福井の郷土料理レシピ! カニ汁、ようかん、あぶらげ飯などふるさとの味をおうちで。

福井の郷土料理レシピ! カニ汁、ようかん、あぶらげ飯などふるさとの味をおうちで。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

福井には、地域で大切に受け継がれてきた季節の料理が多くあります。

今回は、その担い手のみなさんに、冬に食べたいあったかレシピを伺いました。

懐かしくておいしいふるさとの味を、おうちで作ってみませんか。

其の一.ごっつぉ

セイコガニを使った鍋や、ハレの日の汁物に行事のご飯。

冬のごっつぉ(ごちそう)で心も体も満たされましょう。

【河野】・せえげ

セイコガニのだしをたっぷり吸った大根おろしを、みそ仕立てで。

【材料】 (4人分)

・セイコガニ(ゆで)…3~4杯 ・大根…中1本 ・みそ…100g
※生のカニはアクが大量に出るので、ゆでたカニを使用。冷凍でも可

【作り方】

  1. 大根を皮ごとすりおろして鍋に入れる

2. セイコガニの甲羅を取ってカニみそを外し、甲羅と一緒に鍋に入れる。灰色のエラを除き、内子と外子、足の付け根部分を入れ、足は中央で折るかハサミで縦に切って入れる

3. 強火で煮ながら、アクを取る。アクが少なくなったら中火にして、味見しながらみそを入れる

煮詰まったところでご飯に乗せて食べるのが通の嗜み!

4. みそを入れて1~2分ほどで火を止めて完成

\教えてくれた人/
南清美さん
越前海岸沿いの糠(ぬか)地区にある「うみの宿 さへい」の女将。発酵食「へしこ」 の普及も行っている

越前海岸の冬の味覚を豪快に味わう。

南越前町の河野地区で「せえげ」と言われるセイコガニの鍋は、越前町では「せいげ」と呼ばれ岩のりを入れるなど、地域色豊かな料理。

昔、北前船の漁師がホタテの殻の上で作って食べた漁師飯ともいわれています。

「昔は七輪に鍋をかけて家族でつっついたそう。いっぱい食べられるよう大根おろしや白菜でカサを増したんやって」と南さん。

殻を口でしごきながら身を出し、濃厚な内子と旨味をぎゅっと吸った大根おろしを口いっぱいに頬張ってご飯を掻き込みます。

 

体中に染み渡るおいしさで、日本酒との相性も抜群。

磯の香りに包まれるとびきりのごちそうです。

 

【小浜】・なまぐさ汁

焼き鯖のだしを存分に味わう具沢山で少し甘めのおすまし。

鯖の身は大きめにほぐして食感を楽しもう

【材料】 (4人分)

・浜焼き鯖…1/2尾  ・焼き麩…8個  ・大根…80g  ・シイタケ…1枚  ・ニンジン…1/3本  ・木綿豆腐…1/4丁  ・だし昆布…名刺サイズ1枚  ・小ネギ…1.5本  ・水…800ml  ・千切りショウガ(皮付き)…3枚分

A ・砂糖…小さじ1.5 ・塩…小さじ1 ・醤油…小さじ2

【作り方】

  1. 水を鍋に入れ、昆布を入れて1時間ほど浸けておく

2. 焼き鯖の身を取り、頭・中骨・尾っぽを、昆布が入っている鍋に入れて火にかける。アクを取りながら10分ほど煮出し、アラと昆布を取り出す

3. ニンジンと大根は短冊、木綿豆腐はさいの目に、シイタケは薄く切る。麩は水でふやかす。焼き鯖の身は大きめにほぐし、小骨を取り除く

 

4. 鍋に大根、ニンジン、シイタケを入れて火にかける。火が通ったら、豆腐、焼き鯖、水気を絞った麩を加え、の調味料とショウガを入れてひと煮立ちさせる。火を止める直前に小口切りしたネギを加えて完成

\教えてくれた人/
出口芳さん
御食国若狭おばま食文化館で料理教室を担当する「グループマーメイド」代表。

鯖を丸ごと味わうハレの日の一品。

小浜市宮川地区の新保区に伝わる「なまぐさ汁」。

脂がのった鯖に竹串を刺して焼き上げた「浜焼き鯖」の身をほぐして具に、アラは昆布と合わせだしに、と余すところなく味わいます。

出口さんいわく「昔は精進明けや祝い事に食べるごちそうやった」とのこと。

甘めのすまし汁をすすり、たくさんの具をかみしめると鯖の旨味がじゅわっと溢れ出します。

おかずにもなる汁物は満足度も高く、体もぽかぽかに。

 

