先日、タレントの千秋ちゃんを含めた友達男女4人で焼肉を食べた。
そのとき、ふいに「この4人でラジオやろうよ」と千秋ちゃんが言い出した。
千秋ちゃん以外は一般人だが、普通の人となんでもない普通の会話を番組にしたいのだと。
プロである彼女は話に「オチ」をつけるのはお手のものだが、それをしないのが今回のテーマ。
今の時代、プロの「芸」ではなくリアルが求められている。
たまたまカフェの隣席の会話を耳にするような感じをそのまま番組にしたいという。
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たしかに、Z世代に人気を誇るSNS「BeReal(ビーリアル)」もそうだ。
知らない人のために説明すると、1日1回ランダムに通知が来て、2分以内に撮影して投稿する。
スマホのインとアウトのカメラが同時に作動し、加工フィルターもないため、「映え」や「盛る」こともなく、ありのままの姿を見せられる。
「ありのまま」が価値になる時代なのだ。
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そんなわけでYouTubeで「千秋のおとなラジオ」という番組を配信することになったのだがこれがなかなか楽しい。
毎回お菓子を食べながら、4人のうちの誰かの悩みやテーマについてみんなであーでもない、こーでもないとだらだらと語るだけなのだが、たとえ友人といえども、まじめに一つのテーマについてじっくり話すことってあまりないのだなと改めて思った。
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さて、こうして友人たちとラジオ番組を作っている僕がみんなに尋ねたお題は「おとなの友人関係」。
僕はあまり友達が多い方じゃない、というか少ない。
仕事を介した知り合いは多いけど、純粋な友達はいない。
会社を辞めたらそれが際立った。
毎日会う人がいなくなり、あたりまえだけど、そうした人たちが「友達」ではなかったことに気づいた。
今はこちらから意識的に機会を作らなければ誰とも会わない日々。
そして「友達」と呼べる人たちをどうやって作るのかもわからないし、果たして作るべきなのかもわからない。
齢(よわい)50を過ぎて、人生経験を積んだとて、心の根本にある部分は、ティーンの頃と変わらないのだ。
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そんな話に仲間たちが出した答えは「新しいコミュニティに自分から飛び込む」だった。
クラブの音楽イベントでもオンラインサークルでもいい、まったく自分の仕事とは関係のないところに参加してみると、新しい喜びと友人が同時に手に入るらしい。
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確かにそんな気持ちで新しい場所に足を踏み入れたことなんてないなあ。
意図しなければ目的は果たせないのだ。
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なるほど…とは思うものの、どうにも人見知りな僕はつい躊躇してしまう。
そして今日も家の中で、もの言わぬ毛むくじゃらの親友たちと、ありのままの自分で、静かに過ごしている。