「『来て、来て』ばっかりのインバウンドは飽きられるかも。」田中 佑典さん【ふくい人に聞く】

「『来て、来て』ばっかりのインバウンドは飽きられるかも。」田中 佑典さん【ふくい人に聞く】


※福井県ゆかりのさまざま人たちにインタビューする連載です。

生活芸人・日台交流プロデューサー
田中 佑典さん


福井市出身の田中佑典さんは、日本と台湾をカルチャーの視点でつなぐプロデューサーとして広く知られています。

福井県内でも、台湾の人気雑誌を招いたり、ユニークな語学講座を開いたりと、さまざまな形での交流を仕掛けています。

 


 

日本と台湾のカルチャーに焦点を当て、相互に人の流れを作り出すさまざまな仕掛けをプロデュースしてきた田中さん。

このところ盛り上がりを見せる台湾ブームのはるか以前から、だ。


そうした打ち手の一つが、台湾式中国語と併せて現地の文化や流行を学べる講座「カルチャーゴガク」。今春から月1回、県内3カ所で開催している。

自身が独学した経験を生かし、発音や単語の覚え方のコツ、現地の人と親密になれるリアクション、最新の台湾旅情報までをも伝授する。

「交通や通信がいくら発達しても、結局は人同士が気持ちを通わせてコミュニケーションするところにしか、確かなつながりは生まれないと思います」。

「カルチャーゴガク」は2016年から東京で開催。福井県内でも今年4月から始まった。なおInstagram(@culturegogaku)にて、毎日1語ずつ音声付きで「今日のカルチャーゴガク」を配信中



大学在学中に、アーティストの卵らを紹介するカルチャー雑誌を創刊。

自主制作ながら数千部を書店販売するまでになったが、やがてネットが台頭する中で行き詰まりを感じ始めた。

 

そんな中、訪れた台湾・台北市の街で鮮烈な刺激を受けたという。

「カフェでJ-POPが流れ、日本の雑誌が読める。だけど一歩外に出れば、圧倒的に雑多な感じのアジアの風景が広がる。そのギャップにメチャクチャ興奮しましたね」。

その後間もなく、日台をカルチャーでつなぐ雑誌「LIP 離譜」を刊行した。

台湾の日本カルチャー雑誌「秋刀魚(さんま)」とコラボし、福井を題材にした同誌特別号「青花魚(さば)」を2018年4月に刊行。台湾人スタッフらと2週間かけて県内を巡って取材した濃厚な内容が話題を呼んだ

 

台湾ブームが熱を帯びる中、イベントやコーディネートの仕事が軌道に乗り、田中さんの活動はどんどん多彩になってきている。

「近ごろは、僕の生き方そのものをコンテンツにする『生活芸人』と名乗っています(笑)」。

 

今は台湾だけでなく、アジア数カ国を自由に行き来しながら交流を創出する 〝アジアリンガル〞な活動に重きを置く。

自身が外国を訪れたり、海外の人を日本に招く際に大切にしているのが「微住」のコンセプトだ。

腰を据えての移住でも数日間の観光でもない。

理想は2週間ほどその土地で過ごし、人々と程よく関わりながら、「また来たい」と思える絆を作ることが重要だと説く。

だから現在の日本各地のインバウンドの姿勢には多少疑問を感じている。

よそ行きの表面的な観光コンテンツを並べて「来て、来て」と競い合っているだけでは、差別化できず、すぐ飽きられるだけだという。

「来日した海外の人が本当に喜んでくれるのは、街の何気ない風景や人々との交流で、いわば脱力した〝隙〞のような部分。そういう意味で、隙だらけの街である福井は絶対にウケるし、チャンスがたくさんあると感じています」。

田中 佑典(たなか・ゆうすけ)

1986年、福井市生まれ。北陸高校を経て、日本大学芸術学部文芸学科卒業。
在学中にカルチャー誌「リップサービス」を発刊。
その後、台湾のクリエイティブや文化に特化したイベント、ショップなどをプロデュースする。
共著に「LIP的台湾案内」(リトルモア)。
ロハスデザイン大賞2018・ヒト部門大賞。雑誌ソトコトで「現在、アジア微住中」を連載中。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽインタビュー

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