発酵デザイナー小倉ヒラクの《ほくりく発酵ツーリズム》-第6回- 北陸はおすしの首都(中)

発酵デザイナー小倉ヒラクの《ほくりく発酵ツーリズム》-第6回- 北陸はおすしの首都(中)

ふーぽ読者のみなさん、こんにちは。
発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中の《ほくりく発酵ツーリズム》を、ふーぽでもお届けしていきます。

福井県をはじめ、石川・富山を含めた“北陸”の発酵文化を紹介します。

発酵から北陸の歴史や気候風土を読み解いていきましょう!

 

発酵デザイナー 小倉ヒラク

1983年東京都生まれ、山梨県在住。文化人類学と発酵学を独自に融合させた「発酵文化人類学」を展開し、「発酵デザイナー」の肩書で微生物研究や食文化の普及に取り組む。著書『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』。金津創作の森美術館(福井県あわら市)で北陸の発酵食文化を紐解く展覧会「Fermentation Tourism Hokuriku ~発酵から辿る北陸、海の道」2022年9月17日(土)~12月4日(日)を開催予定。

展覧会詳細は金津創作の森美術館HPまで。

 

しおからとつけもの

前回のおすしの起源についての話に引き続き、今回は北陸の郷土料理を取り上げながら、日本におけるおすし文化の発展を見ていきましょう。

古代東アジアでは、魚介を使った発酵食品はすし(しおから) すし(つけもの)の2つのルーツから出発します。


は小型の魚まるごと、あるいは魚介の内臓などを大量の塩に漬け込んで酵素作用でドロドロに溶かしたもの。

文字通り「塩で辛くしたもの」です。

北陸でいえば能登の「いしる」がその末裔です。

カタクチイワシ(小型の魚)、イカゴロ(魚介の内臓)など、魚の発酵の原点が見えるようなラインナップでたいへん興味深い。


は比較的大型の魚の内臓や頭を取り、飯米で漬け込みます。

主に乳酸発酵の作用で保存作用をつけるので、鮨(塩辛)よりも塩分が低く、酸味が引き立ちます。

姿がとけてドロドロになる塩辛と違い、身のかたちが残っているので「つけもの」です。

この原型がよく保存されているのが福井の「サバのなれずし」です。


現在一般的に使われるおすしの当て字は「鮨(しおから)」でいっけん不思議な感じがしますよね。

しおからは主に海水域つけものは主に淡水域の原料でつくられるものが多かったので、海の幸をネタにすることが多く、漬け込みのプロセスを省略した現代の江戸前ずしは「鮨」の当て字を使うことになったのでは…と僕は考えています。

ベトナムのニョクマム(魚醤)工場

 

ユニークなサバのなれずし

元々東南アジア山間地の淡水域で生まれた鮓(つけもの)は、日本でもフナやアユなど、主に川魚を漬け込むなれずしとして発展していきました。

そのなかにあってサバのなれずしは海魚を漬け込むのでちょっとユニーク。

おそらく小浜周辺が山と海の際に挟まれ、冬季の長い閉鎖系の環境だったことが結果的に山間部の集落のような保存食のニーズが生まれたのでは?

大陸では離島を除いて海沿いの地域は比較的開けているので、日本独自の地形が生んだ海のなれずしだと言えそうです。

 

さて。北陸には“鮨”と“鮓”の中間にある不思議なレシピが存在します。

“へしこ”(糠漬)ですね。

米の本体ではなく糠の部分を塩と合わせて魚介を漬け込みます。

米が豊富に取れて、かつ塩の入手が容易、しかもロングスパンの保存技術が必要という、北陸ならではのニーズが生んだおすしの変形種

大陸では海沿いの地域は温暖で長期保存のニーズは少ないので、へしこのような文化は生まれにくいのですね。



と今回はこのへんで。

次回「北陸はおすしの首都(下)」に続きます。

日本におけるおすし文化、完結編です。

▲フナのなれずし

 



いかがでしたか。

北陸の発酵文化を訪ねる《ほくりく発酵ツーリズム》

次回もお楽しみに!

【連載】ほくりく発酵ツーリズム
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