荒井さん
サステナブルやエシカル、SDGs(持続可能な開発目標)という言葉は、繊維産業でも最近聞かれるようになりましたね。
鈴木さん
サステナブルというと、オーガニックコットンやリサイクル繊維など、素材が注目されがちですけど、実はそれ以外の部分で考えなければならない課題がたくさんありますよね。
松川さん
繊維は世界で2番目に環境負荷が大きいと言われている産業ですからね。(国連貿易開発会議調べ)
染色や加工時に使う水の量が多いことや汚染が問題の一つだと言われています。
雨森さん
うちは繊維でも反射材や熱転写シールといった特殊な素材を扱っているので、水は使わないんですよ。
でも、反射材を貼った後の使用済みフィルムの廃棄が課題で・・・。
松川さん
縫製の時の裁断クズ、製品の売れ残りなど、製造工程で発生するあらゆるロスも世界的な問題になっていますよね。
鈴木さん
わずかなスレや傷で規格から外れて市場に出せなくなってしまった生地ももったいないなといつも思います。
アサヒマカムの本社で開催した座談会には4社が参加。繊維の話になると盛り上がり、話題はつきない
荒井さん
繊維産業は糸にする工程や織り、染色、縫製など分業なので、運搬の問題もありますよね。
私が扱う絹織物の場合、織るのは福井県で、縫製は東北や北海道へ送ることも多いです。
雨森さん
すごい距離!
ものが作られて捨てられるまでのCO2排出量を表す「カーボンフットプリント」という言葉も最近よく耳にしますが、移動を減らすだけでかなりCO2排出量は減りそうですね。
うちでは燃やした時にCO2排出量が減らせる「グリーンナノ」を原料に加えています。30〜50%くらいCO2排出量が減る効果があるそうです。
松川さん
私たちが作る織ネームはポリエステルが多いので、それを溶かしてプラスチック製品に再利用できないかなと思っています。
もう一度糸にできれば一番理想ですが、今の技術ではまだ難しくて。
丸仁さんのフィルムなどに再利用できるといいかも!
鈴木さん
うちでも再生ポリウレタンや再生ナイロンなどを使っていますが、原料を溶かして再び細い糸にするのは難しそう。
繊維業界でも新しい技術は試行錯誤されていますが、まずは廃棄を減らすことが今すぐできる方法かもしれないですね。