以前、我が家の元保護犬・福に尿路結石が見つかったことを書いた。
ストルバイトかシュウ酸カルシウムか、はっきりとはわからないという。
あれから半年。
ひと月ごとに検査を繰り返してきたのだが、状況は変わらなかった。
詳しい友人たちからは「別の獣医さんでセカンドオピニオンを聞いたほうが絶対にいいよ」と何度も言われていた。
* * *
尿に血が混じる以外はいたって元気。
食欲も旺盛。
なのだが、少し寝ている時間が長かったり、ときどきおやつに見向きもしない時があると、「調子悪いのかな? 痛いのかな?」と、気になってしまう。
出張が重なるとなおのこと。
僕が留守にするだけで福にはストレスになるから、仕事もどうしてもセーブしてしまうのだった。
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かかりつけの先生は「手術すれば石は取れます。ただ、体質的にまた溜まる可能性もあります。どうしますか?」と、こちらに判断を委ねるタイプ。
いや、いい先生なんですよ。
でも福は10歳。
もう若くはない。
もんもんとした挙句、とうとう別の病院へ意見を聞きに行った。
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そこの先生は開口一番、「10歳なんてまだまだ元気。手術してしまったほうがいい」とスパッと断言した。
やっぱりそうかあ、と僕もようやく腹を括ったのだった。
「じゃあ、検査してきますね」
福を連れて先生がレントゲン室へ行き、待つこと20分。
診察室に呼ばれると、先生が不思議そうに「石、ないよ」と言う。
え? ほんとに??
血液検査も良好。
異常値だった尿のpHも正常値になっていた。
* * *
半年間ずっと僕(いや、福か?)を悩ませていた石がきれいさっぱりなくなっていた。
その瞬間、僕の心の中に、それこそ結石みたいに詰まっていたものまで、すっと溶けていった気がした。
「よかったねえ!! えらかったね!」
思わず、はしゃぐ飼い主の意味がわからず、福は困った顔でこちらを見ていた。
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じつはこの頃、身のまわりでは洗濯機が突然水漏れし、掃除機も自動ゴミ箱もキッチンスケールも壊れた。
大切な器も割れた。
一方で、仕事やプライベートで長く思い悩んでいたいくつかのことが、ゆっくりと動き始めた。
随分長引いていた自宅の改装も、ようやく終わりが見えてきた。
そして福の石までなくなった。
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古いものが壊れたり、なくなった代わりに、止まっていたものが動き出し、あちこちで詰まっていたものが、いっせいに流れ始めたのかな。
* * *
何カ月経っても結果が出なかった地味な食事療法。
正直、僕も半ば諦めていたけれど、それでも続けていたら、ある日、あれだけ心配していた石がなくなっていた。
小さな、小さな蓄積が、気がつけば大きな結果となった。
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よし、これで準備万端。
そろそろ福とキャンプに出かけようかな。
ホクホクしながら病院を後にしたのだった。