「城」に魅了された福井出身の大学生・酒井大那の新連載! ~はじめにの巻~【だいなの越前・若狭! 福井の城見聞録】

「城」に魅了された福井出身の大学生・酒井大那の新連載! ~はじめにの巻~【だいなの越前・若狭! 福井の城見聞録】

はじめまして。
三度の飯より、城が好き!!

 

・・・いきなり申し訳ありません。
私、福井を拠点に城郭研究や城郭の面白さ・魅力を広める活動をしている酒井大那(さかいだいな)といいます。

日本考古学と城郭史を専門に、大学では考古学を専攻して勉強と調査研究に取り組んでおり、城跡について話出したらとまらないほど、城跡や城郭を愛しています。 これまでに訪れた城跡、城郭は500カ所以上に上ります!

 

そんな私、酒井大那が、今回からふーぽ読者の皆さまに、「越前・若狭、福井県内に所在する城跡」の魅力や、それらが何倍も面白くなる見方などを交えて紹介する連載シリーズ【だいなの越前・若狭! 福井の城見聞録】をお届けしていきます! 

「城」というと観光名所として有名な大阪城、姫路城、熊本城などがあげられますが、日本には3万から4万もの城跡が存在します。

福井県坂井市の丸岡城のように天守の残る城から、木造やコンクリートで復元された天守などの建物を持つ城、石垣だけの城、山城など、城跡とひとくちにいってもいろんな形で現存しています。

 

ちなみに福井県内にも、何百という数の城跡があるって、みなさんご存じだったでしょうか? 

 

 

皆さんが暮らす地域にも、城跡があるかもしれません。
未だ発見されていない城跡もあるかもしれません。

ぜひ、歴史を体感するためにも、足を運んで見学してみましょう! 
新しい地域の発見があるかもしれませんよ。


日本は、東西南北に長い弓のような形をした列島であるため、地域ごとにその特色、つまりは築城に伴う地域文化が見られます。

また、現在私たちが見ている約258万年前以降の地質現象によって形成された地形(新生代第四紀)は、それぞれの地域で唯一無二の存在であるため、同じ形をしたお城は近世城郭を除いて、見ることができません。

それぞれの地域の特色を十分に取り入れた歴史遺産なのです! 

また、現在では簡単にお城へ入ることができますが、当時は軍事要塞かつ防御施設であるため、簡単には侵入(入城)できない。
つまりは、過去の人類の攻めよう! 守ろう! といった思いや考えを感じ取ることができます。

 

つまり私は、「城跡は、文化遺産のなかで最も歴史に触れ合う、歴史を読み解くことができる場所であり、過去の人類の気持ちや歴史を感じることができる場所」だと考えているのです! 

 

連載を担当させていただく“酒井大那”とは何者か

次に私の自己紹介をさせていただきます! 

私は2001年、福井市にある福井城の旧城下町で生まれました。
幼少期から、福井城の内堀に住む鯉や御廊下橋に集まる鳩へ餌やりをし、石垣を眺めながら育っていきました。

小学5年生の頃、織田信長について学習し、時代の変革者としての偉業や功績に魅了され、そこから歴史好きになりました。
織田信長について調べているうちに、信長に関係する主な城跡(勝幡城、那古野城、清洲城、 小牧山城、岐阜城、安土城)に興味をそそられ、6城全てを訪れて見学しました。

そのなかで、石碑と案内板しかない勝幡城(愛知県)や那古野城(愛知県)のどこが城なのか疑問に感じたり、那古野城の石碑と同じ敷地の中にある徳川の城・名古屋城の高石垣に魅了され城好きになりました。

これほどまでの高石垣をどのように積んでいったのか。
また、どういった思いで積もうとしたのかなどを考えているうちに、城の世界に引き込まれていったのです! 

中学生になると、天守(閣)をはじめとする建物が残る城跡や石垣のみが残存する城跡だけでなく、土づくりの城、山城も見学するようになり、城郭や考古学についての勉強を開始しました。

 

高校入学後からは、SNSや鳥取県米子市などの地域広報誌で、城の楽しい見学方法や魅力について発信する機会も増えてきました。

地元を中心とした商工会議所主催の歴史イベントや坂井市主催のお城クイズ大会の出題・解説、福井市公民館主催の企画等に携わらせていただき、城跡やその他の遺跡を案内する講師も務めさせていただくようになりました。

 


地域の方が知らない歴史や考え方を発信することで、地域の歴史文化の価値向上につながればと思っています。

現在は福井県外に在住し、大学にて考古学を専攻中です。
日本考古学と城郭史を専門に学び、古代の遺跡や出土した遺物、城郭遺跡についての勉強や調査研究などにも取り組んでいます。

 

城の魅力

城の魅力は大きく2つあります!

