「信頼できる情報を選んで。」リサーチコンサルタント・光成章さん【ふーぽコラム】

    「信頼できる情報を選んで。」リサーチコンサルタント・光成章さん【ふーぽコラム】

    福井にゆかりがあったりなかったりする、いろいろな書き手がよしなしごとを書き綴る「ふーぽコラム」のコーナー。

     

    今回は、福井市出身のリサーチコンサルタント・光成章(みつなりあきら)さんです。

    ※月刊fuにて2020年5月号~7月号にかけて掲載された記事です。


      リサーチコンサルタント

      光成 章(みつなりあきら)
      1964年福井市生まれ。
      大手シンクタンクや広告会社を経て、リーバイスとシャネルでリサーチなど担当。
      2018年にジャートム株式会社設立

       

       

      信頼できる情報を選んで。

      人生百年としても既に半分は過ぎました。

      生まれてから高校を卒業するまで暮らした福井に、離れていた「空白の36年間」に見聞きしたことを活かして何か恩返しがしたい。

      そう考え、2年前から行き来を繰り返しています。

       

      この原稿を書いている今、新型コロナウイルスの感染は世界中に蔓延し、人々の生活に深刻な影響を与えています。

      テレビ番組は様々な決定に対して根拠を問うたり補足解説をしたりと大忙し。

      その中で、根拠をエビデンスと呼ぶのを耳にすることが増えてきました。
       

      2019年、ビジネス書エビデンス仕事術を上梓しました。

      そのせいで私はこの単語に敏感です。

      本にはマーケティングリサーチの仕事を続けてきた中で経験したことを書きました。

      資料を上手に活用し説明すると、納得した周りの人から協力を受けられることが多くなります。

      仲間をつくるには色々と方法がありますが、信頼できる情報を活用するのもその一つでしょう。

      沢山の人に、有効な情報の収集・活用に慣れてもらいたいと考えたのはそのためです。

      2019年6月に初の著書「エビデンス仕事術」(SBクリエイティブ)を出版。アンケートやインタビューなど情報収集と整理の方法、プレゼン技術など、情報をビジネスの意思決定に役立てるための実践的な方法や思考法を紹介している

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      わざわざ「信頼できる」と強調するのは、世の中にはフェイクニュースやデマなど怪しい情報が出回っているためです。

      ソーシャルメディアの普及で、私たち一般人も広範囲に向けた情報発信を手軽に行えるようになりました。

      引き換えに、誤情報を意図的に流すことはもちろん、誤解を与える表現の使用や無責任な情報転送は慎重に避けなければならなくなりました。

       

      トイレットペーパーが無くなるとの誤情報は、「そんなはずはない」とわかっている人をも店頭に走らせました。

      ネット上の情報に騙されたわけではありません。

      しかし、お店の棚が空という確かな事実を自分の目で確認すれば、心配になり他のお店を探し回りたくもなります。

      運良く在庫が見つかれば、探すのに苦労したことも相まって、ついつい予備にもう一つ買ってしまう。

      波が起こり、大きくうねり始めると、なかなか正常には戻せません。

       

      信頼・信用が絶対条件となるのはブランドも同じ。

      ブランド企業は「暖簾」を大切にし、「暖簾に恥じない」行動を取ります。

      私は、仕事を通じて、これまで数々のブランド企業の活動に、外から内から関わってきました。

       

      次は、ブランドはどのように「ブレない」「裏切らない」を実現しているかについて紹介します。

       

       

      ブランドには哲学が必要。

      福井にも甚大な影響を与えた新型コロナウィルスの猛威はまだまだ予断を許さない状況です。

      このような時こそ、信念に基づく行動が求められるのかも知れません。

      今回は、予告通り、ブランドはどのように「ブレない」「裏切らない」を実現しているかについて紹介します。

      私が管理人を務める「すごい福井人になる! ゼミ」が2020年3月に開催した「アイデア創出オンラインワークショップ」でも触れました。

      すごい福井人になる! ゼミ

       

