豊かな風土が醸す福井の美味しいお酒。伝統を守りながら進化を続ける、若手蔵元も紹介。

    豊かな風土が醸す福井の美味しいお酒。伝統を守りながら進化を続ける、若手蔵元も紹介。

    こんにちは、ふーぽ編集部です。

    秋は酒造りがはじまる季節

    10月1日は「日本酒の日」に制定されています。

    ふくいの酒蔵でも、秋に収穫した米で酒造りが行われています。

     

    「酒は蔵なり」といわれ、日本酒には酒蔵のスピリットがあらわれます。

    今回は、福井の酒造りや、伝統を守りながら柔軟な姿勢で新しい酒造り挑む、若手蔵元を紹介します。

     

      風土が醸す、ふくいの美味しいお酒

      文・小倉ヒラク

      発酵デザイナー 小倉ヒラク

      1983年東京都生まれ、山梨県在住。文化人類学と発酵学を独自に融合させた「発酵文化人類学」を展開し、「発酵デザイナー」の肩書で微生物研究や食文化の普及に取り組む。著書『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』。金津創作の森美術館(福井県あわら市)で北陸の発酵食文化を紐解く展覧会「Fermentation Tourism Hokuriku ~発酵から辿る北陸、海の道」2022年9月17日(土)~12月4日(日)を開催予定。

      展覧会詳細は金津創作の森美術館HPまで。

      奥ゆかしくも、洗練。


      全国を巡って地酒を飲んでいると、酒にも「その土地らしさ」を感じることがよくある

      たとえば秋田なら、しょっぱい郷土料理にあうジューシーで爽やかな酒、島根なら、濃いダシ味や山菜に負けない、燗映えするどっしりとした酒。

      酒のお土地柄は、そこに住む人の暮らしや美意識を反映する。

       

      さて福井。

      ここ数年縁があって頻繁に通ううちに、だんだん「福井らしさ」がわかってきた。

      キーワードはズバリ、「細マッチョ」である

      飲み口は柔らかく、爽やかさを感じる。

      しかし口に含むとしっかりとしたボリューム感があり、余韻も適度に長い。

      たとえば永平寺町の「黒龍」、美浜町の「早瀬浦」、福井市の「越の鷹」

      辛口だが淡麗ではなく、首から上はイケメンだが、Tシャツを脱ぐと腹筋バキバキに割れてる! という味の設計。

      福井市中手町(旧美山町)で収穫を待つ「五百万石」の田んぼ。きれいな水と寒暖差が“いい米”を育てる

       

      もちろん蔵ごと、銘柄ごとに様々な味の打ち出しがあるのだが、この細マッチョぶりはかなり共通して見られる傾向というのが僕の見解。

       

      福井市の常山酒造の常山晋平さんにつくりたい酒のイメージを聞いたら、「蟹やサバなど福井らしい魚介に合う、シャープなキレとうま味が共存した酒」とのこと。

      彼の酒は福井らしさの要素に加えて、ワインのような酸味奥行きのある甘味など、洗練されたモダンもある。

      彼自身、シュッとした細マッチョイケメン。

      決して派手ではないが、一貫した美意識の高さと地元の気候風土へのリスペクトがある。

       

      入り口はあくまで優しく、しかし飲めば飲むほどそのデザイン性の高さに気づく、奥ゆかしい洗練。

      細マッチョな福井の酒、じっくり時間をかけて愛でたいものよ……!

       

      知っておこう。酒造り用語

      酒造り用語

      ◆蔵元(くらもと)
      酒蔵の経営者。
      酒造りの現場を仕切る「杜氏」を兼ねるのが「蔵元杜氏」。

      ◆酒米(さかまい)
      日本酒醸造に適した米。
      吸水性に優れ、発酵にも適している。「山田錦」「五百万石」が有名。

      ◆さかほまれ
      大吟醸酒向けに開発された福井生まれの酒米。
      2019年に初収穫し、醸造が開始された。

      ◆大吟醸酒
      米を50%以下まで精米した酒。
      醸造アルコールを添加しないものを「純米大吟醸酒」。

      ◆山廃(やまはい)生酛(きもと)
      自然界の微生物の働きを活かす酒母(酛)造りの手法。
      乳酸や酵母を添加する「速醸」の倍かかる。

       

      若手蔵元をたずねて

      田嶋酒造(福井市)

      日本酒の可能性を広げる、ユニークな杜氏の技。

      輸入するバーボンやウイスキー樽のほか、福井ならではの越前焼の甕で熟成させる計画も

       

      1849年創業。

      7代目となる田嶋雄二郎さんは石川県・能登杜氏の技を引き継ぎ、2016年に杜氏に就任。

      農大在学中、文献をもとにワイン酵母で醸した純米酒《PURERICE WINE》を開発

      甘酸っぱくスッキリとした味わいは洋食にも合うと定番商品になりました。

      さらにオーク樽で熟成させる「樽貯蔵」など、次々に新しい試みを展開する一方で、代表銘柄の《福千歳(ふくちとせ)伝統の“山廃(やまはい)”を貫きます

       

