今回いただいたお題は「和歌山だけなんです」ということで、和歌山県北山村をご紹介。
県きっての秘境に潜入します。
村の位置は紀伊半島のほぼ真ん中で、世界遺産に登録されている熊野本宮大社がある田辺市本宮の近く。
90%以上を山林が占め、東から西までおよそ20kmという、豊かな自然にもほどがある、コンパクトな山村です。

ではどこがオンリーワンなのかというと、和歌山県に属しているのに、囲まれているのは奈良県と三重県。全国で唯一の「飛び地」の村なんです。

そのルーツについて北山村ホームページを参考に説明します。
昔から林業で栄えていた北山村では、伐採された木材を北山川を利用した「筏流し」で、集積地の新宮まで輸送していました。
明治4年に廃藩置県が実施された際、村民たちは新宮が和歌山県に編入されたことを知ります。
地理的に北山村は奈良県に属することになっていたのですが、林業を通して新宮との繋がりがとても深かったこともあり、「新宮が和歌山県に入ったのなら、私たちの村も!」という村民たちの意見が了承され、和歌山県に属したというのが理由だそうです。
和歌山県側から村に向かって車を走らせると、
一瞬だけ奈良県十津川村を通過して、再び和歌山県に進入するという
不思議な現象に出くわします。

「北山村観光センター」では、飛び地の村訪問証明書をゲットできます
特産品は北山村が発祥の地である柑橘の「じゃばら」。
幻の果実とも呼ばれており、「邪を払うほど酸っぱい」ことからその名がつけられ、例年11月頃から収穫されます。

写真提供:北山村
柑橘らしい爽やかな香りをまとっていますが、果実をうっかりそのまま口にすると、とても酸っぱくて、全身がビビります。
果汁の苦味はあれですが、加工品になるとそのポテンシャルをいかんなく発揮。
ジュースや飴ちゃん、クッキー、調味料、サプリメントなどなど、多彩な商品が開発、販売されています。
近年は花粉症などのアレルギー症状の緩和に有効だという研究も進められているそうです。
個人的には、苦味と酸味がいい塩梅に同居する「じゃばらポン酢」がオススメ。
鍋との相性も抜群ですよ!

訪れた時に購入したお土産たち。じゃばらジュース、じゃばら柿の種、丸太を模した筏せんべい
もうひとつの名物が「観光筏下り」。
かつて木材運搬に利用された「筏流し」を体験できる観光の目玉で、観光用の丸太の筏に乗って急流を勢いよく下るアクティビティです。
安全面も十分に配慮されていて、2025年には利用者1万人を達成するほど観光客が体験に訪れています。
私、実はチャレンジしたことなく…薄い解説ですまん…。

写真提供:北山村

操縦する筏師の櫂さばきと北山川の美しい渓谷が楽しめます。写真提供:北山村
20年ほど前に村内の民宿に泊まったことがあるのですが、夜になると、文字通り満天の星空が美しく迫ってくるほど、村内が真っ暗闇に包まれていたのを覚えています(ディスっているわけではありません)。
実はこの前、6年ぶりに現地に行って来ました。
個人的にハマっている北山村観光協会のX(旧Twitter)の中の人にお会いするのが目的でした。

ちょい前から投稿を追いかけているのだけど、飛び地関係のネタや村民人口、遠すぎるアクセス問題などをセンス良くいじりつつ、じゃばらの収穫の様子など、裏側もしっかり発信していて目が離せません。
うろ覚えだけど、心をわしづかみされた投稿がありました。
何かで公開されていた紀伊半島の地図上で「北山村だけ土地の色に塗られておらず、琵琶湖と同じ扱いだった」というつぶやきは、そこはかとない無念さを通り過ぎ、笑いへと昇華していて秀逸すぎたぞ。
そして今ではフォロワー数がなんと村民人口の約20倍を誇っているのです!(2025年12月18日現在) あえて人口数は明らかにしませんが。
このエッセイで北山村を初めて知ったという皆さん!まずはXをご覧いただき(賄賂とかもらってないですよ)訪れるだけで妙な達成感がある、全国唯一の飛び地の村を少しでも知ってくれたらうれしいです。