「雨垂れが石を穿つように伝統の技をひたむきに繋ぐ。」若狭めのう細工(小浜市)の細工職人・上西宗一郎さん【嶺南こんにちは通信】

「雨垂れが石を穿つように伝統の技をひたむきに繋ぐ。」若狭めのう細工(小浜市)の細工職人・上西宗一郎さん【嶺南こんにちは通信】

こんにちは、ふーぽ編集部です。

嶺南在住クリエイターがいま会ってほしいローカルピープル情報をお届けする【嶺南こんにちは通信】

 

今回は、小浜市の細工職人・上西宗一郎(うえにしそういちろう)さんです。

お気に入りの嶺南スポットも教えていただきました。

雨垂れが石を穿つように伝統の技をひたむきに繋ぐ。

まるで樹木の年輪のような模様の天然石「めのう」。

数百度で加熱し朱色に発色した石を切断して、手間をかけ削り出します。

 

磨き上げることで鮮やかな色彩と滑らかな曲線、光沢を与えていきます。

「石の状態を見極めて形を決めたり、模様をどう生かすか考えるのが楽しいです」。

小浜市のJR勢浜駅近くに「宗助工房」を構える若狭めのう細工職人の上西宗一郎さんは、愛おしそうにめのうを眺めます。

 

もとは農作業場を工房にした。工房名は、屋号の「宗助」から名付けました

国指定の伝統的工芸品である若狭めのう細工の職人はかつて数十人いましたが、今では上西さんだけがその技術を受け継ぎます。

宗助工房の創業者として「若狭めのうのルーツをたどりながら産地復興の実現が使命」と日々創作に取り組んでいます。

 

上西さんは、京都の専門学校卒業後、大阪の印刷会社に勤め、30歳の時に小浜市にUターンしました。

2003年にオープンした「御食国若狭おばま食文化館」にある伝統工芸の体験施設「若狭工房」で職人のサポートを務めたことが、若狭めのう細工との出合いでした。

原石が作品として完成するまでには、数カ月かかることもある点にひかれ、「簡単に加工できないところこそ魅力」とものづくりの楽しさに目覚めました。

職人の故・田中染吉さんに弟子入りし、5年間の修業後、2013年に独立しました。

 

上西さん作のぐい呑みと丸玉、勾玉、アクセサリー「Kakikomiearrings」

伝統技術を守りながら、美術工芸品だけでなくカジュアルな小物など、時代に合わせた作品作りにも挑戦しています。

2年前には京都のデザイナーと協働し、めのうの端材を活用したアクセサリー「Kakikomiearrings(イヤリングス)」を開発しました。

また、若狭めのうの魅力を多くの人に伝えたいと、若狭工房で週1日、実演や製作体験の指導を続けています。

「人との会話から新しい視点やニーズを発見できます。刺激を受けて、アイデアがどんどん湧いてくるんです」と笑顔を見せます。

座右の銘として「切磋琢磨」や「石の上にも3年」など石に由来することわざを挙げます。

「後世に技術を伝えることも自分の役目。今後20年は、常若(とこわか)の精神で進みます」。

揺るぎない情熱を胸に、今日も静かに無言の石と向き合います。

若狭めのう細工 宗助工房

福井県小浜市西勢58-19
☎0770-52-5448(見学は要予約)
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お気に入りの“嶺南”スポット

妙見山から眺める西勢の景色【小浜市】
上西さん

工房から歩いてすぐの妙見山の階段を上ると、勢浜の海と周りの山々、街並みが一望できます。自然豊かで、春は桜、夏は青い空と緑あふれる山々、秋は紅葉も楽しめます。階段のそばにはJR小浜線が通っていて、電車と海のコラボ写真が撮影できますよ。

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※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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