳未満も参加可能)
※2日前の17時までにHPから要予約

※現在、体験の開催が制限されています。予約カレンダーを必ずご確認ください

【下唯野駅】試飲や収穫体験もできる「白山ワイナリー」

越前大野駅からさらに九頭竜湖方面に3駅進むと、今回の旅の終着地「下唯野」駅に到着。

ここから車で5分ほどの場所に福井県内唯一の自家農園を持つ「白山ワイナリー」があります。

ワイナリー外観。2階がショップになっています

白山ワイナリーでは、約7haの畑で山ブドウの自生種や交配品種を栽培し、醸造施設の見学や試飲を行っています。

山ブドウは日本の固有種。

冷涼山間地に自生し、一般のブドウに比べてビタミンや鉄分、カルシウムやポリフェノールを多く含んでいるそう。

ブドウ畑を眺めながら白山ワイナリーで造られた赤、白、ロゼのほかに福井梅を使った「にごり梅ワイン」などさまざまな種類を試飲できます。

ワインは低温貯蔵庫の中のオーク樽でじっくり熟成しているので、木樽熟成の深い味わいと山ブドウの程よい酸味、野生種の強さが感じられます。

山ブドウのソフトクリームは子どもからも大人気!

白山ワイナリーでは、季節に合わせて収穫体験やワインの醸造体験、さらにシーズンを通してぶどう栽培のお手伝いをする「ぶどう畑の管理サポーター」制度の取り組みも行っているそう。

緑豊かな風景に囲まれていただくワインは格別。

ゆったりした時間とともにお楽しみください。

白山ワイナリー

福井県大野市落合2-24
☎️0779-67-7111
【営】9:00~16:30
【休】年内無休
※年末年始と1月~3月の間は日曜祝日休業
※見学、試飲は無料で予約不要です。
ホームページ

越美北線にはまだまだ魅力がいっぱい!

越美北線に乗って福井-大野の発酵スポットをめぐる旅、いかがでしたか?

列車で移動することで、お酒を飲んでも安心ですし、車窓から四季折々の景色を眺められるのも嬉しいですよね。

ご紹介した場所以外にも、越美北線沿線にはまだまだたくさんの発酵スポットがあります。

次回はぜひみなさん自身で、越美北線での発酵の旅を楽しんでみてくださいね。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

ふーぽ編集部
writer : ふーぽ編集部

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