      アイデア豊富なガブリエル・シャネルがファッション界に数々のイノベーションを残した背景には、彼女の強い「おもい」があります。

      起業家の多くは、社会の課題を見つめ、その課題を解決するために創業します。

       

      シャネルさんは今から百十年以上前、当時様々な不自由に縛られていた女性たちを、そこから解き放ちたいと考えました。

      その象徴的エピソードが、ドレスの下のコルセットを取り除いたことです。

      素敵なパーティドレスを身に纏っていても、その下にお腹をぎゅうぎゅうに締め付けるコルセットをはめていては、気持ちが悪くて食事どころではなかったのです。

      その後、手で直接持つほかなかったハンドバッグにチェーンをつけ、ショルダーバッグを生み出します。

      これで、片手に日傘を持っていても、もう片方の手が自由になりました。

      口紅を、持ち運びできるようリップスティック型にしたのも彼女です。

      家以外でのお化粧直しが可能になり、口紅の落ちを気にせず外食できるようになりました。

      かつ、そのリップスティックをわざわざ両手を使わずとも簡単に取り出して仕舞えるよう、彼女はシャネルバッグの外側に専用のポケットを付けました。

       

      このように、シャネルを代表する数々のアイテムの誕生にはそれぞれ合理的な理由があります。

      いずれも、女性たちを煩わしさから「解放」するという目的に叶うもので、その点で首尾一貫しています。

      シャネルがブランドと認められるのは、創業者のおもいを外れたものがないこと、かつ、皆の期待を上回り驚かせるやり方で、目的実現を形にしてきたからこそでしょう。

       

      エビデンス(根拠となるデータ)を集め、それに基づくだけでは物事はうまく運びません。

      シャネルさんのように哲学が必要です。

      また、ブランドは地域性も大切にします。

       

      最後に、福井とブランドについて私見を述べたいと思います。

       

       

      ブランドと土地の関係とは。

      ブランドと地域性で思い出すのは、90年代初頭、私があるドイツ車ブランドのために実施した原産地イメージ調査です。

      その企業は南アフリカ共和国にも既に工場があり、その南ア工場産の車を日本への輸出にまわせるかという問いに答えが必要でした。

      企業が、利益追求のため労働力がより安価な地に工場を持つのは当然です。

      しかし、「ドイツ以外で生産されたドイツ車には魅力がない」という人ばかりで多くの消費者が納得しなければ、多少価格が安いくらいではその車は売れません。

       

      一方、作るのに熟練の技を必要とする製品については、生産地を簡単に外に移すことはできません。

      技だけでなく、その土地の水やその土地で獲れたものが材料に必要となれば尚更です。

      地場産業はそのように生まれていくのだと思います。

      時間とともに、関連の会社が同地に集まってくるようになると益々その土地とその産業の結び付きが強くなり、商売が更にやりやすくなります。

       

      フランスの主要産業は軍需と農業と観光、それとラグジュアリーだという人がいます。

      それほどラグジュアリー産業とフランスにはイメージの強い結び付きがあります。

      生産面、流通面、偽物に対する厳格な規制という面でも一歩進んでいるため、ラグジュアリー業界に打って出るならフランスで始めるのがいいかもしれません。

      歴史や伝統無しに急にブランドはつくれないと思うかもしれませんが、だからこそ、その土地のイメージと、そこに実用的に備わった制度の力を借りるのです。

      そう考えた時、福井で始めると有利なビジネスにはどんなものがあるでしょうか。

       

      新型コロナ騒動の中で対照的な状況を目の当たりにしました。

      トイレットペーパーとマスクです。

       

      元々国産で、今後の需要増も見込めないトイレットペーパーは欠品後も値上がりがなかったのに対し、マスクは違いました。

      生産を担っていた中国での工場閉鎖と世界中での需要増から日本への輸出分が欠品。

      僅かな供給分を高値で引き取らざるを得ませんでした。


      開業するのに良い条件が揃っているコト。

      「新しい様式の生活」を送る上で今後、より必要になるモノやコト。

      「新」福井ブランド候補を考えるなら、これらのコトから想像を膨らませたいですね。

       

       

      ※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

      ※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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