【若新雄純の変点観測】これから大きな問題になるのは、“おしゃべり格差”!?

【若新雄純の変点観測】これから大きな問題になるのは、“おしゃべり格差”!?

こんにちわ、ふーぽ編集部です!

福井県若狭町出身でプロデューサーや大学教員として活動する若新雄純さんに、ふーぽが密着する『若新雄純の変点観測online(オンライン)』。

福井の各メディアで若新さんが放つ、「普通」とは少し違ったスタンスの発言を観測していきます。

第11回は、8/20に放送されたFM福井の番組「Morning Tune」内のコーナー「若新雄純のふくいナナメ読み」での変点観測です!

暑さが苦手という若新さん。東京ではタクシーに乗りまくり、タクシー代がえらいことになったとか


今回、若新さんが注目したのは、大野高校と関西大学の若者が協力してビルの空き部屋を市民が集う図書館に改装するワークショップが行われたというニュース。
⇒ 福井新聞の記事はこちらから

 

「図書館って、僕けっこう好きだったんですよ。小浜にある県立図書館の分館に、勉強する体(てい)で行って、勉強せずにダラダラするのが最高に楽しかったんですよねぇ(笑)」

 

「ところで、図書館ってすごくないですか? 全国どこにでもあって、誰にでも本を貸してくれる

 

「実は、図書館のこれからの在り方というのに僕は注目していて。TSUTAYAが運営する図書館とかありましたけど、民間がやってる図書館って、まだあんまりない」

 

市民の税金によって建てられることがほとんどの図書館。
若新さんは、図書館のそもそもの成り立ちについて触れます。

 

「これまでの歴史をみると、図書館が公共の施設として運営されてきた背景には、格差”の問題があったようなんです

 

「テレビやインターネットがなかった時代には、最先端の情報や立派な意見、考え方は本で読むしかなかった。だけど本は割と高価だから、買える人と買えない人が出てきて、教養や知識をどれだけ持っているかに格差が出来てしまう。その格差を小さくするためにも、誰でも本を手にし読むことのできる図書館が必要だったんです」

 

次に若新さんは、私たちが持つこれまでの常識に疑問を投げかけます。

 

「でも今の時代は、誰でも本を読めるようにすることが、教養や知識の格差を広げないことにつながるのか? と思っています。いまや本は一部の人にしか買えないものではなくなったし、中古の本屋もある。もっといえば、本と似たような内容のことは程度の差はあれ、誰でもインターネットで読むことができるし、高度な内容の論文もネットで公開されているんです」

 

本を手にしなくても、蓄積された知識や情報は誰でも得られるようになって、その点での教養の格差はそれほど深刻なものではなくなったと思っています」

 

多くの知識へのアクセスが容易になった今、若新さんは新たな格差を問題視していると語ります。

 

他人と上手に討論できたり、意見の調整や交渉などのコミュニケーションをできる人とそうでない人との間にできる格差が、これから大きな問題になってくると考えています」

 

「これまで色んな人と仕事をしてきて感じたのは、討論上手な人とそうじゃない人で、得られるチャンスに差が広がってしまうということ」

 

お客さんに商品を売ったり、接客をしたり、企画を提案したりとか、誰かにお願いしてチームを組んだりすることもそう。自分の考えを即興的にまとめたり伝えたりできることも、多くの仕事で求められている。そういった場面で、上手くコミュニケーションできる人とできない人で差がすごく大きくなってる」

 

さらに若新さんは、その格差が広がってしまう要因にも目を向けていました。

 

「まだほとんどの学校では、討論する時間とか議論を深める時間が十分ではなくて、どちらかというと、どんな人でも決められた知識を同じだけ得ましょうっていう、インプットが中心になっている。だから、コミュニケーションの上手い下手は個人の得意不得意に左右されたまま放置されがち

 

「さらにいえば、一度討論やコミュニケーションが苦手だと評価されてしまうと、他人とのコミュニケーションがそんなに必要じゃない仕事を任されて、ますますコミュニケーションの機会が減っていったり。一部の職人的な仕事は別だけど、機械化され成長の余地が少ない場所に追いやられかねない」

 

逆に得意な人は、どんどん討論とかコミュニケーションが重要な場面に出されて、人とのやりとりや接点も多くなり、チャンスも多くなっていく。より格差が広がり、深刻になっていきやすいと思うんです」

 

その解決に向け、若新流の提案を打ち出します。

 

「ツイッターとかネットで行われている議論みたいなものって、僕からみたら非常に残念な感じのものなんですよ。なぜかというと、コミュニケーション能力を伸ばす上で、相手の表情を読み取ったり、こういうこと言うと怒らせてしまうのだなといった、人間の生々しいやりとりなんだということを実感していく必要があると考えるからです。ネットでは、それが非常に弱い」

 

「なので、小さい頃から討論やコミュニケーションのリアルな場に恵まれている子どもと、そうじゃない子どもで差が大きくなる。ネットでいくらやっても埋められない。その差をなくすためにも図書館ってこれまでは静かにしなきゃいけない場所だったけど、おしゃべりする場所になったらいいと思うんです」

 

「でもそれは、いつもの友達とただ無駄話をする場所じゃダメ。友達がいない子は行けなくなるから。そうじゃなくて、あるニュースとか本のテーマについてしゃべりたいなっていう人が集まって、議論とかができる時間やコーナーがある。そんな場所が必要になっていくんじゃないですかね」

 

放送終了後、もう少し深掘り。

 

「ただ難しいのは、上手にコミュニケーションを促す優秀なコーディネーターが必要だということ。専門知識があっても、一方的に話すだけの人だと、これまでの学校の先生と変わらない。そうじゃなくて、集まった人たちから意見を聞き出したり、うまいこと議論を進められるような人でないとダメだし、そういう人を育てていくことも必要になります」

 


さらに、図書館のような公共の場で、あーでもないこーでもないと、討論や議論が自由にできる場をつくるべき理由について、

 

 

「コミュニケーションの能力って、家庭環境とか親によっても影響受けると思いますね。でも、親がどういう親なのかは選べないわけだから、そういった差をなくすために子どもたちから意見を聞き出したりして、”探究的”な対話ができるような人が公共の場である図書館にいて、そこでどんなレベルからでもおしゃべりができる環境をつくらないと

 

また、対話の能力を伸ばす場所として、若新さんは「大学的な場所」の重要性を強調します。

 

総合大学だと、いろんな価値観の学生と話すことができる機会は多いですよね。新しい図書館の役割として、講義みたいなことはやってなくていいんです。いろんな価値観の人と触れることができる場所であるべき

 

そうやって違う価値観や考えに触れることで、自分の立ち位置であったり、自分のことを見つめ直すきっかけになるとも思うんですよ。これからの教育でとても重要だと言われているリフレクション(内省)を促す場所にもなります」

 

最後に、これまでの経験をふまえて。

 

「人と話すのが嫌いだからっていって、ひとりで家にいてできるのは学校の勉強くらい。学校の勉強は孤独でも突破できる。でも、実際の仕事の多くは、他者との関係性でできていくもの」と説明。

 

 

「伝統工芸の職人なんかも、本当に価値を認められた職人くらいでないと、他人と関わらないで仕事をするなんてできない。そんな人はひと握り。多くの仕事人は、自分のつくったものがどういった価値があるのか、どこが魅力なのかを、ちゃんと訴えたり説明していかなくてはいけない。他人と関わらないでできる仕事なんてほとんどないし、あったとしても、それこそこれからAIなるものに奪われていってしまう」

 


と、これからの時代、“おしゃべり” がいかに重要であるかを語ってくれました。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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