日本の“美しい”にふれる秋。10/31(日)まで福井県立美術館で開催中の「ももきねの美 清流の旅」展は、一日かけて堪能したい展覧会です。

日本の“美しい”にふれる秋。10/31(日)まで福井県立美術館で開催中の「ももきねの美 清流の旅」展は、一日かけて堪能したい展覧会です。

▲大橋翠石《虎図》昭和13(1938)年頃

 

こんにちは、秋をこよなく愛する

ふーぽ編集部のMKです。

10月になっても暑い日が続き、秋が恋しい今日この頃。

 

日本の美と、日本の秋を、

たっぷり堪能できる展覧会を見つけました。

 

それは、

福井県立美術館で10月31日(日)まで開催中の企画展。

 

その名も・・・

 

「ももきねの美 清流の旅

 日本画の巨匠と陶芸の人間国宝

 岐阜県美術館名品展」

 

この不思議なフレーズ「ももきね」。

漢字では「百岐年」と書きます。

『万葉集』で美濃(岐阜)を詠んだ歌の枕詞にうたわれています。

 

枕詞と言えば奈良の「あをによし」が有名ですよね。

その意味は諸説あり、謎に包まれているのだとか…。

 

そして、岐阜県のキャッチコピーが「清流の国ぎふ」。

山々に育まれる清流が、古来から工芸や文化の源になってきたのだといいます。

 

今回の企画展では、岐阜県にゆかりのある川合玉堂(かわいぎょくどう)前田青邨(まえだせいそん)など日本画の巨匠らの日本画41点

さらに塚本快示(つかもとかいじ)荒川豊藏(あらかわとよぞう)加藤卓男人間国宝の陶磁器5点が一堂に揃います。

 

展示は、序章「百岐年」から、「川合玉堂」「くくりの宮へ」「奥十山」「前田青邨」「清流の國」と5つの章に続きます。

 

日本画の巨匠と人間国宝の陶芸。

そこに万葉歌を散りばめ、清流の国・岐阜を巡る”美と物語の旅”がコンセプトだそう。

 

それぞれの章に込められたミステリアスな物語は、ぜひ美術館で紐解いてくださいね。

 

 

それでは早速、同じく岐阜県出身の福井県立美術館学芸員・原田礼帆さんに、今展のキーパーソンを解説してもらいます!

 

◆ 川合玉堂(1873-1957)

川合玉堂《春景山水、秋景山水》大正7(1918)年


 MK 
 
玉堂は愛知県生まれということですが、どうして岐阜ゆかりなんですか?

 原田  少年期を岐阜で過ごしています。そして、岐阜県の有志がその才能を見込んで京都に留学させたこともあり、岐阜への思い入れは強かったようです。岐阜の自然を愛し、モチーフに選んでいます。長良川の「鵜飼い」の絵は500枚以上も描いてるんですよ。

 MK  岐阜は彼の心のふるさと、なんですね。この、「春景山水、秋景山水」の絵、好きです! 見ていると童謡「ふるさと」が脳内に流れてくる…。

 原田  風景のなかに人物が描かれていて、自分も一緒に絵のなかに入っていけるような感覚になりませんか?

 MK  たしかに! 旅気分が味わえますね♪

山里の春、桜が美しいです

さらに近づいてみると、そこに暮らす人々が。馬もいます

こちらは薪拾いの帰り? やさしいタッチで描かれています

 

◆ 前田青邨(1885-1977)

 原田  青邨は岐阜県中津川生まれです。

 MK  92才! ご長寿ですね。

 原田  得意とした武者絵《応永の武者》や金泥のみで様々な色彩を表現する《遊漁》など、画業のなかで変遷していく作風をみてとれる展示になっています。

 MK  同じ人物の作品とは思えないかも!

 原田  高松宮妃を描いた《ラ・プランセス》にも注目を。日本画独特の輪郭を描く“墨線”が見事。一本の線に命をかける青邨は、息を殺して舌を噛んで線を描いたそう。その証ともいえる、汗のあとが絵に残っているんですよ。

 

 

続いて、岐阜県出身、人間国宝の陶芸家お三方をご紹介。

◆荒川豊藏(1894-1985)

 原田  多治見市生まれ。可児市に桃山時代の窯跡を発見し、「古志野」「瀬戸黒」の再興に人生を捧げました。

荒川豊藏《志野茶碗 銘早春》昭和53~54(1978~79)年

 

◆塚本快示(1912-1990)

 原田  土岐市生まれ。中国北宋期の白磁、青磁を中心に研究。日用品の創作も積極的に行った人物です。

塚本快示《青白磁大皿》昭和54(1979)年

 

◆加藤卓男(1917-2005)

 原田  多治見市生まれ。幻の陶器といわれた「ラスター彩」や「三彩」を復元。展示作品も美しい三彩です。

加藤卓男《三彩花器 銘爽容》平成2(1990)年

 

 MK  どれも本物の存在感がすごい。見ていると吸い込まれそう。実物を見るべし、ですね!

