【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第3話:おかえり、ともくん。

【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第3話:おかえり、ともくん。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中のエッセー《犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。》

福井県出身の編集者、小林孝延さんが、犬1、猫2との暮らしを、のんびりと綴っています。

3回目は、小林さんの愛猫「とも」の家出(!)騒動記です。

小林孝延
こばやし・たかのぶ

編集者。福井県出身。扶桑社発行の雑誌「天然生活」「ESSE」元編集長。石田ゆり子著「ハニオ日記」(扶桑社)、「保護犬と暮らすということ」(扶桑社)などを編集。犬1、猫2と暮らす。釣り好き。公式Instagram

 

第3話:おかえり、ともくん。

我が家にはハチワレと呼ばれる黒と白のツートンカラーの猫が2匹いる。

おそらく兄妹と思われる2匹が妻の一周忌の法要の日に突如ベランダに現れたという話は、この連載がスタートして一番最初に書いた。


その兄猫のほうが先日うっかり家出をしてしまって大騒ぎになった。

もともとオス猫というやつはメスを求めてうろうろ彷徨(さまよ)いテリトリーを広げるのが本能だといわれるが、あいにくうちの兄猫は去勢手術済み。

ストリートを根城にするオス野良に出会おうものなら、コテンパンにやられるのは目に見えているから、無事帰ってくるまでたいそう気を揉んだものだ。

* * *

ハチワレたちの名は兄猫が「とも」妹猫が「もえ」という。

名づけてくれたのは女優の石田ゆり子さんだ。

2匹がくっついたときに見える白と黒の模様がちょうど日本古来の文様「巴(ともえ)」と似ているからという理由で「とも」「もえ」だ。

お願いしてからたぶん1分とかからずの命名。

しかも保護して間もなかったからオスかメスかもわからないタイミングでどちらになってもよい名前というのも気が利いている。

「巴」には魔除けの意味もあるからきっと小林家を守ってくれるはずという願いもこめられている。

ありがたい。


とにかくゆり子さんはネーミングセンスが天才的である。

ご自身の猫もはちみつ色の茶トラの「ハニオ」。足袋を履いているような足の白いキジトラが「タビ」。

簡潔で印象的で響きが覚えやすい。

僕が編集を担当した本「ハニオ日記」のタイトルもご本人のインスタグラムで綴られた連載のハッシュタグにちなんでいる。

* * *

さて、「とも」がふらりと家を出て行ってしまったのは、ちょうど僕が4年越しになる書籍の原稿を書き上げた晩だった。

保護犬と家族の再生と別れをテーマにした物語はときに筆が重くずいぶんと時間がかかってしまったが、長いトンネルを抜けた喜びを噛み締めているその隙に、まるで「これでぼくの役割も終わったね」とばかり、ふいに姿を消してしまった。

妻の命日に現れて、その物語が完結する日に出ていくなんてドラマかよ。

家中をひっくり返すように探し、周辺を呼びかけて彷徨い、友人たちに手当たり次第に連絡し、日本一腕のいいペット探偵に捜索を依頼した。

帰ってきた「とも」(奥)と福と「もえ」(手前)と僕。仲良しです


それから5日、僕もおそらく「とも」も眠れぬ夜を過ごしたけれど、名探偵の手腕により無事帰ってくることができた。

帰宅したときには不思議なことに以前よりも家猫らしくなっていた。

それまではどこか野良猫っぽさが抜けず、僕とも一定の距離を保っていたのに、今はすっかり甘えん坊。

もしかしてバツの悪さを隠すために、猫かぶってるのかな?

【⇒今回の家出騒動記の様子はInstagramにて

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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