【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第8話:3度の飯より好きなもの。

【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第8話:3度の飯より好きなもの。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中のエッセー《犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。》

福井県出身の編集者、小林孝延さんが、犬1、猫2との暮らしを、のんびりと綴っています。

第8回は、小林さんとは切っても切れない、キャンプのお話。

10月に発売した著書の執筆を終え、愛犬・福とひとときの休息を楽しんだようです。

小林孝延
こばやし・たかのぶ

編集者。福井県出身。扶桑社発行の雑誌「天然生活」「ESSE」元編集長。石田ゆり子著「ハニオ日記」(扶桑社)、「保護犬と暮らすということ」(扶桑社)などを編集。犬1、猫2と暮らす。釣り好き。新著「妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした」(風鳴舎)が好評発売中。公式Instagram

 

第8話:3度の飯より好きなもの。

先月の原稿でも触れたように、10月に初めて自分の本が発売となった。

思いもかけないほど多くの皆さんが支持してくださったおかげで、本が足りなくなる事態となり、てんやわんやの大騒ぎ。

寝る間もないほどの慌ただしさに巻き込まれながらも、ベストセラーランキングを眺めて、まるで自分ごとではないような、ふわふわとした変な気分で過ごす1カ月だった。


* * *


寝ても覚めても仕上がらない本の原稿が、喉に刺さった魚の骨のようにずっと気になったまま過ごしていた日常からようやく解放された僕は、福を連れて綺麗な渓流のほとりにキャンプに出かけることにした。

週末をずっと執筆に充てていたので約1年ぶり。

しばらく使っていなかった道具は少し埃をかぶっていた。

必要最小限の道具と読みかけの本を1冊、釣竿と毛針もトートバッグに放り込んでおこう。


昔から3度の飯よりキャンプが好きで、大学の授業も就職活動もそっちのけで野外活動に精を出しすぎたおかげで最終的にアウトドア雑誌の編集部に拾ってもらった僕にとって、キャンプは自分を取り戻すことのできるかけがえのない遊びだ。


* * *


東京からほんの1時間の距離とは思えない渓谷のキャンプ場はだれもいない貸切状態だった。

テントを組み立て、椅子やテーブルを広げると1泊だけの森の別荘が出来上がる。

まだ気温は高いけれどさらりと乾いた風が気持ちいい。

最近では珍しく直火OKのキャンプサイトだったので、さっそく薪に火を起こし湯を沸かしてコーヒーを淹れる。

テントの中が大好きな福は、もう我が物顔で寝転んでテントを占領していた。


キャンプにくるといつもの怖がりでびびりの福の顔つきが一気に精悍さを増すから不思議だ。

小さな物音にも敏感に耳をそばだて、あたりに潜む野生の気配を感じ取ろうとしているのがよくわかる。

僕はその本能を取り戻した福の姿が大好きなのだ。


* * *


コーヒーを片手にリラックスしていると、突然、福が弾かれるようにテントを飛び出して低くうなり声をあげた。

鹿だろうか?

姿を捉えることはできなかったが、われわれのすぐそばに野生動物が近づいていたのは間違いなかった。

森の中にいるとき犬は頼りになる最高の相棒だ。

わがままもいわず、ただ隣でひたすら黙って寄り添ってくれる。

危険が近づけばいち早く察知して知らせてくれるし、誰にも話すことのできない愚痴だって静かに悟ったような顔で聞いてくれる。

肉を焼いて一緒に食べ、寄り添って眠る。

ただそれだけで僕と福の絆はさらに強くなる気がするのだ。

今回、福は初めてソフトクレートで車移動した。案外、居心地は悪くなさそうだったけど自宅ではすぐにこのソフトクレートは猫たちの住処になってしまった・・・

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