300年の時を醸す小浜生まれの酢を守り続ける。とば屋酢店の中野 貴之さん【嶺南こんにちは通信】

300年の時を醸す小浜生まれの酢を守り続ける。とば屋酢店の中野 貴之さん【嶺南こんにちは通信】

嶺南在住クリエイターがいま会ってほしいローカルピープル情報をお届けする【嶺南こんにちは通信】。

今回は、とば屋酢店の中野 貴之さんです。

お気に入りの嶺南スポットも教えていただきました。

300年の時を醸す 小浜生まれの酢を守り続ける。

酢壺の看板が目印。酢造りの現場を見学可能(要予約)

小浜市東市場の国道27号沿いに、1710年創業の「とば屋酢店」は佇む。

蔵に敷かれたむしろをめくると、床下にもみ殻に埋まった壺が顔をのぞかせる。

北前船の寄港地として栄えた江戸時代から、代々受け継がれた伝統の酢造りだ。

厳選した県産米と麹を手間ひまかけて仕込み、壺の中で3カ月以上かけて自然に発酵、熟成させるのが老舗の流儀。

風味の決め手となる酸味と香りは、前回の酢を種として加え、蔵と壺に生き続ける酢酸菌を生かすことで生まれる。

13代目の中野貴之さんは「うちの酢には300年前の酢が数滴含まれているかもしれませんよ」と穏やかにほほ笑む。

細心の注意を払い、表面に張る白い膜の観察を欠かさない。

「菌は顕微鏡でしか見えないけれど、生命力を感じます。一筋に守ってきたものを後世に残すのが私の役目です」

幼い頃から家業を間近に見て育った中野さん。

「いつか後を継ぐ」という思いを抱き、東京の大学と大学院で酢酸菌などの研究を通して専門知識を深めた。

卒業後はコンサルティング会社で経営視点を培い、30歳でUターン。

以来20年間、昔ながらの製法を大切にしてきた。

 

御食国(みけつくに)として知られる若狭小浜の食文化を代表する「小鯛ささ漬」や「鯖寿司」にも同店の酢が使われている。

特産品を長年支えてきた実績こそ、確かな品質の証だ。

「『とば屋じゃないと』と、リピートしてくださるご家庭や飲食店、取引先からの言葉が何よりの喜びです」。

今ではネットショップをはじめ国内外に販路を広げ、ファンを増やしている。

健康効果が注目される酢酸菌を含む新商品、無ろ過の純米酢「にごり酢」。調味料として料理のアクセントに

先代が掲げた理念の一つは、「酢造りを通して食卓を潤し、健康を増進すること」。

食酢の消費が減りつつある現代でも、〝お酢活〟を応援するための新商品を積極的に開発している。

看板商品「壺之酢」を使ったツンとこないまろやかな飲む酢「お酢蜜」は、その代表格。

最近は、食卓に気軽に取り入れられる調味料づくりにも挑戦している。

小浜の気候風土や恵まれた地下水、積み重ねた経験、そして研究者のような情熱。

そのすべてが絡み合い、蔵に住み着いた菌とともに、これからも脈々と息づいていく。

とば屋酢店

福井県小浜市東市場34-6-2
☎0770-56-1514
【営】8:30~18:00
【休】日祝
ホームページ

 

私のおすすめ“嶺南”スポット

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中野さん
毎年9月に開かれ、300年以上続く八幡神社の例大祭。山車や大太鼓、神楽、獅子、神輿が町を練り歩き、祭りを彩ります。当店は代々参加しており、今年も2年に一度の出番だった酒井区の山車「布袋山」とともに盛り上げました。ぜひ来年、見にきてほしいです。

【嶺南こんにちは通信】
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