「在来種のおいしさを引き出すことが仕事です」。福井市の齊藤製粉所で石臼を用いた福井ならではの製粉の特徴を教わりました。【そばのうまれる風景】

    「在来種のおいしさを引き出すことが仕事です」。福井市の齊藤製粉所で石臼を用いた福井ならではの製粉の特徴を教わりました。【そばのうまれる風景】

    在来種中心の栽培と並び、そば王国福井を支えるのは製粉の技術。

    「福井のそば粉は石臼挽きが当たり前」と言われています。

     

    今回は福井市の製粉業者「齊藤製粉所」を訪ね、そばのおいしさをより高める石臼挽きの特徴と、製粉業者のこだわりを聞かせてもらいました。

      玄そばの仕入れから、味と色にこだわって

      「粉屋の仕事は、福井のそばの特徴である在来種をおいしくするお手伝いをすることだけだよ」

      福井市の製粉業者「齊藤製粉所」の齊藤稔さんの最初の一言です。

      同社工場には常時21台の石臼が並び、県内産の在来種を中心に製粉し、そば店の注文に応じたブレンドのそば粉を納入しています。


      在来種への注目の高まりや、早刈りそばの普及によって、そば店からの注文も年々ハードルが上昇。「味はもちろん、最近はきれいな色に対する要望が強くなってきている」と齊藤さん。

       

      そのため、収穫されたままの殻つきのそば「玄そば」の保存の温度管理には細心の注意を払い、また仕入れる玄そば自体もよりよいものへとこだわりも強めています。

       

      近年は契約農家から直接仕入れる割合が高くなっているそう。

       

      「農家の方には直接要望を伝えて栽培してもらっています。

      会社の近くには契約農家のそば畑があるのですが、収穫時期には毎日のように足を運び、色も味もよい早刈りそばを収穫できるよう生育状況を観察しています」とのこと。

       

      精選し、磨き上げ、抜き実に

      製粉の前の玄そばは、まず最初に精選という工程で混ざっている土やごみを取り除き研磨して表面をきれいに磨き上げます

       


      そして、激しく振動する巨大な箱の中へ。何段階にも仕掛けられた振るいにかけて、粒の大きさが揃えられます。

       


      続く「脱皮」の工程で、そば殻と抜き実が分けられます。

       

       

      そば殻は、空気で吸引する機械を使って、そば殻と抜き実が分けられます。

       

      この作業を何回か繰り返してそば殻を取り除きますが、どうしても3~4%は残ってしまいます。

      しかし、このわずかのそば殻が、実は風味を高める役割も果たしてくれています。


      全国的には、そばの実を丸ごと抜き実にするのが主流です。

      しかし福井では昔、玄そばを割って挽き割りにした後に、ざっくりと皮を取り除く方法も行われていました。

      「あえて一定量のそば殻を残すこと」で、味わいを深めるのです。

       

      今も少ないながら、昔ながらの田舎そば風のそばを提供する店などから、この挽き割り方式での製粉を指定されることもあるそうです。

       

      石臼によって、しっとり粘り気のある粉に

      次は石臼を使っての製粉。

      ここが福井の製粉所の最大の特徴です。

       

      斉藤製粉所の工場には、7台ずつ3列、計21台の石臼が常時並んでいます。

      年末の繁忙期にはさらにプラス10台、計31台の石臼がフル稼働します。

       

      脱皮された抜き実が石臼の上から投入されると、回転する上下の石臼の間を通る間に「すり合わされて、練り潰すように」粉になっていきます。

      石臼で挽かれたそば粉は、なんともしっとりと粘りさえ感じられる質感。

       

       

      「ほら、こうして握ってみると手の形にまとまる。ロール挽きだとこうはなりません」と齊藤さん。

       

      さらに在来種の新そばの時期には、その時期ならでは感覚も。

      「県内産の新そばを挽き始めると、部屋の色が、がらっと緑色になったような感覚になります。

      そして若々しいそばの香りが部屋中に立ちこめる。この香りのよさも、福井の在来種以外にはないすばらしさだね」

      石臼挽きは、香りも引き出してくれるのです。

       

      全国的には高度成長期に、ロール機という機械を用いた製粉方法が広がりました。

      実は県内の製粉所でも導入を検討する動きがあったそうですが、「福井では、顧客のそば店などがロール挽きを許してくれなかった」そう。

       

      こうした背景もあって、福井では今も石臼挽きが今でも主流となっているそうです。

       

      時を経て、石の個性が育っていく

      真ん中の石が薄くなった石臼が、斎藤製粉所で一番古株の戦前から使われている石臼。


      福井の在来種の特徴の一つが、そばの実の大きさや成熟度もまちまちな「雑駁(ざっぱく)」が生み出す個性的な味わい。

      実は石臼もそれぞれに個性がまちまちで、石の新旧や目立ての微妙な加減で、できあがる粉の状態が一台一台、微妙に異なります。

       

       

      そのため同社では、小さいロットでも最低三台の石臼を使って、異なる挽き具合の粉をブレンドして出荷しています。

      石臼の素材は、福井市美山地区の小和清水(こわしょうず)で採掘された石です。

      同社で最も古い石臼は戦前から用いられているそう。

       

      一方、一番新しいものは小和清水の最後の職人の手によって作られたもので、10数年前に工場に加わりました。

      この小和清水の石は、掘り出してすぐには加工されず、最低10年寝かして水分を抜いてから石臼に加工されます。

      新しい石は柔らかさが残っていて、長年使い続けることによって、徐々に安定した粘りがある粉をひけるように育っていきます。

       

      石臼は上と下の石が直接ふれ合うことはありませんが、長年使用された石臼は目立てなどの作業によって徐々に薄くなっています。長年使い込んだ包丁が細くなっていくような感じです。

      そうして薄くなった石臼は、重りで重量を補われながら、若い石臼にはできない安定した製粉ぶりを発揮し、長年にわたって現役として活躍してくれるのです。

       

      昔ながらの伝統と技術を大切に


      そば店の店主や食品加工の専門家は、福井の製粉業者の高い技術が在来種のそばのおいしさを引き出し、おいしい十割そばを打つことを可能にしているのだと評価します。

       

      斎藤さんは社内の研修室で自らそばを打ち、そば粉の品質管理にも余念がない。

       

      さらに近年は、石臼挽きを求めて県外から製粉加工の依頼が寄せられるなど、福井の製粉技術脚光を浴びるようになってきました。

       

       

      斉藤さんに「製粉の技術革新はすごいんですね」と尋ねると、

      福井のそばは生産者の努力で、日本のトップレベルといえる品質になっています。

      私は昔ながらの石臼挽きの伝統を守り、昔ながらのやり方でやらせてもらっているだけ。農家さんが作る高品質なそばあってのことです」と。

       

      謙遜しながらも、伝統的な石臼挽きが持つ実力の大きさを強調されていました。

       

      有限会社斉藤製粉所

      福井市下河北町11-3-2
      TEL:0776-38-3158
      FAX:0776-38-7096
      公式サイト
      Facebook
      Instagram

      ※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

      ※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

      ふーぽ編集部
      writer : ふーぽ編集部

      ふくいのことならお任せあれ! グルメ、イベント、おでかけスポットなどなどふくいのいろんな情報をお届けします。

      おすすめ情報が届くよ

      ふーぽ公式LINEはこちら

      Follow us

      ふーぽ公式Instagramはこちら

      こちらもクリック!情報いろいろ

      新着の記事

      キーワード検索

      人気記事ランキング

        人気記事ランキング

            ページ上部へ
            閉じる

            サイト内検索

            話題のキーワード

            メニュー閉じる