食卓に欠かせない調味料の大定番、醤油。
これぞ日本の伝統! と思いきやその歴史は意外に新しかったりします。
庶民が日常的に使うようになったのは江戸中期以降、しかも江戸をはじめ京都、大阪など大都市に限られていました。
昭和になるまで、日本の大半の土地では味噌が主要な調味料だったのですね。
というのも、醤油は液体状で管理が難しく、かつ高価な麹を使う量が味噌より多かったので、家庭で手作りされることが少なかったのです。
江戸中期以降、握りスタイルの江戸前寿司など、モダンな町民の食文化勃興に合わせるようにして、醤油のニーズが高まっていきます。
その流れをキャッチアップしたのが当時日本海側屈指の都、金沢。
京都と江戸のいいとこ取りをしたような加賀料理には、醤油が必須のものとなりました。
その供給先となったのが、大野です。
江戸時代の醤油の主要産地といえば、和歌山の湯浅や千葉の野田など、北陸からかなり遠い、かつ水路で運ぶのが大変だったので、近場で自給する必要があったわけです。
そこで勃興した醤油産業、味噌より付加価値が高く、腐らず、何にかけても美味しくなるマジカルな調味料。
戦後、機械を使った量産方式が開発されるまでは、醤油は今とは比べ物にならないほど高価なものでした。
戦前には、醤油一升(1.8L)は散髪一回分の値段が相場でした。
今でいうと3千〜4千円くらい。
しかもソースやマヨネーズなどの外来調味料のライバルもない。
そりゃ儲かるわ!