越前市にある”越前そば”発祥の老舗「うるしや」。20年の時を経て、復活に至った歴史とものがたり。

    越前市にある”越前そば”発祥の老舗「うるしや」。20年の時を経て、復活に至った歴史とものがたり。

    こんにちは、ふーぽ編集部です。

     

    およそ20年前に閉店し、2019年営業を再開した、“越前そば“発祥の老舗「うるしや」

    大正時代の建物が数多く残る越前市の中心市街地京町1丁目、石畳が延びる「寺町通り」にうるしやはあります。

    町の歴史の奥深さを伝える寺社仏閣の中に静かに佇むそば屋も、その歴史の一部です。

     

    今回は、県下有数の名店であるうるしやの歴史と、復活のものがたりをご紹介します。

      天皇もうならせた「越前そば」。

      うるしやの創業は江戸時代後期。

      屋号の通り、かつては漆の販売を生業とし、1861年に蕎麦屋に生まれ変わりました。

      蕎麦屋として約150年の間に、様々なエピソードが残っています。

      中でも、「越前そば」の名が生まれるきっかけとなった話はよく知られています。

      「うるしや」と書かれた、こね鉢の看板が目を引く

       

      昭和22(1947)年、昭和天皇が武生(現越前市)に行幸し、うるしやのおろしそばを召し上がりました。

      おろしそばと言っても、大根おろしをかけて食べる一般的なスタイルではありません。

      そばは抹茶が練り込まれた茶そばで、大根の搾り汁と醤油を混ぜたつゆにつけて食べる形式。

      蕎麦は抹茶をまぜた「名代蕎麦」と、オーソドックスな「田舎蕎麦」の2種類

       

      昭和天皇はこのおろしそばを大変喜び、宮中に戻ってからも「あの越前のそばは・・・」と懐かしがったとのこと。

      そこから「越前そば」の呼び名が広まったといわれています。

      その他、歌舞伎役者や作家、政治家など、各界の著名人が訪れました。

      「名代蕎麦山かけなめこ(税別1,380円)」も名物。箸ですくえば、真っ白のとろろから抹茶の深い緑が現れる

       

      漆の商家だった名残か、店の柱や梁などには漆が塗られ、座敷に面した坪庭や調度品とともに凛とした雰囲気を漂わせます。

      作家の司馬遼太郎も、店の歴史の登場人物の一人。

      蕎麦だけでなく、洗練された店の設えにも感銘を受け、「すべてがさりげなく、客に重みを感じさせず」と言葉を残しています。

      先々代が集めた品々で、室内は趣深く

       

      先々代の梅田惣七氏は茶道に通じた文化人で、美術や骨董にも造詣が深かったそう。

      今でいうサロンとしても利用され、お茶会や歌の会が開かれ、寄り集まった旦那衆が美術や音楽、それぞれの商売のことや町の将来について話を交わす社交の場でもありました。

       

      しかし、多くの人に愛された名店は、20数年前に惜しまれながら休業することになりました。

       

       

      お客様の人生に寄り添う存在として。

      一度のれんを下ろしたうるしやですが、2019年に復活を果たします。

      その立役者が現オーナーの原崎衛さん。

       

      30年程前に調理師を志して東京の洋食屋で修業。自分の店を持ちたいと考えた折りに、一度故郷福井へ帰省しました。

      その際、四季折々の食材、風土、江戸や上方の文化が混在した福井の食文化の豊かさが凝縮されたものが「そば」であると思い至り、そばの店を開くことを決意。

      大野の名店「福そば」で修業を始め、2010年には越前そばを提供する店を東京の神楽坂にオープンしました。

      そば打ち部屋。自家製粉と手打ちにこだわる

       

      店の営業が軌道に乗ったころ、越前市に住む知人からうるしやの現状を聞き、

      「福井の蕎麦の歴史にとって最も重要な店の灯を、絶対に絶やしてはいけないと思ったんです」。

      うるしやが担ってきた役割やその歴史の重みを感じながらも、店を引き継ぐことに名乗りをあげました。

       

      復活したうるしやは、かつての姿が忠実に守られています。

      店内の調度品は当時のままで、先々代が集めた骨董品が時季に合わせて飾られます。

      坪庭も美しく苔むし、凛とした店の雰囲気も往時を思わせるのに十分です。

      苔が美しい坪庭

       

      もちろん、そばも変わっていません。

      昔のうるしやをよく知る人物の話や数少ない文献をもとに再現したおろしそばは、「名代(なだい)おろし蕎麦」として提供。

      「名代おろしそば(税別880円)」。ぶっかけではなく、つゆにつけて食べることで、そばの風味をより楽しめるという

       

      細打ちの小気味よいのどごしと、ツンとした辛さがクセになる名物です。

       

      復活して以来、原崎さんはかつての常連客の多くから、以前のうるしやでの思い出を聞かされ、お見合いや結納など、人生の節目やお祝い事の席にうるしやが選ばれてきたことを知ったといいます。

      茶室のような個室も。祝いの席としても利用されてきた

       

      「ただの食事処ではなく、お客様の人生に寄り添う存在だったのだなと改めて思い至りましたね」

       

      新型コロナの影響をはじめ、さまざまなものが人々の生き方や社会の在り方を問い直し、変化を求めている今だからこそ、原崎さんには守り続けたいものがあるといいます。

       

      「この地で紡いできた歴史を守っていくことはもちろん、かつてのうるしやのように、人々が寄り合い未来を語り合う憩いの場としてあり続けるよう努めていきます。お客様とともに歩む存在であることが、この店の役割なのです」

       

       

      うるしや

      福井県越前市京町1-4-26
      ☎0778-21-0105
      【営】 11:00~22:00
      【休】水曜
      ホームページ

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