【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第33話:巴里(パリ)の空の下、犬は流れる。

    【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第33話:巴里(パリ)の空の下、犬は流れる。

    こんにちは、ふーぽ編集部です。

    福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中のエッセー《犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。》

    福井県出身の編集者、小林孝延さんが、犬1、猫4との暮らしを、のんびりと綴っています。

    第33回は、パリのセーヌ川で釣りをしていた小林さんが、人助けならぬ犬助けをするお話。

    事実は小説より奇なり…。

    ヒーローこばへん誕生の瞬間を見届けてください。

      小林孝延
      こばやし・たかのぶ

      編集者・著者。福井県出身。扶桑社発行の雑誌「天然生活」「ESSE」元編集長。石田ゆり子著「ハニオ日記」(扶桑社)、「保護犬と暮らすということ」(扶桑社)などを編集。犬1、猫4と暮らす。釣り好き。著書「妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした」(風鳴舎)が好評発売中猫沢エミとの共著「真夜中のパリから夜明けの東京へ」(集英社)が11月26日に発売 公式Instagram

      第33話:巴里(パリ)の空の下、犬は流れる。

      先日、パリ在住のアーティストで文筆家の猫沢エミさんとの共著「真夜中のパリから夜明けの東京へ」が発売になった。

      この本は、僕と猫沢さんがそれぞれ大切な存在を失い、喪失の闇の中からどうやって再び立ち上がったのか――その過程を往復書簡のかたちで綴ったものだ。

      * * *
       
      今から3年前。

      当時、勤めていた出版社での仕事に少し疲れていた僕は、ふと思い立ってパリを訪れた。

      コロナ禍がようやく落ち着き始めた秋だった。

      * * *

      もちろん一番の目的はパリに移住した猫沢さんに会うこと。

      でももうひとつ長年あたためていた計画があった。

      それはセーヌ川で釣りをすること。

      観光名所として知られるセーヌ川だが、実は知る人ぞ知る“怪魚リバー”でもある。

      ヨーロッパオオナマズという、人の背丈ほどもある魚が棲んでいるのだ。

      * * *

      10月のパリの朝、霧雨の中、ルアーをキャストすると、すぐに反応が。

      小型のヨーロピアンパーチだった。

      宿泊していたサンルイ島の築400年のアパルトマンから徒歩5分でこんな釣り場があるなんてと魚を手にしばし感動に浸った。

      * * *

      しかしつくづくネタに困らない人生だと思う。

      ようやく日が昇った頃、なんと川上からどんぶらこ、どんぶらこ、と桃じゃなくて犬が流れてきたのだ。

      東京に置いてきた愛犬の幻か?と思うまもなく今度はその犬を追うようにブロンドのパリジェンヌが悲鳴を上げながら駆け寄ってきた。

      どうやら2匹の犬を散歩中、誤って1匹が落水したらしい。

      川は3m近く高さのある切り立った護岸で、犬は自力で上がることができない。

      * * *

      気がつくと僕は、ロッドを放り出し、護岸を滑り降りていた。

      必死に犬に手を伸ばし首輪を掴もうとするも、怖がる犬が僕の手に噛み付く。

      「痛たた!大丈夫だから!」と日本語で伝えてもパリワンコには通じない。

      すると、パリジェンヌが腹の底から絞り出すように「やめて!!噛まないで!!この人は助けてくれてるかっこいい人なのよ!」(意訳。かっこいいは嘘)と叫ぶと、ようやく、おとなしくなった。

      * * *

      なんとか川に片足を突っ込みながら片手で首輪をむんず!と掴み、ずぶ濡れの犬を抱き上げた。

      まさか魚じゃなくて犬を釣るなんてね…。

      パリジェンヌからは「ああ、あなたがいなければどうなっていたことか。

      ありがとうムッシュ」(意訳)と何度も感謝されたのだった。

      * * *

      そんな冗談みたいな土産話を肴に、猫沢さんのアパルトマンで、パリに暮らす自由な大人たちと、しこたまワインを飲んだ。酔いが回る頭で、ふと、思った。

      * * *

      もう、会社を辞めようかな。

      そして今、こうして文章を書いて暮らしている。

      本当に人生って、ハプニング続きだなと、つくづく思うのです。

      犬を助けた後、魚もじゃんじゃん入れ食い状態。めでたし、めでたし(撮影パリジェンヌ)

      新刊「真夜中のパリから夜明けの東京へ」。

      なんと集英社の読書情報誌の書評を我が郷土の誇り、宮下奈都先生書いてくださった!

      先生どうもありがとう(私とは高校の同級生なのです)。

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      ※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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