【ふくいデザイン探訪Vol.10・株式会社ボストンクラブ】「めがねのまち」に根ざして、ブランドを育み、世界へ発信。

【ふくいデザイン探訪Vol.10・株式会社ボストンクラブ】「めがねのまち」に根ざして、ブランドを育み、世界へ発信。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

デザインセンターふくい(公益財団法人ふくい産業支援センター デザイン振興部)が展開している「DESIGN CONNECT」事業。

今年11月25日からの約1カ月間、県内企業のデザイン活用事例等を紹介する「デザインコネクト展」を、福井ものづくりキャンパスで開催予定です!


展示会に先立ち、ふーぽ上では「ふくいデザイン探訪」と題して、デザインの観点を取り入れ、企業ブランディングや商品・サービスの開発を行った、県内企業の先進事例を、全10回にわたり紹介していきたいと思います。

 

今回は、デザインを活用した企業ブランディングに取り組む、株式会社ボストンクラブをご紹介します。


デザインの活用によって成長が期待される製造業・農林水産業・飲食業・サービス業等、様々な企業やクリエーターに向け、デザイン導入事例や先進事例を紹介する「オンライン講座」や「デザイン展」を開催。

新しい時代を切り拓く、人の心を魅きつける商品やサービスはどのようなものか、どのように生み出されるのか、県内外で活躍するクリエーターや県内企業とともに考え、そこからはじまる新たなアクションを応援します。

【⇒過去のデザインコネクト関連記事はこちらから】

 

◆ オリジナルアイウェアブランドの先駆け

ボストンクラブは1984年に創業。


当初はOEMなどによる眼鏡フレームの生産、販売を手掛けていましたが、国内でも眼鏡がファッションの一部として重視されるようになってきたことを敏感に察知し、1996年にオリジナルブランド「JAPONISM(ジャポニスム)を立ち上げました


現在は、「BCPC(ベセペセ)」「BOSTON CLUB(ボストンクラブ)」と合わせて3つのオリジナルブランドを展開しています。


JAPONISMはライセンスブランドやOEM生産が全盛だった鯖江産地にあって、自社ブランド展開の先駆けとなりました。

 

「『メイドインジャパンのメガネを世界にアピールする』という理念の下、ファッション性の高さに加え、鯖江の技術に裏打ちされた機能性の高さも併せ持つ商品を打ち出してきました」と、社長の小松原一身さんは語ります。


 

◆ 東京、鯖江に直営店を展開

オリジナルブランドは全国の小売店との関係を独自に築き、地道に開拓して販路を広げてきました。


さらに、2002年には東京・南青山に直営の販売店「GLOSS」をオープンしました(現在は銀座店に統合)。

これも鯖江産地では先駆的な取り組みでした。

 

GLOSS GINZA外観

 

「眼鏡は従来、展示会での小売店との商談や卸を通じたBtoBの流通が当たり前でしたが、BtoCでエンドユーザーと直にコミュニケーションできる店舗を持つことで、お客さまの商品に対する反応が直接分かるようになりました」。

加えて、「東京でのショールーム的な機能も果たし、スタイリストを通じて自社の眼鏡を有名タレントらに使用してもらって発信することもできた」とのこと。


メディアを通じた発信もあって、ユーザーのブランド認知が高まり、ブランド力の向上にも結びつきました。

 

2017年には鯖江市三六町の本社に隣接するビルをリノベーションして直営店やミュージアム、ラボなどが入る「ボストンクラブビル」をオープンし、商品だけでなく、鯖江に根ざしたものづくりも発信しています。

 

 

◆ 鯖江メイドの本物を、ブランドに育てる

JAPONISMを立ち上げる時に意識したのは、紳士服や靴などの分野で確固たる地位を築いている「ファクトリーブランド」を目指すこと。

「鯖江で長年にわたって培われてきた技術で作られた眼鏡だけが持ちうる、本物の価値を大切に、じっくりと時間をかけて自社ブランドを育ててきました」。

 

その価値の背景にあるのが、鯖江に根ざしたものづくり。

数多くの職人の手による確かな品質の上に、日本的な美意識を反映し、高い機能性を備えた商品を発表し続けてきました。

 

ボストンクラブビル2Fのミュージアムに展示される歴代の名作モデル

 

◆ ものづくりの伝統を受け継いで、伝える

さらに鯖江のものづくりは、眼鏡以外にも懐が深いのです。

鯖江市のある福井県丹南エリアには半径10kmの範囲に、漆器や和紙、陶芸など多くの伝統工芸や伝統産業が集積しています。


東京の直営店では、内装にこうした和紙や漆器などの伝統工芸品を用いて、眼鏡の背景にある福井・鯖江の歴史や文化も伝えています


「直営店舗は会社やブランドの世界観を体現する存在。

眼鏡に込めたコンセプトを伝えるだけでなく、鯖江の企業としての世界観を訴えていくことで、都市のユーザーが納得し、愛着を持って眼鏡を使ってもらえるような価値を伝えてきました」。

 

◆ 眼鏡の聖地・鯖江を訪れる意味とは

眼鏡愛好家にとって、鯖江は「聖地」。わざわざ産地を訪ねてくる人も珍しくなくなりました。

さらに近年は、全国的に広がるファクトリーツーリズム(産業観光)への関心の高まりと、北陸新幹線の県内延伸という追い風もあります。


こうした時代を視野に入れてオープンしたのが、ボストンクラブビルです。

 


ショップではフルラインナップの自社製品を手に取って確かめ、購入できるだけでなく、ミュージアムで過去の名作モデルを振り返ることもでき、新製品の開発などをするラボも併設されています(ラボの見学は予約制です)。

 


道路と反対側のドアを開ければ、そこには三六公園があります。

桜など季節の花や、木々の紅葉が楽しめ、冬には雪景色も。100年以上にわたって眼鏡のまちとして発展してきた、鯖江の風土も感じられる場所です。

 

「『めがねのまちから、世界の顔へ。』を企業理念の柱にしているんですが、日本全国へ、世界に出て行くために、このビルが基地になります」

さらに、「デザインセンターふくいさんのセミナーに参加したり、色々情報交換をしています。

若手で面白い人はいないか等、問い合わせているんですよ」と、若いクリエイターにチャンスを与え、活躍の場をつくることにも積極的。

 

近年もボストンクラブビルや店舗づくり、新しいロゴなどのグラフィックデザインにと、どんどん若手を登用しています。

 

「眼鏡を見て、買うために訪れた鯖江で、そのものづくりの背景にある歴史と技術、地域に暮らす人たちや、自然風土も感じてもらうことで、地域の魅力を高め、発信していくことを目指しています」。

株式会社ボストンクラブ

鯖江市三六町1-4-31-2
☎0778-52-9337

公式ウェブサイトはこちら

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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