      年間20種超の酒を出荷。「小規模だからこそできるチャレンジングな酒造りで面白いものを届けたいです」

       

      手間暇はかかるが、天然の乳酸菌が生む優しい酸味は唯一無二で、究極の食中酒になるのだとか。

      「職人というより酒飲みの一人として(笑)。楽しんでもらえる酒を造っていきます」と田嶋さんは言います。

      オーク樽熟成の《Oak Barrel ×PURE RICE WINE》

      田嶋酒造

      福井県福井市桃園1-3-10
      ☎0776-36-3385 
      ホームページ

       

      久保田酒造(坂井市)

      地域とともにある、“丸岡メイド” の酒。

      工場裏に広がる酒米「山田錦」の水田。「酒米の栽培が水田を維持することにもつながります」

       

      越前丸岡藩主の命で始まった約270年の酒造りを、12代目・久保田浩隆さんが引き継ぐ。

      近年、力を入れるのが《鬼作左(おにさくざ)で、なかでも圧搾機を使わず“袋吊り”でゆっくりと搾った酒は、雑味のないまろやかな風味になるという。

      《鬼作左》は、この地を流れる地下水と先代が開発した機械でつくる麹と自社酵母、自社栽培の酒米で醸す、完全“丸岡メイド”

       

      袋吊り搾りの風景。もろみの入った酒袋を吊るし、自然に落ちる雫を集める。酒蔵見学も対応(詳細はHP)

       

      《淵龍(えんりゅう)》《女将》などまちおこしの地酒造りや、地産品を使ったリキュールの開発など「地域とともにある家業」の理念を守ります。

      「日本酒は会話や団らんのツール。人の縁を深めるきっかけになれる酒を届けられたら幸せです」と久保田さん。

      希少な数量限定《純米袋吊り搾り無濾過生原酒 鬼作左》

      久保田酒造

      福井県坂井市丸岡町山久保27-45
      ☎0776-66-0123
      ホームページ

       

      豊酒造(鯖江市)

      こだわりをストーリーに、新しいSAKE を打ち出す。

      今年の酒造りは10月末から。「大吟醸に焦点を当て、新たなことを試すつもり」と意気込み十分

       

      創業以来、270年近く続く老舗の12代目となる蔵元杜氏、佐々木克宗さん。

      能登・新潟・丹波の3流派の杜氏の技術を知る現蔵元の父のもとで腕を磨いてきました。

      「こだわりをストーリーにできる酒」を信条に、独自の技術開発も追求

       

      父子を中心に、県産酒米「五百万石」と地下水で丁寧に酒を仕込む。《華燭》はキレのあるクリアな味わい

       

      5年の歳月をかけ、低アルコールの発泡性日本酒をクラウドファンディングで世に送り出しました

      そこには、古くは結婚式を意味する「華燭(かしょく)の典」に由来する代表銘柄《華燭》を、かつてのように乾杯の席に届けたい、との想いがあったそう。

      「“地域の酒”としてブレることなく、世界に誇れる“SAKE”を醸すのが私たち若手の役目だと思っています」と佐々木さんは言います。

      瓶内で二次発酵《華燭 スパークリングメトード・リュラル》

      豊酒造

      福井県鯖江市下野田町38-70 
      ☎0778-62-1013 
      ホームページ

       

      南部酒造場(大野市)

      飲み手に寄り添い、未来を見据える酒造り。

      「大野の水は、滑らかでふくみのある酒になる」と拓也さん。料理とのペアリングも提案していく

       

      1901年、明治後期に日本酒醸造を開始した南部酒造場の5代目となる南部拓也さんは、農大卒後、宮
      城の有名蔵で修業し、2015年に入社。

      酒造りの要である「大野の米と水」に絶対の自信を持ち、醸造アルコールを添加しない“純米酒”を主
      軸に7人の少数精鋭で手造り。

      客の様々な嗜好に応えるべく、年間50種類以上の商品を出荷

       

      厳冬時に素手で蒸米、米麹、水を均一に混ぜる"生酛造り"の風景。今後は30年以上熟成させた古酒を展開予定

       

      また、「豊かな酸味と複雑な香りは、伝統製法でしか生まれない」と、“山廃”や“生酛(きもと)など手間のかかる技法も積極的に取り入れています

      「次期蔵元として、若手の杜氏や蔵人に技術をつなぎ、大野の酒造りを後世に伝えていきたいです」と南部さん。

      鑑評会用の特別仕込み《大吟醸 究極の花垣》

      南部酒造場

      福井県大野市元町6-10
      ☎0779-65-8900
      ホームページ



      いかがでしたか?

      今後の日本酒はもちろんのこと、福井の酒造の未来も楽しみになってきますね。

      秋深まると、日本酒がより美味しい季節になります。

      月を眺めながらゆったりとお酒を交わす時間を作ってみてもいいかもしれません。

      ※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

      ※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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