【今庄】・あぶらげめし

“あぶらげ”の旨味を吸った熱々ご飯に大根おろしとネギを乗せてさっぱりと。

大根おろしに醤油を垂らしても美味

【材料】 (5合分)

・米…5合 ・厚揚げ…1/2枚 ・醤油…50ml ・酒…75ml ・大根おろし…適量 ・ネギ…適量

【作り方】

  1. 厚揚げは半分の厚さにして、2~3cm角に切る

2.米を洗い、5合の目盛りまで水を入れ、醤油と酒を入れてひと混ぜし、厚揚げを入れて炊く

3.炊き上がったら器に盛って大根おろしとネギをかける

\教えてくれた人/
窪田春美さん
「土の駅 今庄」店主。伝承料理を次世代に伝える教室を主宰している

冬でも栄養たっぷり、先人の知恵が詰まった飯。

「あぶらげ」とは「あぶらあげ」のなまりで、南越前町を中心に嶺北の報恩講や尼講で食べられていたもの。

「『あぶらげめし』を出す家と『豆腐めし』を出す家があって、好みが分かれたね。昔はどの集落にも豆腐屋があって、大豆は貴重なタンパク源やったのよ」と窪田さん。

厚揚げのだしでこっくりしたご飯に、大根おろしが絶妙なバランス。

シンプルなのに味わい深く、何杯もおかわりしたくなります。

 

其の二.報恩講(ほうおんこう)料理

浄土真宗の開祖・親鸞(しんらん)聖人の祥月命日(旧暦11月28日・新暦1月16日)前後の法要「報恩講」で提供されます。

【全域】・おつぼ

報恩講の御膳に出される小豆と里芋を合わせた精進料理。

小豆の硬さや甘さはお好みで仕上げて

【材料】 (4人分)

・里芋…600g(中8個) ・小豆…200g ・砂糖…150~200g ・塩…小さじ1 ・水…適量

【作り方】

  1. 鍋に里芋とひたひたの水と塩を入れ、やわらかくなるまでゆでる
  2. 別の鍋に小豆を入れ、しっかりかぶるくらい水を入れる。沸騰したら火を止め、蓋をして20分蒸らし、湯を捨てる。さらにたっぷりの水を入れて中火で煮る。途中、アクが出たら取り、水が少なくなったら差し水をする
  3. 指で軽くつまんでつぶれるまでしっかり柔らかく煮たら、火を止めて蓋をして30分蒸らす

4. 水を小豆が浸かるひたひたの量になるよう調整し、とろ火にかける。3回に分けて砂糖を入れ、都度よくかき混ぜる。良くなじんだらひとつまみの塩を加えて混ぜる

5. 里芋を食べやすい大きさに切り、4をかける

\教えてくれた人/
木瀬孝子さん
坂井市三国のカフェ「アトリエ虹屋」オーナー。報恩講での食事「お斎(とき)」の調理も務める

コトコト煮た小豆と里芋がほっこり染みる。

親鸞聖人の大好物だったとされる小豆は、報恩講料理には欠かせない食材。

御膳に使う容器「おつぼ」の名がつけられた料理は、その定番です。

女性たちが集まり食事を作る中で自然と受け継がれ、木瀬さんも「母からレシピを受け継ぎました」と言います。

ほどよい塩気と甘さが穏やかに調和し、ねっとりした里芋とホクホクした小豆の食感も良い。

砂糖が貴重な時代の楽しみだったというのも頷けます。

 

【全域】・呉汁(ごじる)

滑らかにつぶした大豆をみそ汁と合わせた濃厚ポタージュ。

吹きこぼれないよう火加減に注意!

【材料】 (4人分)

・丸大豆…200g ・みそ…30g ・干しシイタケ…3枚 ・油揚げ…1/2枚 ・刻みネギ…適量 ・水…適量

【作り方】

  1. 大豆は洗って一昼夜水に浸ける
  2. 干しシイタケを水に浸けて戻し、だしをと る。シイタケと油揚げを細切りにする
  3. 水に浸けた大豆とひたひたの水を鍋に入れ、臭みがなくなり指で押してつぶれるまで柔らかくゆでる

