まちのリズムとイズムを守る化粧地蔵【生活芸人・田中佑典のふくい微事記~小浜市西津地区編~】

まちのリズムとイズムを守る化粧地蔵【生活芸人・田中佑典のふくい微事記~小浜市西津地区編~】

こんにちは、生活芸人の田中佑典です。

 

往復約900km。福井県を徒歩で横断する「微遍路(びへんろ)を終え、歩んだ道のりをもとに「微住街道」をマッピング。

街道の途中で出合った出来事を「微事記」として記し紹介します。

今回は【小浜市西津(にしづ)地区編】です。

【⇒過去の記事一覧はこちらから


田中 佑典
さん

台湾と日本をつなぐプロデューサー。
一定期間地域に滞在し、“ゆるさと”づくりをする旅『微住』の提唱人。
2021年東京から福井市にUターン。
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まちのリズムとイズムを守る化粧地蔵(けしょうじぞう)

地元の祭りは大人になった今でも、子どもの頃の思い出として根強く残っている。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年は祭りを再開すべきか決断に悩む地域も多い。

祭りや風習は続けていくのに大変な労力が必要だが、目に見えないリズムとイズム(思想)を生み、地域の文化を後世に残す大切な命綱になる。

 

小浜市西津地区には明治初期から続く、お地蔵さんに化粧を施す「化粧地蔵」という風習と、年に1度、夏に行われる「地蔵盆(じぞうぼん)という祭りがある。

この2年は中止になったが、2022年は8月23日に開催する予定だ。

化粧を施したお地蔵さんは他の地区にも点在しているが、西津地区には各路地に123体も安置されている。

 

お地蔵さん(地蔵菩薩)は子どもの無病息災を願う守り神のため、祭りの主役は中学2年生までの子どもたち。

この子たちが大人になり、その子どもたちも地蔵に化粧をする日が来ることを願う ※特別に地域の許可を得て撮影

 

年長者から「大将」「中将」「少将」と位を持ち、準備の際にはお地蔵さんの一年の垢を水で落とし、新たに彩色を施す。

 

海水で祠をきれいにする子どもたち

お地蔵さんに今年のお化粧を施す様子


祭り当日は組み立て式の地蔵小屋(川西地区の2カ所)や、各区の会館の前を通る大人に向かい、「マイランニャ トウサンゾ(参ってくれないと通しませんよ)」とはやし言葉で参拝を促し、お供えものやお賽銭をもらう。

持ち運びができるように小さな石でつくられた「出張地蔵」もあり、人通りの多い場所に移動して陣取ることもできる。

手前にある小さい石が「出張地蔵」

 

西津公民館の竹田茂芳館長は「祭りのお供えものやお賽銭は大将が采配し、子ども同士で分配します。子どもの頃から上下関係を学び、近所の人たちとつながりを持てるのは、『化粧地蔵』や『地蔵盆』があるからこそなんです」と教えてくれた。

 

近年、地域での行事や風習が希薄になり、地域で暮らす力を養う、“ごっこ遊び”を経験せずに世に出る子どもたちも少なくない。

毎日欠かさずお茶をお供えするおばあちゃん

 

お地蔵さんの石は地域の“意志”。

そしてずっしりとした重さは先祖から続く“想い”の証。

今日も「化粧地蔵」はまちの至る所で子どもたちを見守りながら、優しく微笑んでいる。

※新型コロナウイルス感染拡大の状況により、区によって「地蔵盆」は中止になる場合があります

 

 

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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