あの今川焼屋を生んだ伝説の放浪人。【生活芸人・田中佑典のふくい微事記~福井駅前編~】

あの今川焼屋を生んだ伝説の放浪人。【生活芸人・田中佑典のふくい微事記~福井駅前編~】

こんにちは、生活芸人の田中佑典です。

 

往復約900km。福井県を徒歩で横断する「微遍路(びへんろ)を終え、歩んだ道のりをもとに「微住街道」をマッピング。

街道の途中で出合った出来事を「微事記」として記し紹介します。

今回は【福井駅前編】です。


【⇒過去の記事一覧はこちらから


田中 佑典
さん

台湾と日本をつなぐプロデューサー。
一定期間地域に滞在し、“ゆるさと”づくりをする旅『微住』の提唱人。
2021年東京から福井市にUターン。
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あの今川焼屋を生んだ伝説の放浪人。

再開発で変わりゆく福井駅前の一角に、昔から変わらない、もはや“風景”のような店がある。

創業72年の『今川焼本舗』だ。

 

現在は二代目のおばちゃんと、三代目のご夫婦が切り盛りしている。

初代の山崎武志さんは、日本各地を放浪する行商人だったという。

一流の三味線弾きでもあった彼のことを「なんでも器用にできちゃうすごい人」とおばちゃんが当時の写真を見ながら話してくれた。

山崎武志さん(左)。みなと屋時代の貴重な写真


武志さんは行商中に大阪で「今川焼」を知って目をつけ、戦後両親の実家がある福井市で『今川焼本舗』を開店した。

スタートは現在の福井駅「ハピリン」前辺りにあった菓子屋「みなとや」の一角。

生来の商売センスも相まって、たちまち店は繁盛し、その後現在の場所へ移転した。

いつもこの定位置から駅前を見つめる三代目店主


当時の新聞の取材で「お客をゴマ化すことはできない」と武志さんが語ったように、生地は店一番のこだわりだ。

そのレシピは72年経つ今も変わらない。

単に甘いだけじゃない生地の味は、武志さんが全国を巡り、研究に研究を重ねて生まれたもの。

現在も二代目、三代目が毎日手作りしているので、真似のしようもない。

だからこそ世代を越えて愛されているのだ。

田中はあんこ派。ここのあんこで育ちました


実は当時、福井駅前にはこの繁盛店を真似ようと、今川焼屋が何軒もできたそうだ。

昨今のタピオカミルクティー店のように、その後どうなったかは明白だ。

 

「父から『並べて売るのは誰でもできる。他人のできない“根気”を大事にしなさい』と教えられたんです」とおばちゃんは話す。

「これまで大雪が降っても毎日店を開けてきました。“こちょこちょ”とやり続けるのが大事。田中くんが微遍路でまさに“こちょこちょ”歩いてきたことに共感したんだよ」とその想いを受け継ぐ三代目のお父さん。

微遍路で繋がった我がソウルフードとのご縁


表面的な形は真似できるかもしれないが、出来上がるまでの “こちょこちょ”は、誰も真似できない。

そこから人も街も、“らしさ”が生まれてくるのだ。

 

今川焼本舗

福井県福井市中央1-5-10
☎0776-22-0998
【営】9:30~21:00
【休】不定休(月1回)

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

ふーぽ編集部
writer : ふーぽ編集部

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