「宇宙に一番近い場所にて」宇宙ライター・林公代②【ふーぽコラム】

「宇宙に一番近い場所にて」宇宙ライター・林公代②【ふーぽコラム】

福井にゆかりがあったりなかったりする、いろいろな書き手がよしなしごとを書き綴る「ふーぽコラム」。

今回は、福井県福井市出身で宇宙関連の書籍を多数出版している「宇宙ライター」・林公代さんの2回目です。


 

宇宙に一番近い場所にて


私が宇宙の記事を書く上で一番大事にしているのは「現場取材」だ。

ネット上に溢れる情報を調べて記事を書くことも可能だが、できる限り記者会見に出かけ、第一次情報にアクセスし、研究者やエンジニアの生の声を聞く。


宇宙という現場に行くことは今のところできないが、「宇宙に一番近い場所」にも出かけていく。

たとえばロケット打ち上げ。日本では種子島や鹿児島県内之浦の発射場、米国ではNASAケネディ宇宙センター。ロシアのロケットはカザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地から打ち上げられる。

海外取材は高額な出張費が悩みの種だが、複数の仕事をかき集め、時にはラジオ番組の生出演も買って出る。そこまでするのは、ロケット打ち上げには他では決して味わえない魅力があるからだ。


種子島宇宙センターは「世界で一番美しい発射場」と呼ばれる。青い空、コバルトブルーの海にハイビスカスなど南国の植物が彩りを添える。

お勧めは夜の打ち上げだ。天の川を仰ぎ、静かに打ち寄せる波音を聞きながら発射を待つ至福の時間を味わえる。

発射の瞬間、まず驚くのは、強烈な「光」だ。夜空を一瞬で昼に変えてるほどのまばゆい閃光が目に飛び込んでくる。

次にやってくるのが、「音」。地上の重力を振り切って飛び立つロケットの唸るような轟音、天を切り裂く「バリバリバリ」という独特の音が空を震わせる。

そして大地を揺るがす「振動」。スペースシャトルの打ち上げをケネディ宇宙センターで見た息子は「工事現場の波動のような振動」と驚いていた。

光、音、振動・・・そのどれもがド迫力で体を突き抜けていく。

宇宙へ行くために、こんなにもパワーが必要であること、そしてそんなにパワフルな乗り物を作り上げ、ち密に制御する人間の素晴らしさに感動する。

さらに有人ロケットの場合には、長年の訓練を経てようやくスタート地点に立った宇宙飛行士の心情を想像し、無事を祈らずにいられない。


夜だけではない、明け方や夕焼け時の発射も美しい。

山崎直子さんの明け方のスペースシャトル発射後には、ピンク色のハート型の雲が朝焼けの空に現れた。どの発射にもドラマがある。

種子島からのロケット発射は気象条件以外で遅れることはほとんどなくなり、全国から打ち上げファンが詰めかける。
(この原稿を書いた後、2018年9月のH-ⅡBロケット打ち上げは天候や機体トラブルで4度の延期後にようやく打ち上げられた。近年は滅多にないことだが、失敗という最悪の事態を防いだことを評価すべき。今回の延期で機体の製造管理は厳しくなると思われるので、なおさら天候以外の延期はなくなるはず!)。

最近は旅行会社から打ち上げ見学ツアーも発売されているので、ぜひあなたも現場で、宇宙を体感してはいかがだろう。

AXA種子島宇宙センターからのロケット打ち上げには全国からロケットファンが詰めかける。写真は長谷展望公園

2017年12月17日、金井宣茂宇宙飛行士が乗ったソユーズロケット打ち上げ。バイコヌール宇宙基地はロケットと見学席の距離が約1.5㎞しかなく、迫力ある打ち上げが全身で感じられる(提供:NASA)

2010年4月5日午前6時21分(現地時間)、山崎直子宇宙飛行士が乗ったスペースシャトル・ディスカバリー号の打ち上げ(提供:NASA)

山崎飛行士が飛び立った後、朝焼けの空にピンク色のハート型の雲が出現。ドラマのような打ち上げでした



林 公代(はやし・きみよ)

1962年福井市生まれ、。サンケイリビング新聞社、 日本宇宙少年団情報誌編集長を経て、フリーライ ター兼編集者に。宇宙分野を主に著書多数。
【⇒公式ホームページはこちら】

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ コラム

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