「本を通して人と出会うこと。」AKUSHUストアマネージャー・石田美香さん【ふーぽコラム】

「本を通して人と出会うこと。」AKUSHUストアマネージャー・石田美香さん【ふーぽコラム】

福井にゆかりがあったりなかったりする、いろいろな書き手がよしなしごとを書き綴る「ふーぽコラム」のコーナー。

 

今回は、福井市出身のAKUSHUストアマネージャー・石田美香(いしだみか)さんです。

 

※月刊fuにて2021年2月号~4月号にかけて掲載された記事です。


AKUSHU ストアマネージャー
 
石田 美香
(いしだみか)
1980年、福井市生まれ。
書店員歴約20年。
小さな頃から本が好き。
現在はエルパ2階にある書店「AKUSHU」店長として、店に並べる本選びなどの責任者を務める
ホームページ

 

本を探す、はじめの一歩。

みなさん、こんにちは。

「AKUSHUBOOK & BASE」のストアマネージャー石田美香と申します。

本が好きで毎日何かしら読んでいます。

2021年が始まり、今年もまた新しい本に出合い、おすすめしていけることが本当に幸せなことだと感じています。

お客様と接する中で、本を読んでみたいけれど何を読んでいいかわからない、というお声をよく頂きます。

今年は読書に力を入れてみようかな、という方もいらっしゃるかもしれません。

なので、今回は本の探し方のはじめの一歩をお伝えしようと思います。

まずはぜひ、本屋さんに足を運んでみてください。

入り口から奥まで気の向くまま歩いて、ざっと本の表紙を眺めてみましょう。

だいたい入り口付近には、今のおすすめ本が並んでいるので、タイトルを眺めるだけでも面白いと思います。

そこでは映画やドラマの原作本、ランキングコーナーなど今流行りの本が分かります。

さらにそのお店の書店員さんのこだわりの1冊(! )が陳列されていることも。

 

同じ本を、立てたり寝かせたりと多面的に陳列している場合は間違いなくそのお店のおすすめです。

POPで熱い思いを語ってくれているかもしれません。

それらが自分の好きなジャンルの本だったら、そのお店は“相性がいい”本屋さんの可能性が高いので要チェックです。

次に、なんとなく気になった本をめくってみてください。

表紙と同じ印象か、そうではないか。

目次にざっと目を通すとその本の全体像が掴める場合もあります。

文字数をさりげなく確認すると、読みやすそうかどうかが判別できます。文字の印刷の濃淡も実は本によって違います。

 

もしも、全く気になる本がなかったら・・・? 

その時は書店員の出番です。

お客様と会話する中で、出てくるキーワードからおすすめの本を提案いたします。

今こんな気分なんですというお声からでも、頭の中をフル回転しておすすめさせていただきます。

 

ネットでも本は買えますが、普段読まない方にこそ本屋さんに来てほしい。

実際に本に触れ、本屋さんの空間を楽しむ機会を作っていただくことで、きっと年代も性別も関係なく、自分が気になる本が見つかると思います。

 

「読まなくちゃ」という義務感ではなく、「なんか面白そう」なくらいの軽い感じで、ぜひ始まりの一冊を見つけてください。

 

 

忘れられない本たち。

皆さんの忘れられない思い出の一冊はどんな本でしょうか?

私の思い出の本は、正直なところ絞りきれずに複数あります。

その頃の自分の年代や状況はさまざまですが、この本があったから今の自分がいるという大切な出合いが今までに何度もありました。

例えば10代で読んだ湯本香樹実さんの『夏の庭』

生きることについて考え、自分の祖父母の世代の人生や時代を知った大切な一冊です。

はじめて読んだ暑い夏の日の情景を今でも覚えています。

 

20代で読んだ東野圭吾さんの『白夜行』

この本を読んだ者同士で感想を伝え合う経験を初めてした思い出の本です。

登場人物の心情を作者が意図的に描いていないため、それを想像して語り合うという読書の新しい魅力を知りました。

 