4. 3の大豆に、2でとっただしを少しずつ加えながら、すり鉢でするかミキサーにかけ、なめらかなペースト状にする

5. 鍋に残りのだしと水を合わせて500ml入れ、シイタケと油揚げを加えてひと煮立ちさせる

6. 4を加えてみそを溶かす。大豆がふわふわしてきたら火を止め、椀によそい、ネギを散らす。好みで唐辛子をふる

\教えてくれた人/
木瀬孝子さん
坂井市三国のカフェ「アトリエ虹屋」オーナー。報恩講での食事「お斎(とき)」の調理も務める

シンプルで滋味に富む豊かな大豆の味わい。

大豆を一昼夜水に浸してすりつぶしたものを「呉」と呼び(諸説あり)、それをみそ汁に溶かしたものを「呉汁」といいます。

報恩講で集まった人に振るまわれる精進料理の一つです。

県内でもさまざまな作り方があり、「乾燥させて挽いた豆粉を使う地域もあって、母の時代には粉屋さんで挽いてもらったそう」と木瀬さん。

滋味深くて栄養価も高く、クリーミー。

腹持ちも良いので朝食にもおすすめ。

 

其の三.おやつ

昔から手作りで親しまれてきたおやつも地域色豊か。

おばあちゃんが作ってくれたような懐かしい味を、お茶の時間のお供に。

寒天を丁寧に溶かしきるのがコツ

【小浜】・でっちようかん

小浜の地域に根付く、こしあんを使ったつるんと素朴なようかん。

【材料】(15cm角程度のバット1個分)

・練りあん…250g ・角寒天(ハーフサイズ)…1本 ・水…350ml ・上白糖…40g

【作り方】

  1. 寒天は柔らかくなるまで水(分量外)に浸けておく
  2. 寒天の水気を絞り、細かくちぎって分量の水を加え中火にかける。木べらで混ぜながら2分間しっかり沸騰させて、完全に煮溶かす

3. 2にあんと砂糖を加え、混ぜながら1分ほど煮て火を止める

4. ボウルに水を張り3を鍋ごと冷やし、粗熱が取れるまでしばらく混ぜる

 

5. 水で濡らしたバットなどに4を手早く流し入れ、気泡を竹串などでつぶす。冷蔵庫で1時間ほど冷やし固める

\教えてくれた人/
仲野光惠さん
上記「なまぐさ汁」を教えてくれた出口さんと共に「グループマーメイド」で活動

家庭でも作られる小浜の冬の風物詩。

こしあんと上白糖で作られる、小浜の「でっちようかん」。

その名は丁稚奉公(でっちぼうこう)の土産に持たせた説や、煮詰めないことから「ようかんとしては半人前(でっち)」という意味を冠された説が。

「法事で親戚が集まったときや、家でおやつによう作るね」と言う仲野さん。

嶺北の水ようかんと違って黒糖を使わず、あっさりした甘さ。

また寒天の量を抑えているので、ほろほろとした食感が楽しめます。

 

【大野】・いもぼた

里芋をもち米の代わりにしたホクホク甘いぼたもち。

芋と米をよ~くつぶして

【いもぽた材料】(8個分)

・うるち米…1合 ・里芋…150g(中2個程度) ・砂糖…大さじ1/2 ・塩…ひとつまみ ・水…適量

【いもぼたの作り方】

  1. うるち米と1合炊飯の規定の水を炊飯器に入れる。里芋の皮をむいて、ひと口大に切り、砂糖とともに入れ、炊飯する

2. 炊き上がったらボウルに移し、塩を入れて麺棒でつぶす

3. 8等分にして丸め、あんこで包む

【あんこ材料】(8個分)

・小豆…200g ・砂糖…180g ・塩…ひとつまみ ・水…適量

【小豆あんの作り方】

  1. 鍋に小豆を入れ、小豆が浸かるくらいの水を入れて炊く。沸騰したら2.5カップの水で差し水をする。再び沸騰したら同量の水を入れ、沸騰したところで湯を捨て、4カップの水を入れて火にかける
  2. 沸騰したら弱火にし、蓋を少しずらして1時間程度ゆでる。まだ硬い部分があれば差し水をしてゆでる

3. 指でつぶせるぐらいになったら半量の砂糖を入れて木べらでやさしく混ぜる。汁気が減ったら残りの砂糖と塩を入れて炊き上げ、好みの度合いに小豆をつぶす

\教えてくれた人/
nishoku(三嶋香代子さん 村上洋子さん)
大野市で活動するフードユニット。月刊fu及びふーぽにておべんとうレシピ連載中

奥越の実りを祝い、神様にお供えした味。

その昔、奥越地方では10月下旬の秋の収穫が済む刈り納めを「神送りの日」、また11月30日を「神迎えの日」として神さまに「いもぼた」を供えていました。

「nishoku」の2人は「子孫繁栄に縁起の良い里芋を、ハレの日の料理に使ったんですね」と話します。

里芋の粘りをもち米代わりにして作るぼたもちは、冷めても柔らかく美味。

食感も歯切れが良いので、子どもやお年寄りも安心して食べられそう。

 

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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