いやいや、すみません。
先月号でつい調子に乗って(乗せられて?)、美容ページなんぞに出てしまい、お目汚し失礼…。
まさか美容企画に声がかかる人生なんて果たして誰が想像できただろうか?
ほんと、わからないものである…。
* * *
そんなわけで犬と猫を迎え入れてからというもの、自分の意思とは無関係に人生ゲームのように次々と見える景色が変わってきた。
だが一方でずっと変わることなく手をつけられずにいるものもある。
そう、人生の足跡たちの始末である。
クローゼットの奥にそっとしまったものたち。
* * *
これまで何度も宣言しながらも進めることができなかった「大片付け」に、ついに年末年始、思い切って着手した。
* * *
とはいえ、どこから手をつけるのか?
これによって成否が決まる。
今回の経験から、整理するには機能がはっきりしている場所から始めるのがよいとわかった。
たとえばトイレや洗面所などだ。
* * *
僕は玄関から着手した。
玄関は人を迎え見送る場所。
機能が明確だ。
これまでそこには、思い出の品や、大切な人からのプレゼントなどを飾っていた。
時と共に次第にテイストがバラバラになり、気づけば「あれ?なんでこれが?」というものも増えていった。
それらを見直し不要なものを処分、迷うものは一旦、用意した袋に入れる。
絶対必要なものは収める場所を決める。
こうして整理を進めた。
* * *
ディスプレーも見直した。
訪ねてくるゲストの気持ちになって、個人的な思い出ではなく、気持ちよく迎えるムードと、僕の人となりを理解してもらえるものに厳選した。
* * *
とはいえ迷い悩んだ。
「この革靴買う時には思い切ったよなあ」とか。
つい懐かしい家族の思い出が頭をよぎる。
考えてみれば、こうして幸せだった時間に思いを馳せることができるのは素晴らしいことだ。
胸いっぱいに感謝が広がった。
でも、その思い出とここにあるモノは同じではない。
過去も大切だけど、これからの人生をどう生きたいか。
子供たちになにを残すべきか。
それを考えることが大切だ。
* * *
不思議なことに気持ちが整うと、勢いもついて一気に片付けは進んだ。
しかも玄関にコートハンガーが必要で買わなきゃと思っていたのに、靴箱を整理したらコートをしまえる大きなスペースが生まれて買う必要もなくなった。
* * *
僕らはいつも何かが足りないと思いがちだ、けど、実は「足りない」のではなく、いろんなものが「ありすぎる」ことの方が多いのかもしれない。
ものを手放すことは、単に空間を広げる行為ではない。
心を整理し未来へと歩を進めるための儀式のようなものだ。
大切なのは、手放すことそのものではなく、何を残すのか。
その選択こそが、これからの生き方を形作るのだ。