 

さらに、MKおすすめは、ひとあし早く紅葉狩りできる紅葉シリーズ

特に、燃えるような紅葉を描いた《紅嶽山霊》は、玉堂の孫弟子である奥田元宋の作。

“元宋の赤”と呼ばれる、現代では出せない赤色は圧巻です。

奥田元宋《紅嶽山霊》制作年不詳

川合玉堂《日光裏見瀧》明治36(1903)年頃

玉舎春輝《皐月頃・小春日》(部分)大正期

大きな作品のボリューム感や、精緻に計算された照明でのみ再現できる繊細な色・質感は、美術館に行かないと感じられないもの。

残念ながらふーぽではお伝えしきれないので、ぜひ本物に会いに、美術館へ!

 

今展のチケットで、同時開催のテーマ展

「見せます、魅せます 日本の美“うつくしの逸品”」も、当日に限り観覧できます。

作者不詳《世界及日本図屏風》(部分)桃山時代

作者不詳《誰ヶ袖図屏風》(部分)江戸時代


福井県美が所蔵する川合玉堂、前田青邨の作品をはじめ、刀や屏風絵、文箱など、平安時代から醸成された“日本の美”を感じられる展示になっていますよ!

 

芸術の秋を堪能したら、

食欲とショッピング欲も満たしましょう♡

 

会期中、岐阜県アンテナショップ
「THE GIFTS SHOP」がオープン。


「ツバメサブレ」や「3じのビスケット」など、人気のお菓子をはじめ、昔ながらの山椒や柿酢、マ〇コ・デラックスさんが「飲めるソース!」と絶賛したという飛騨清見ソースなど、岐阜のおいしいものが集まっています。

さらには岐阜県のかわいい工芸品や美濃焼の食器がずらり。


学芸員の原田さんおすすめは、美濃焼の伝統的な釉薬“飴釉”でガラスのような透明感と漆器のような風合いを表現した「ぎやまん陶」だそうです。

 

最後は、おとなりの美術館喫茶室 ニホで、“栗ひろい”♡


今展コラボメニュー
「てんさい栗ぷりんパフェ」に舌鼓。

 

特製のてんさい糖を使った栗プリンや、ミルク珈琲アイス、渋皮栗アイス、栗の甘露煮、マロングラッセなど、栗づくしのパフェに癒やされてください。

 

そして、ニホでは10月31日(日)まで、

岩本宇司展「多面体感」を開催中。

 

福井市在住の現代美術作家、岩本宇司(たかし)さんのドローイングやオブジェが、ニホの壁や天井の隙間、庭など“多面的”に展示されています。


いかがでしたか?

いろいろな“秋”を満喫しに、美術館へ出かけてみてくださいね。

 

今から参加できる関連イベントはこちら

「福井県美術館名品展プレミアムミュージアムナイト」

【開催日】10月16日(土)17:15~約2時間

閉館後にゆったりと観覧できる特別鑑賞会。
ミュージアムショップも19:15までオープン。
▼詳細はこちら
https://fupo.jp/event/fukuikenbi-museumnight/

参加1,000円、1,700円(美術館喫茶室ニホの栗ぷりんパフェ付き)
詳細・申込は福井県立美術館 ミュージアムショップ
☎0776-25-0452(※ミュージアムショップへとお伝えください)か、InstagramのDMにて

 

キッズミュージアム「ナンヤローネアートツアー」

【開催日】10月30日(土)13:30~約2時間

作品を観て感じたことを話ながら楽しむ鑑賞プログラム「SuchSuchSuch」を開催。
参加無料(要チケット)・要事前申込(先着15名)
申込は美術館HPから

ももきねの美 清流の旅
日本画の巨匠と陶芸の人間国宝
岐阜県美術館名品展

【日時】
2021年9月18日(土)~2021年10月31日(日)
9:00~17:00(入館は16:30まで)
【会場】福井県立美術館
福井県福井市文京3丁目16-1
☎0776-25-0452

【観覧料】
一般・大学生1,000円
高校生600円
小・中生300円
(20名以上の団体は2割引)
※障がい者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は半額
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入場制限や中止をする場合があります

▼詳細はこちら https://fupo.jp/event/gifukenbijutukan-meihinten/

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

MK
writer : MK

「おいしいものしか食べたくない」がテーマ。
主に、ふくいの食べもの、飲みもの、うつわ(職人)について書いてます。ときどき、オシャレもしたくなります。
エジプトと古墳時代、ジブリも好きです。県内のアート情報にも目を光らせています。

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