1.土木施設としての魅力
2.防御施設としての魅力

 

まず、「土木施設としての魅力」について。

 

「城」というと、天守や門といったように建物を思い浮かべる方が多いかと思います。

しかし、「城」は字の通り、「土」で「成」ると書き、まさしく土木施設なのです。

その土木にこそ、城の最大の魅力があるのです。


土を掘って堀と成し、掘った土を盛って土塁(敵の侵入を防ぐための土の壁)を成します。

16世紀前半頃になると、元々お寺の技術であった石垣を城に導入します。

 

織田信長による小牧山、岐阜、安土には立派な石垣を見ることができ、特に天正4年(1579)の安土築城によって、高石垣、天守、瓦葺き建物という江戸時代の城の原型が成立します(これを「城郭革命」なんて言ったりもします)。

現在ある福井城は江戸時代初期に築城された城であり、近世城郭の到達点と言えると思います。

 

福井県内には、城の門が移築されて現存していたり、坂井市には丸岡城の天守が現存していたりしますが、多くの城跡には建物がありません。

しかし、建物だけが城ではないのです。

先述した通り、土木にこそ城の最大の叡智があります。

決して、建物が残存していないことが残念なのではなく、 土塁や堀、石垣が残っているこそ誇りに思うべきことではないかと、私は考えています。

過去の人類による知恵と工夫の結晶が まさに遺跡となって今に伝えられているということなのですから。

 

次に、「防御施設としての魅力」

城を見学する際は、攻め手・守り手の気持ちになることをおすすめします。

現在は、容易に城内に入ることが可能ですが、本来は防御施設であり、そう簡単には入ることはできなかったもの。

普段当たり前のように城内を通過したり、見学したりしているかもしれませんが、その要所ごとに侵入を防ぐための仕掛けが存在します。

それらをつぶさに観察して、当時の人々の創意工夫を味わうのも楽しみ方のひとつです。

城に入る時は敵の気持ち、つまりは攻め手の気持ちに。

逆に帰る時には防御する見方の気持ち、つまりは守り手の気持ちになってみましょう。

「ここの守りはどうやって崩せるか? 」とか「あそこから攻められたらどう守るべきか」などなど想像をめぐらすことができ、立場の違いから同じ場所でも二度楽しめると考えています。

ただ、あまり意識しすぎると、観光客から不審な目で見られるため注意が必要ですけどね。

 

「だいなの越前・若狭! 福井の城見聞録」では、さきほどお伝えした城の2つに魅力に加え、他の城との比較をして分かることや、城郭史の視点からみて分かること、それぞれの城の面白さ、何倍も面白くなる城の見方などもお伝えしていきたいと思います。

 

私のこの連載が、読者の皆様にとって、地域の歴史に触れ合える、そして城をはじめとする歴史的文化遺産を地域の誇りだと感じてもらえるきっかけになれば幸いです! 

 

次回は、青く輝く石材を城全体に用いた、越前の石文化の到達点と言える徳川のあの城」をご紹介いたします! 

お楽しみに! 

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

いつか県内外の城跡にて、みなさんとお会いできることを楽しみにしております。

 

城跡は、文化遺産のなかで最も歴史に触れ合う、歴史を読み解くことができる場所ですよ! 

\だいなのプロフィール/

酒井 大那(さかい だいな)

「歴史に触れ合う、歴史を読み解くことができる歴史的文化遺産こそ、城跡!」

平成13年、福井市生まれ。考古学専攻の大学生(主な専門は日本考古学・城郭史)。
発掘調査から出土したモノを通じて、過去人類の文化や過去の社会を研究している。
これまで訪れた城跡、城郭は500カ所以上。

「福井城を守る会」代表(2021年4月活動開始)、若狭国吉城歴史資料館宣伝担当。城郭談話会・石川考古学研究会 等に所属する。

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