30代で出合った宮下奈都さんの『羊と鋼の森』や住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』は、今振り返ると自分が一番辛かった時期に心に寄り添ってくれた物語です。

ほかにも原田マハさんの小説は東京の美術館まで足を運ぶきっかけになるくらいの影響を受けました。

 

最近では、町田その子さんの『52ヘルツのクジラたち』が強烈に心に残っています。

世界一孤独なクジラを意味するタイトル。

その物語に心が震えました。

同じように救われる人がたくさんいるはず。

私にとってこの先も大事な一冊であり続けると思います。

 

実は私は子供の頃に闘病を経験し、生活にかなりの制限を受けて過ごした時期がありました。

外出ができなくても本を読んで心の中で旅をする。

誰かの人生を体験し、泣き笑い、喜び悲しみを共有して、また生きてみようと思える。

大袈裟ではなく何度もありました。

生きているって幸せなことのはずなのに、だけど生きているからこそ辛いこともある。

そんな時に本が寄り添ってくれた、忘れられない思い出がたくさんあります。

本に救われることは絶対にある。

必要としている人にしっかり本を届けたい。

これが書店員としての私の原動力になっています。

 

本との思い出はその人の人生でもあると思います。

みなさまが思い出す本にも、きっと大切な記憶が共にあることでしょう。

そんな本との思い出を作るお手伝いをAKUSHUで出来たら嬉しい。

そう思いながら日々の仕事に向き合っています。

 

 

本を通して人と出会うこと。

皆さんは、初対面の方と好きな本の話で盛り上がった経験はありませんか?

好きな作家さんが同じだったり、小説の中のお気に入りの場面が一緒だったりしたら・・・。

つい盛り上がりすぎてしまうこと、私にはあります。

嬉しくて、仲良くなりたい。

いや、もうすでに仲良しの気分になってしまいます。

 

ご来店いただいたお客さまから「並んでいる本が好きな本ばかりで嬉しい」と笑みを浮かべて言われたら、それはもう最高に幸せな気持ちになります。

そこからまた会話が弾み、あの本は、この本は、とお話しするのがとても好きです。

もちろん、全く真逆の雰囲気の本を好む方もいて、その時はその時でまた盛り上がります。

読書する時はひとりですが、本の世界は孤独なものとは限らないということをこんな時に感じています。

本を通して人と出会うということを私は過去に何度も経験しています。

 

AKUSHUとの出会いは本が繋いでくれました。

勤めていたお店が閉店し、書店員という仕事から離れようと思っていた私に新しいチャンスをくれたのは、それまでに何度も一緒に本について話をしていた方でした。

そしてここにいる仲間たちも皆、本を通して人と出会う経験、1冊の本が人生を変えてくれた経験を持っていました。

その本を教えてもらった時、さらにみんなと仲良くなれた気持ちになりました。

 

実は夫と仲良くなったきっかけも1冊の本です。

出会った頃に彼が教えてくれた物語の場面、主人公がコツコツと頑張る姿に私も同じように励まされました。

同じ本の同じ場で心を動かされてたということが、すごく嬉しかったことを覚えています。

本の話題から入って仲良くなった友人がたくさんいます。

社会に出た後も本を通して広がった輪がいくつもあります。

人と出会う、人生が変わる。

物語に心を救われる。

本の力ってなんてすごいんだろうといつも感じています。

何気ない会話の中で本の話題が出るってステキだなあと思うのは、私が本を好き過ぎるから?

いえいえ、そんなことないはず。

心を動かされた感動は、だれかと分かち合うことでもっと大きくなります。

今、手元にある本が誰かとつながるきっかけになるかもしれない。

そう考えるとワクワクしてきませんか。

 

いつかきっと出会い、話す相手のことを楽しみにしながら、今日も私は本を読んでいます。

 

 

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

ふーぽ編集部
writer : ふーぽ編集部

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