【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第16話:深夜のコーヒーと、マインドフルネス。

【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第16話:深夜のコーヒーと、マインドフルネス。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中のエッセー《犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。》

福井県出身の編集者、小林孝延さんが、犬1、猫4との暮らしを、のんびりと綴っています。

フリーランスライフを謳歌する小林さんが立ち止まり、”今”と”心の向く先”について考える第16回です。

小林孝延
こばやし・たかのぶ

編集者・著者。福井県出身。扶桑社発行の雑誌「天然生活」「ESSE」元編集長。石田ゆり子著「ハニオ日記」(扶桑社)、「保護犬と暮らすということ」(扶桑社)などを編集。犬1、猫4と暮らす。釣り好き。新著「妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした」(風鳴舎)が好評発売中。公式Instagram

第16話:深夜のコーヒーと、マインドフルネス。

出版社を辞めて2カ月が過ぎた。

毎日の出社も苦手だった毎週の会議もなくなって曜日の感覚が薄らいでくると、自分にとって時間や曜日という概念がなにで支配されていたのかがあきらかになってきた。

支配から解放された今、深夜に急に思い立って自分のために美味しいコーヒーを淹れて映画を一本観ようとか、相模湾ででっかいヒラメが釣れていると聞いて、すぐに釣り場にむかうとか。

僕の長所でもありながら短所でもある頻繁に起こる衝動的な欲望に対して、誰に遠慮することもなくそれを受け入れ、思うままの日々を過ごせる喜びはなにものにも代え難い。

 * * * 

でも、いっぽうで、今日しか取れない休日の貴重な時間を隅々まで噛み締めるように過ごしていた時に比べて、心が感じる喜びの強度みたいなものが薄らいでしまったようにも思える。

いまから7年前、余命宣告を受けた妻と多感な年頃の子供達と過ごしながら、未来の不安と過去への後悔にばかり意識がむいてしまう僕の心を「今」にフォーカスしてくれたのは保護犬の福だった。

福と過ごしていると、動物たちには「今」しかないということがよくわかる。

それは人間にとっても同じはず。

なのに今よりも過去と未来へ思いが向かう。

福はどんよりと雨雲がかかったようだった僕の心を今このときを全力で味わおう! という意識に変えてくれた。

 * * * 

さて、そんな僕に友人が簡単な瞑想=マインドフルネスを勧めてくれた。

毎朝10分でいいから姿勢を正して座り目を閉じゆっくりと意識して呼吸する。

たったこれだけで心の整理ができるらしい。

しかし集中しようにも、すぐに「あ、あれはどうなったっけ? これもしなきゃいけない」とむくむくと自分の意識がちぎれた雲のようにどんどん湧き出してしまう。

こりゃあ重症だ・・と思ったけれど、それはそれでいいらしい。

今、自分の心がどこに向いているのかを少し離れた意識の場所から見渡すことが大切なのだ。

 * * * 

心の奥をのぞいてみると、思いもよらなかったことが実は手のひらに刺さった小さな棘(とげ)のように自分の心を傷つけていたことに気づく。

箱にしまった捨てられない思い出の片付け、まだ保護できてもいない野良猫の里親探し、ついに年齢的にもシニア犬になった福の未来への漠然とした不安・・。

 * * * 

でもこれを繰り返していくことで、心が整理され鍛えられていくらしい。

まだまだ始めたばかりだが習慣にしていけたらと思っている。

でもね、瞑想中、増えすぎた猫たちがわらわら近寄ってきてにゃあにゃあ鳴くし、なかなか集中させてくれないのだよね。

困った。

で、思い切って捨てようと玄関先に運んだ箱。なぜか気がつけば猫たちの居場所に・・

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writer : ふーぽ編集部

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